08.山彦日記  7月 私を見つめて

山彦は田舎に住んでいる。田舎といえば、緑豊かな山,清らかな清流,田んぼそして畑である。畑では梅雨も明けたこの時期から農作業が忙しくなる。

種まきや苗の植え付けはすでに梅雨前に済ませてあるが、真夏に向けて草取り、枝ぶりを大きくさせる芽摘みやその枝を支える支柱を立てるなど作業は多岐にわたる。

自給自足の生活にあこがれている山彦も限られた時間ではあるけれども作業に汗を流す。ちなみに山彦は「草取り」が好きだ。

植え付けた作物に「追いつけ追い越せ」とばかりに雑草が次から次へと生えてくるのをチマチマと抜く、単純な作業だ。単純な作業ゆえに頭をからっぽにして何も考えずに没頭でき、まるで「禅」を組んでいるような心地さえする。というのは言い過ぎとしても、ざわざわした草がなくなるのは気持ちが良くとても達成感がある。

作物も「あの草たちウザかったのよ。さっぱりしたわ。ありがとう。」といっているようではないか。もっとも雑草たちも「雑草なんて失礼な。私たちにも生存権はあるのだ!」と叫んでいるかもしれないけれど。

そして収穫の時が来た。できのいいのもあれば、そうでない時ももちろんある。とる時期を逸して大きくなりすぎたり、曲がったり虫にかじられたり。店頭で売られているようなきれいな野菜は少ない。しかしどれもとても愛おしいのだ。

皆さんも野菜や果物を買ったら一度見つめてみてほしい。畑からあなたの家に来るまでこのキュウリがどんな旅をしてきたか?

誰が植えたのだろう、どんな畑だろうか、雨も降る、強い風が吹く日もあったに違いない。虫や鳥 時にはタヌキも狙っている。そして選別という高いハードルを超えてあなたの手の中にある。

おいしく食べていただきたい。曲がったキュウリばかり食べている山彦からのお願いである。