03.いわしのお話し~魚種交代~

こんにちは。小林食品の前島です。
今回からは、魚介だしの定番の1つである、いわし煮干の話を少しさせて頂こうと思います。一般的に「煮干し」というと、いわしの煮干し、特にカタクチイワシと呼ばれる魚種の煮干しを指す事が多く、小林食品でもだし用原料として多くのお客様へ納入させて頂いております。
今回いわしの話をさせて頂こうと思ったきっかけは、地元焼津でサバの節をメインに作っている加工業者さんでちょっと気になる話を伺ったからです。今年に入って、カタクチイワシの漁獲が落ち込み、反対にマイワシの漁獲が上がってきているという話です。
①イワシの種類
世界の海にイワシ類の魚は数百種類いるそうですが、日本で馴染みのあるイワシは3種類です。
まずはマイワシ。一般的に日本でイワシと呼ばれるのはこのマイワシです。生食やフライ、つみれなど多く食用として親しまれています。煮干し用の原料としてはあまり使われてはいません。
次はウルメイワシ。こちらは鮮魚として出荷される事は稀で、丸干しなどにされて食されています。削り節の原料として、煮干加工される事も多く、小林食品でも結構な量を削っています。
最後はカタクチイワシ。「タレ」や「セグロ」とも呼ばれ、主に煮干しや‘ちりめんじゃこ’の原料として使用されています。力強いだしが引けるので、ラーメンスープなどの味の濃いだしに好んで使われます。
②マイワシとカタクチの漁獲量
カタクチイワシが減り、マイワシが多く獲れた。魚は海のものですから、今日は○○が獲れた、××が全然獲れなかったという話は良くある話だったのですが、カタクチイワシとマイワシという組合せがちょっと気になりました。以前読んだ業界新聞で、カタクチが良く獲れる年はマイワシが不漁になり、逆にマイワシが豊漁の年はカタクチが獲れなくなるという記事を目にした事を思い出したからです。実際に魚を扱っている現場でこの話を聞いたものですから、この機会に少し調べてみました。
③カタクチとマイワシの魚種交代
 この話の裏付けを調べてみて出てきたのが、今回のタイトルにした「魚種交代」という言葉でした。実際の漁獲量を比較してみると、1950年頃から10~20年ほどの周期でカタクチとマイワシの漁獲量が入れ替っていて、2000年頃からはマイワシの漁獲が落ち込み、カタクチイワシは比較的豊漁となっています。
この現象は「魚種交代」と呼ばれています。海水温によるそれぞれの稚魚の成長速度の差が原因ではないかと言われていますが、いまだ特定が出来ていないようです。2000年頃からマイワシの不漁が続いて来た中、マイワシが豊漁になり、逆にカタクチイワシがあまり獲れなかったという今回。もしかしたらこの先、マイワシ豊漁・カタクチ不漁の周期に入る、のかもしれませんね。

参考:高須賀 明典  小型浮魚類の魚種交代に関する生物学的研究