01.お勧めの1冊

半島を出よ
村上 龍   幻冬舎文庫

本書は北朝鮮のコマンドに観客数万人を人質に福岡ドームを占拠され、後続部隊にも上陸され数時間後には福岡市を制圧されてしまうという設定です。読み進むうちに、10年以上前に観た映画「宣戦布告」との比較が浮かびました。映画は北朝鮮コマンドが北陸の漁村に上陸する設定で、SATや自衛隊員が敵に遭遇してから本部に発砲許可を求めているうちに容赦なく殺されていく戦闘シーンが印象的でした。しかし映像と活字の違いでしょうか、本書に派手な戦闘シーンは少なく、代わりに様々な関係者目線からの思いが描かれています。日本の政治家、官僚、福岡の政治家、マスコミ、医療関係者、そして北朝鮮兵士の側からも。北朝鮮からみれば、蛇口をひねれば水が出る日本は快適すぎる環境でした。

政府はテロ防止の名目で福岡を封鎖して、他に何もしようとしません。映画と活字に共通しているのは、異常事態に何も決断できない政府の無策ぶりでした・・・