03.巻き網船を巡る環境

こんにちは。小林食品の前島です。
今月は、鰹節の原料となっている鰹漁を取り巻く環境についてお話ししたいと思います。

①鰹漁の漁法
 鰹漁の漁法は、延縄漁、一本釣り、そして巻き網漁の3大漁法に分けられます。この中で延縄漁、一本釣りの鰹は主に刺身などに加工されており、鰹節の原料となるものについてはそのほぼ全てが巻き網漁によって漁獲されます。
巻き網漁とは、その名の通り海中に大きな網を落として囲い込み、網の中の魚を一網打尽に巻き上げる漁法です。網の長さは1~2km程度もあり、深さについても深い物は250m程あります。巻き網漁が行われるのはほとんどが中西部太平洋の南方海域、ミクロネシアやパラオなど、島嶼国の海域で行われています。

②巻き網漁の環境の変化
 この巻き網漁、ここ最近大きな変化が起きています。漁にかかるコストの激増です。
巻き網漁が行われている中西部太平洋は、今説明した通り島嶼国の海域となります。島嶼国の海洋資源を利用する対価として、日本を含む外国の巻き網船がその海域内で漁を行うために、島嶼国へ入漁料を支払ってきました。この入漁料が、この数年の間に非常に高騰しているのです。
 2011年では、巻き網船1隻が一年間南方海域内で漁をするのに必要な入漁料は5千万円を切る程度だったのが、2015年には1.7億円と、5年間で3倍以上に高騰し、巻き網船の操業を逼迫してきているのです。

③日本と外国との巻き網船の差
 この入漁料の高騰に加え、日本には巻き網漁を行う他の外国に比べて不利な点がもうひとつあります。それは、巻き網船のサイズです。世界の巻き網船のサイズは、大別すると1000トン型、1800トン型、3000トン以上の3つに分けられます。このうち、日本の船はその殆どが最も小さい1000トン型となります。これは国内の漁業法により建造できる船の大きさが制限されているためです。諸外国では台湾、韓国、中国が1800トン型であり、EU船が3000トン以上のサイズの巻き網船をメインに運用しています。船体が大きいほど、魚倉の容積や速力、耐航性などに優れる他、魚群探索用のヘリコプターを艦載できるなど、メリットが大きくなります。このため、日本にとっては入漁料に加え、船体サイズの不利もあり、非常に厳しい条件での国際競争を強いられていると言えます。

今回は、鰹節の原料を漁獲する巻き網漁の近況について話をさせて頂きました。次月はその巻き網船が入港し、水揚げする様子を説明出来ればと思います。焼津の港へ足を運んできましょうか。