3.世界での鰹の状況

こんにちは。先月の説明では、中西部太平洋地域で、日本の相対的な影響力の低下が続いたわけですが、鰹の需要自体は世界中で高まってきました。鰹は缶詰の原料になり、世界中で幅広い市場があります。以前は鮪も缶詰の原料でしたが、鮪から鰹にシフトされつつあります。    
缶詰は最も安価な動物性たんぱく食品として世界中で需要が増しており、今後も人口増加が考えられる地域では需要が増していくでしょう。また現在消費されている地域でも、1ヵ月に1缶食べていたものが2缶食べるだけで単純に2倍になります。残念ながら、2倍の需要に追いつけるほど、鰹が獲れているわけではありませんので、時と場合によっては取り合いになります。

例えば、鰹を取り扱う主な国は、欧州はスペイン、アジアはタイ・インドネシア・フィリピン・韓国、北米はアメリカ、南米はエクアドル、そして日本があります。これは世界中で鰹が消費されている事を意味します。タイは自国では取りませんが、輸入量が57.7万t。日本は鰹の漁獲としては27万tですが、旋網船での漁獲ベースでは大凡15万t~16万tと言われていますので、加工用の鰹の消費という場面では4倍近くになります。
1970年で大凡50万t、90年で150万t、2014年の資料では世界では300万tほど取れておりまして、年々増加傾向です。先に挙げた国以外の諸国でも80万tほどの鰹に関する取扱量があります。
鰹は赤道を中心として比較的暖かい地域でしたらどこでも捕れる事と同時に、原料が質として安定していますし、鮪よりは相場が安定しています。これが世界中で需要が高まる要因の一つです。ちなみに鰹は産まれてから速い物では1年で産卵を始めるそうです。鮪は資源としては減少(乱獲)しつつあるのですが、鰹は資源としては乱獲状態にはなっていないのです。また中国はまだ鰹の加工・消費が7万tですが、仮に始まってしまったら、とんでもなくなると思います。またインド洋での水揚げは2013年度では39万t。西部太平洋の191万tからみますと非常に少ないですが、これはインド人が鰹を食べる習慣がない事が原因で、獲れたカツオはほとんどタイの缶詰工場に行きます。インド用の鰹は暖かい地域ですので脂肪分が少なく加工用としては良質ですので、一時期、日本の商社がインド近海で鰹漁を行い、日本に運ぶ事を考えましたが、インドでのインフラが整わず、計画倒れになりました。インドも中国同様に加工・消費が始まれば世界中での需要は更に増えていく事でしょう。
またアフリカ諸国では加工と消費が始まっておりませんが、今後の人口増加を考えますと、いずれ需要が高まってくると思われます。以上の理由から需要が増えていく為、数回に分けて説明してきました通り、優良な漁場を抱える国では政治上の外交カードとして使えるようになってきたのです。
(参考資料:FAO)来月に続く