08.山彦日記  10月 正常性バイアス

山彦は田舎に住んでいる。田舎暮らしはのんきでいいが、農作物の管理のためには天気は重要な関心事である。猛母は毎日3度の食事とともにテレビで天気予報のチェックを欠かさない。

母の場合は洗濯やふとん干しの都合も含まれるが、多くは天気によって種まきや収穫までのさまざま場面で作業を変える必要があるからだ。

雨が降るからその前に肥料をまいておこうとか、寒くなる前に収穫しようとかごく当たり前のことである。そんな暮らしをしていると天気の移り変わりには都会の人より敏感になるのは当然であろう。

しかし最近の変化は誰もがおかしいと感じている。「異常気象」といわれるようになったのはいつごろからだろうか。体温を上回る異常な暑さや「ゲリラ豪雨」という言葉さえ甘っちょろくさえ感じられるまがまがしいばかりの極端に集中する雨。

ニュースでは「高気圧がこうなって… そこに冷たい空気が…」と科学的な分析をしてくれるが、じゃあどうしたらいいのかなあ。人は避難しても田んぼや畑は動かせない。猛烈な風が吹くとわかっていても、いくら対策を立てようが果物の実が落ちるのを食い止めるのは至難の技だ。

とはいうものの 実は山彦 自分の村は「なんとなく」安全ではないかとへんな安心感をもっていた。(これを正常性バイアスという)ところがである。村の郷土史をひもとくと、なんと50年に一度くらいに大雨による土砂災害が発生しているのを発見した。前回の災害はなんと亡くなった人もいたらしい。それからもう50年以上たっている。おやっもうそろそろではないか。

猛母にそんな話をしたら「あれだけの雨をしのいだのだから次も大丈夫」と妙な自信。正しく正常性バイアス性の見本の発言。心配の種は尽きない。