8.山彦日記 11月1日 買い物にチャレンジ

山彦は田舎に住んでいる。JR駅まで25km、半径10km以内に信号が1基の中山間地と呼ばれるのどかな田舎である。こんな田舎でも○○ゾンなどのネット経由で注文するとたいがいの品物は望めば翌日届く。通販・宅配サービスはとても便利である。便利すぎて申し訳ないくらいだ。
山彦が夕方5時に注文した商品の発送連絡メールを見る。その情報をもとに荷物の動きをネットで確認すると、夜の7時に運送会社に引き渡された商品は翌朝5時に配達店に到着している。家までの距離がおよそ200kmであるから、その商品は時速15kmで山彦の家に移動してきたことになる。そのスピードは夜通し自転車で走ってきたと同じくらいであろうか。
その事実を知ってから妄想が過ぎる山彦はネット通販を気軽に使えなくなってしまった。某運送会社のドライバーがWeb上でやりきれない気持ちを露わにしたり、残業代の未払い問題が明らかになったりとの事件がこの気持ちに拍車をかける。彼ら彼女らにも家族があり、憩いの時間があるべきだと。
そうはいっても仕事としてもなくてはならない業界であるし、あらゆる商品が選べるネット通販はとても魅力的であるので山彦は田舎の買い物弱者の老人達に強くお勧めしたい。車を運転できない人にとって買い物は一時間に1本あるかないかのバスでは時間もかかるし、買ったものを運ぶのがまた一仕事であるので、玄関先まで届けてくれる宅配サービスは願ったりかなったりである。
配達ドライバー氏にお願いしておく。老人は受取サインの場所も容易に判別できないし、すばやく受取れない。動作は緩慢で急いでいる時には焦る気持ちもあるだろうが人助けのつもりでゆったりとした対応をお願いします。ねんごろになれば自家製の野菜を持たせてくれるかもしれない。
最後の難関は「ネットで注文できるか?」。人生いつまでもチャレンジである。