うま味の成分「グアニル酸」が、最も多く含まれている食材は、干し椎茸です。
三大うま味成分とは、昆布に含まれる「グルタミン酸」、かつお節に含まれる「イノシン酸」、そして、干し椎茸に含まれる「グアニル酸」です。
グアニル酸を含む食材を用いることで、料理にうま味が増します。
「よし、さっそく取り入れよう!」と思った、前向きなあなた!
干し椎茸のだしは、他の昆布やかつおだしとは、取り方が違います。
干し椎茸から、グアニル酸たっぷりの、だしを取るには、他のだしとは違うちょっとしたコツがあるのです。
もし、お子さんが干し椎茸が苦手なら、他の食材でも「グアニル酸」のうま味を活用できます。
干し椎茸のだしの取り方から、グアニル酸を含む他の食品の事など、グアニル酸にまつわること、すべてをお伝えします!
目次
1.グアニル酸とは
グアニル酸は、三大うま味成分の一つです。
三大うま味成分とは、昆布に含まれる「グルタミン酸」、かつお節に含まれる「イノシン酸」、そして、干し椎茸に含まれる「グアニル酸」です。
グアニル酸は、シイタケやエノキタケなどのキノコ類の旨味成分でキノコ類に多く含まれます。
添加物としての調味料は、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩の4グループがあり、このうちの核酸系調味料としても利用されます。
1957年に、ヤマサ研究所の国中明がシイタケ中から抽出したグアニル酸が新たなうま味成分であることを発見しました。
2.グアニル酸を含む食品
グアニル酸が多い食材は、干し椎茸、乾燥したキノコ類全般、その他に、海苔、ドライトマト、ホタテ貝、ポルチーニ、ずわいがに、ウニなどにも含まれています。
生のキノコ類には僅かしかありませんが、乾燥させることや、冷凍後に加熱することで何倍にも増えることが分かっています。
単位(mg/100g)
食品 | グアニル酸 |
干し椎茸 | 150 |
海苔 | 3~80 |
ドライトマト | 10 |
マッシュルーム | 50(加熱時) |
参考:うま味インフォメーションセンター
3.グアニル酸を食材ごとたっぷり取るためのコツ
グアニル酸はうま味の一つです。うま味をより感じられる料理をとる為のコツをお伝えします。
3-1.干し椎茸は冷水で戻す
干し椎茸のだしの取り方についてご紹介します。
グアニル酸たっぷりの出汁にするには、3つのコツがあります。
温度と、時間、そして加熱です。
(1)冷蔵庫に入れておくこと(冷水5℃で冷やす)。
(2)5時間置くこと。
(3)最初は、強火で乾椎茸から気泡が出始めたら弱火にすること。(60~80度で20分程加熱)
グルニル酸は、調理前の干し椎茸などの乾燥キノコにはあまり多く含まれず、調理過程で増加します。
水に戻す過程で、グルニル酸の素のリボ核酸が増加しますので、まずは、長時間(5~10時間)、冷水(5℃)で戻します。冷蔵庫で戻すとよいでしょう。その後、加熱で増やします。
45度~60度だと、グアニル酸がグアノシンに変わってしまいます。また、80度以上だと、グルニル酸を増やす酵素が失活します。ですので、強火で一気に加熱した後、弱火で60~80度を維持するといいです。
3-2.ドライトマトはお湯で戻す
ドライトマトにも、グルニル酸が10mg(100g中)入っています。
キノコ類が苦手な人にはうれしい情報です。
イタリアでは、保存食として利用されているドライトマトですが、最近では、日本でも手に入りやすくなり料理に利用されるようになりました。
もどし方は色々ありますが、カットしてお湯につけて戻します。
オリーブオイルにつける場合も、お湯につけてから戻します。
戻し汁は、グアニル酸やグルタミン酸などの成分が入っていますので、料理に使うとおいしくなります。
※ドライトマトには塩分が入っています。
戻し汁までおいしいので是非料理に取り入れてみてください。
3-3.海苔は軽く炙る
海苔には、グアニル酸、グルタミン酸、イノシン酸の三大うま味成分をすべて含む珍しい食材です。
海苔には多くの成分が含まれていて、「海の野菜」と言われており特に良質のたんぱく質、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB12など、体の健康に欠かせない成分を多く含んだ自然食品です。
世界でも海苔を食べる国は少ないのですが、日本では、8世紀から食べられていました。
軽く炙ると核酸類が増加することが確認されています。海苔のうま味成分は主にグルタミン酸などのアミノ酸類なのですが、焼くことでイノシン酸、グアニル酸、アデニル酸などの核酸類の増加しアミノ酸類の甘みを引き立てる作用があります。
そのまま刻んで、料理にかけても、十分おいしいですが、すこし炙ってから利用するとさらに香りとうま味を味わうことができます。
食品 | グアニル酸 | グルタミン酸 | イノシン酸 |
干し海苔 | 3~80 | 550~1350 | 1~40 |
4. グアニル酸とグルタミン酸の相乗効果
グアニル酸は、単独で利用するより、グルタミン酸を含む食材と一緒に利用した方が、相乗効果でおいしくなります。
グアニル酸は、うま味受容体を変形させ、グルタミン酸をより長時間保持させるので、うま味を強く感じさせるのです。
グルタミン酸を多く含む食材は、主に昆布やチーズ(パルミジャーノ)に多く含まれています。その他、緑茶、干し椎茸、トマトやグリーンピースなどの野菜類・魚介類にも含まれます。
グルタミン酸とグルニル酸の組み合わせは、日本では精進だしとして、かんぴょう(グルタミン酸)、干し椎茸(グアニル酸・グルタミン酸)が利用されてきました。中国では香茹湯(シャンルゥタン)という、干し椎茸(グアニル酸・グルタミン酸)をもどしてから、ねぎとしょうが(グルタミン酸)を加えた、だしが利用されています。
食材 | グアニル酸 | グルタミン酸 |
干し椎茸 | 150 | 1060 |
海苔 | 3~80 | 550~1350 |
ドライトマト | 10 | 650〜 1140 |
チーズ(パルミジャーノ) |
| 1200〜1680 |
羅臼昆布 |
| 2290〜3380 |
真昆布 |
| 1610〜3200 |
利尻昆布 |
| 1490〜1980 |
日高昆布 |
| 1260〜1340 |
「イノシン酸とグルタミン酸」・「グルタミン酸とイノシン酸」のうま味の相乗効果は世界的に料理に応用されています。
さいごに
グアニル酸は、主に干し椎茸に含まれる成分で、三大うま味成分の一つです。
グアニル酸が多い食材は、キノコ類、中でも干し椎茸に一番多いです。他には、ドライトマト、海苔などに含まれます。
干し椎茸を常温で戻していた方は、ぜひ、冷蔵庫で戻してください。
うま味のある食材をうまく活用して、料理に奥行きを出していきたいですね!
コメント