06.食品調味について

酸味
酸味は塩酸、硫酸などの無機質、酢酸、クエン酸などの有機酸を問わず化学でいう酸に由来しています。酸は水溶液中で陽イオンと陰イオンにイオン化して、陽イオンは常に水素イオンH+です。

いわゆる、酸っぱい食品、酢の中には酢酸が、オレンジやレモンにはクエン酸が、リンゴにはリンゴ酸が含まれています。代表的な酸の種類と閾値は次のようになります。

塩酸0.0008%、リン酸0.0019%、クエン酸0.0019%、酒石酸0.0015%、乳酸0.0018%、酢酸0.0012%、有機酸の呈味に関してはクエン酸(おだやかで爽快な酸味)、酒石酸(やや渋みのある酸味)、フマル酸(爽快な酸味、鋭い濃度の酸味、渋みを伴う)、dl-リンゴ酸(爽快な酸味、かすかに苦味)、コハク酸(コクのあるうまい酸味、異味を伴う酸味)、乳酸(渋みのある温和な酸味)、アスコルビン酸(おだやかで爽快な酸味)、酢酸(刺激的臭気のある酸味)、D-グルコン酸(おだやかで爽快な酸味、まるみのある柔らかい酸味)、これらの有機酸の感覚的な酸味度は、水素イオンの解離度(pH)とは必ずしも一致しないものですが、概して解離恒数の大きいものは酸味が強いようです。

また、もしも酸味が水素イオンのみによるものだとすれば、いずれの酸も同種の酸味を呈するはずですが、渋みを伴うものとか、苦味を伴うものなど、物質によってその味の種類は多少異なっています。

例えばスカッとさわやかなどという酸味はリン酸によるものです。これは各酸味物質がそれぞれ水溶液中で陽イオンと同時に解離する陰イオンの相違によるものと考えられています。

したがって、有機酸の味は分子を構成するOH基とCOOH基の位置あるいは数などによって支配されています。一般にOH基は柔らかい味を与えるので、OH基の多い有機酸は豊かな酸味を呈するということになります。

毒物や腐敗した食物は多少の例外はありますが一般に苦味あるいは酸味を持っているため、それらを誤って食べることがないように、人間は本来これらの呈味成分に対して敏感にできているのだと思われます。

より安全で、かつ栄養となる甘味(糖分)、しおから味(食塩)に対しては人間は鈍感なのです。酸味は温度の上昇とともに増加します。したがって、酸味のある食物や飲料は温かい時ほど一層すっぱく感じます。

参考資料;食品調味の知識より