08.山彦日記  2月 心の叫び

山彦は田舎に住んでいる。標高107m、コンビニまで3..5㎞ 途中に信号は1カ所のみ。のどかなものである。そんな山彦もわざわざデパートに出かけていくこともある。ウインドーショッピングを楽しみ、少しだけ買い物をしたその帰り、山彦は田舎へ帰る電車の中で趣味の人間観察をはじめます。

休日の夕方とあって電車内は適当に混んでいて、皆お疲れぎみの風情です。目を開けている人の半分が携帯に見入っていて、その他はぼんやりしている人、相変わらずおしゃべりしている強者のおばさまたち。昔は多くいた本を読む人はごくわずかである。

吊り革をつかむ山彦の近くの中学生くらいの女子2名も居眠り中。慣れない靴を履いて痛いのかハイヒールからかかとがはみ出している。そして濃い目元は明らかに「つけまつげ」。

とある駅に近づくと降りるのであろう身づくろいををはじめる。「おっ」山彦目が点になる。その女子たちバックをごそごそすると小さな箱を取り出し、「つけまつげ」をぺりっとはがし、その箱に丁寧にしまうのである。

おやおや、慣れた手つきを見ると彼女たちにとってはフツーなのであろうが、山彦はとても残念である。10代女子は何もしなくてもかわいいし、お化粧はもう少し大きくなったらでじゅうぶんだ。まして「つけまつげ」は早くないか。山彦の目には幼い顔に不釣り合いに見えるが…

背伸びしたい気持ちは十分わかる。ハイヒール履いたりお化粧したりするとあこがれの大人になった気分だよね。でもね少女たちよ、大人になるのがそんなにいいかい?

いったん大人になったらできないことがたくさんあるのだよ。君たちのまわりの自然の中で波の音や風を感じる時間はとても貴重で、「素朴」が許される時間は少ない。大都会の子供たちはそんな機会はないかもしれないよ。

いつまでも田舎に住んで自然しかない家に住んでいる山彦の心の叫びであった。