08.山彦日記  10月1日 芸術の秋

まだまだ暑い日が続くが、山彦の田舎は「小さい秋」がそこここに増えてきた。鳴いている虫の声、野山の花々、風の音 空の雲。少しずつ秋を感じる10月である。

この田舎に「絶対音感者」がいることが最近判明した。ご存知だと思うが、「絶対音感」とは「ある音の高さを他の音と比較せずに識別できる能力」をいうらしい。その人の名を仮にK郎さんと呼ぶことにしよう。

K郎さんは80歳近いの現役農民で、日に焼け笑顔の優しい昔の青年である。K郎さんは若いころからアコーディオンを得意とし、集まりには楽器を演奏してみんなで歌った。

山彦とは年代が違うので機会は少なかったが、はじめて同席した時には「えーっ こんな田舎でアコーディオン弾ける人いるんだ?!」と驚いた。詳しく言えば、田舎生まれのおじさんがアコーディオンという楽器を持っていることに驚き、それをなんなく弾いていることに恐れ入った。

小学校ではじめて楽器にふれ、アコーディオンが欲しくても昔の ましてやこの田舎ではかなわず、自分が働き始め、生活に必要なバイクを買う前にやっと自前の楽器を手に入れることができて本当にうれしかったと昨日の事のようにK郎さんは話してくれた。

そんな人だからあらゆる曲を弾きこなし、昔はカラオケがないので、伴奏ができるK郎さんはあっちの祭りこっちののど自慢大会とひっぱりだこで楽しかったと笑顔を見せる。もちろん楽譜は読めないけれど、「何度か聞けば何とか弾けた」というからすばらしい。まさしく絶対音感者だ。

無芸大食の山彦であるが、収穫の秋、食欲の秋、スポーツの秋そして芸術の秋。何をするにも良い季節である。みんなとスポーツで汗を流して取れたての野菜を肴においしいお酒を飲み、少々調子ははずれても歌い踊る(?)。芸術だけがでてこない。残念である…