08.山彦日記  12月1日 自然の摂理

いつも思うことだが、季節感がなくなってきて久しい。12月になってもあまり寒くなく野菜も旬に関係なくスーパーの店頭に並ぶ。

そんななかでも太陽や星の動きは季節を確実に教えてくれる。冬一番ありがたいのが縁側にさしこむ太陽の日差し。夏の刺すような陽の光は家の軒下から外側にとどまっていたが、夏至から一日一日家の中に少しずつ侵入し、12月には縁側から部屋の畳まで暖かく照らしてくれる。

あったかいのだこれが。山彦の家では冬は縁側でふとんを干すのが定番で、寒い夜もお日様の匂いがするふとんで暖かく寝ることができる。

子供のころ山彦は縁側にひろげられたふとんでごろごろするのが心地よく、ついつい昼寝をしたりして祖母に怒られたものである。今では愚息が同じように布団の上でまったりしているのを山彦は「こらっ」としかる。歴史は繰り返すのだ。

そしてもうひとつ毎年感心することがある。山彦は毎朝ほぼ決まった時間に決まった道を通る。ちょうど今頃からいつもの太陽がとてもまぶしく感じる。

なぜなら、冬の訪れとともに日の出時間が遅くなり、太陽光の照射角度が低くなったためにこの時期だけ、太陽が山彦の進行方向正面から昇ってくるのだ。山彦の顔を正面から照らす神々しい太陽の光に感動する。

昔々その昔古代エジプトやマヤ文明の王たちはこれらの自然現象を学びとり、神殿やピラミッドを作ってきた。春分や秋分の日にだけ王様の貴賓席に日が当たるとか、冬至や夏至の日にうつしだされる影に特別の効果が表れるように趣向を盛り込んだりしてきた。

一年ごと人は成長し老いていく。万物は必ず変化していくが天空の世界は一年後必ず同じ動きをする。古代人も山彦と同じ感動を受けたのであろう。「この時期だけ」という限定品に魅せられる山彦であった。