08. 山彦日記 7月 朝採りのブルーベリー

山彦は田舎に住んでいる。夏の日の出は早く、さわやかである。わが家は雑草除けに手のかからないブルーベリー類を植えているが、そろそろ色づき食べごろになっている。ここでも食べ物を巡って野生の動物との争奪戦がはじまる。今回の相手は鳥たちだ。

特徴のあるさえずりでおなじみのうぐいすは3月頃から気配をあらわす。ツバメは4月すぎ、愛鳥週間が始まるゴーデンウィーク明け頃にはさらにたくさんの種類の小鳥を目にできる。

それらの小鳥たちは毎年同じ行動をすることがある。ある鳥の場合は車のサイドミラーにつかまり、鏡に映った自分の姿を見るなり、鏡に向かって「ちゅんちゅかちゅんちゅか」ついばんでいる。山彦想像するにその鳥は山彦の車周辺を自分のなわばりに決めていて、鏡に映った自分を侵入者として追い払おうとしているのだろう。小さい体ながらも力強いその行動に感動する。

またある鳥は雨どいに巣を作った。雨どいが詰まることについて山彦は構わない。巣立った後に掃除すればいいのだけれど、「鳥よ。本当にそこでいいの?」 降る雨はあなたの翼で守っても雨どいを流れる雨水に大事な卵が濡れてしまうよ。山彦の声が聞こえたのか、その後姿を見せなくなった。それが3年繰り返された。

野生の鳥たちの朝は早い。朝寝坊の山彦が気が付かないだけで早朝、鳥たちは色づき食べごろになった実だけを食べているようだ。山彦が、さあ収穫しようとしても、残っているのは未熟の実ばかり…。

ほぼ完成したらしい巣で卵を産んだ形跡はないが、その素晴らしい出来栄えにうっとりする。外側はがさつに固い枝やらなにやらが飛び出している。しかしその内側は枝を裂いたらしい細い繊維で流れるような美しさだ。スズメをはじめ野鳥が激減しているらしい。あのつがいは今頃どうしているだろうか。わが家の実くらいいくらででも食べていいから丈夫な雛を育ててほしい。