03.養殖事業とかつお節

こんにちは。小林食品の前島です。
今回は、魚の養殖について気になるニュースがあったので、紹介を兼ねて養殖の話題。

①大養殖時代の到来?
 ブリやマダイ、最近ではマグロなど、養殖魚のおかげで高級魚が以前より気軽に食べられるようになってきました。この魚の養殖事業ですが、大規模な養殖を可能とする新システムの実験が今年12月より、鳥取県の3kmほど沖合で始まります。
 実験に養殖されるのは銀鮭で、来年5月の出荷に合わせて養殖を行うそうです。これまでの養殖は沿岸部で行われていますが、この実験に成功すれば沿岸部より5kgほど離れた沖合で行うことが可能になります。
 沖合で養殖可能となれば、いけすの大型化によって、いけす一基当たりの生産規模がおよそ50倍になることが予想されていて、更に日本における養殖可能な海域も10倍になると見込まれています。この実験が成功すれば、養殖事業の飛躍的な拡大と、大量生産によるコスト削減が現実的になると期待されています。

②養殖事業の抱える課題
 大量養殖が可能になれば、高級魚がいつでも安価に食べられるようになると喜ぶばかりでなく、養殖拡大により危惧される点もあります。それは、魚の養殖に使われる餌です。
 いけすで養殖される魚には、もちろん餌を与える必要があります。この餌の中には、天然の幼魚も含まれていて、天然資源の枯渇が懸念されています。養殖サバの餌として、大量の天然のサバ幼魚が使われているなんてことも。価格の安い大量に獲れる魚が餌に回る事で安価な魚の価格が底上げされてしまうという影響もあります。節の原料となる魚種が餌に回ることで、原魚の価格が上昇し節の価格を上げてしまったこともあります。
 養殖用の飼料も開発が進んでいるので、天然の幼魚に頼り切りになる事はありませんが、不漁が続き生活が立ち行かない漁師がやむなく養殖餌用として幼魚の水揚げをして稼ぎを得ているという実情もあるため、国として何らかの対応策を打ち出す必要性があると言われています。

③養殖のかつお節…出来ないの?
 さて、少しネガティブなことも書いてしまいましたが、養殖事業が大きくなれば魚の価格が下がる、つまりかつお節も安くなったりしないかな?と思います。
 結論から言うとなりません。理由はいくつかあります。まず一つ目に、かつおの養殖が割に合わないため行われていません。かつおはマグロ同様回遊魚で、常に泳いでいないと死んでしまう魚です。養殖に非常にコストがかかるため、マグロのように人気があってよく売れる魚でないと元が取れません。
 もう一つは、魚の脂。養殖魚はもちろん食べるために養殖されています。脂ののった美味しい魚が養殖されますが、節にするための魚は脂が多いと削った時に粉になりやすく、だしを取った時も濁りやすいため節に向かないのです。