皆さんは掻敷(かいしき)という言葉を聞いたことがありますか?
掻敷は「あしらい」の一つで料理の下に敷く、木の葉、紙のことです。
食べるものではありませんが料理に季節感や彩を演出する
和食には欠かすことのできないアイテムです。
そのため高級料理店から家庭料理まで幅広く使用されています。
この記事では掻敷の歴史・種類・使用時の注意点などについて解説していきます。
5分程度で読めますのでぜひ掻敷の世界を知るきっかけにして下さい。
1.掻敷(かいしき)とはあしらいの一つ
掻敷(かいしき)には様々な種類があります
例えば柿の葉寿司でも使用される柿の葉(上記写真)は代表的な掻敷の一つです。
掻敷(かいしき)は和食の「あしらい」の一つです。
「あしらい」というのは料理を盛り付ける際に、料理に敷いたり、乗せたり、添たりする物の総称です。
「あしらい」は、器に盛り付けたお料理を、いっそう引き立てる目的で添えるものです。
「あしらい」には「掻敷」と「つまもの」があります。
「掻敷」は、主に料理の下に敷く植物の葉などを意味します。
「つまもの」は、お料理に添えるような形で横や正面、上に置きます。
1-1.掻敷は料理の演出をするアイテム
掻敷は単なる飾りではなく、様々な効果が期待できるアイテムです。
かいしきを用いる事でまず料理の色味や香りを引き立たせることができます。
また料理に季節感を演出する効果もあり、場合によっては保存、防腐効果もあります。
なお、掻敷はあくまでも添え物なので食べることはできません。
◇コラム 掻敷の歴史
掻敷の歴史は古く、奈良、平安時代から使われています。
〇器の代用
「家にあれば笥(け)に盛る飯も草枕 旅にしあれば椎の葉に盛る」 『万葉集』
現代語訳 「家にいると器によそうご飯ですが、今は旅の途中なので椎の葉に盛ります」
この歌からは椎の葉が器の代用として使われていたことが読み取れます。
〇宮中での使用
宮中の大御食(おおみけ・天皇のお食事)や
内裏歌合(だいりうたあわせ・宮中で和歌を詠み合って優劣を競い合った遊び)において、
沈香で作った舟をお皿に飾ったり、柳の枝を料理に添えたりしたという平安時代の日記が残ります。
※下記のwebサイトを参考にしました
【食材のこだわり】あしらいその1:掻敷【しげよし】 仕出し割烹しげよし
1-2.掻敷の種類について
ここでは掻敷(かいしき)の種類について紹介します。
①青かいしき
植物の葉や花、実、枝などを使う場合を「青掻敷」といいます。
四季折々の植物の葉や花を料理に添えることで、和食の魅力を引き立ててくれます。
料理がお皿に盛られているだけよりも、青々とした葉や花が添えられていると、
美しさが増して、季節の移ろいを感じることができます。
②紙かいしき
和菓子や天ぷら、焼き物などの下に敷くかいしきで、奉書紙などがよく使われます。
余分な油を吸ってくれたり、和菓子を飾ったり、包んで持ち帰る等の役割があります。
また紙かいしきには白い紙を使うのが一般的です。
白は非常に清浄であり、神聖な色であるためです。
更に料理を引き立てる効果も期待されています。
1-3.代表的な掻敷3選
今回は青かいしきでよく使われる3つの葉を紹介します。
①笹野葉
お店で販売されていることが多く、入手しやすいかいしきのひとつです。
大きく一枚で使えるため、存在感があります。
抗菌や殺菌の効果があるため魚料理に用いられ、
生ものを使用する寿司に敷いたり、巻いたりすることが多いです。
②なんてん
「なんてん」は漢字で「南天」と書きますが、
これは「難転」として、災難に合わないようにという願いが込められており、
料理以外にも家の鬼門にあたる方角に植えたりします。
③ゆずり葉
ゆずり葉は、新しい芽が出てから古い葉が落ちることからこの名があり、
だいだいの実と同じように、親子代々相継ぐめでたい葉という意味があります。
1-4.掻敷を使用する際のポイント
①種類・衛生面に注意する
季節に応じて旬の掻敷の使い分けを意識すると良いでしょう。
季節ごとに次のようなかいしきがあります。
興味がありましたらぜひ調べてみて下さい。
春…やまぶき・つつじ・梅など
夏…ショウブ・よもぎ・わらびなど
秋…萩・なでしこ・柿の葉など
冬…イチョウ・ヒイラギ・ヒノキなど
また食事に添えるものですから鮮度には注意が必要です。
毒性のあるもの棘のあるものも基本的には避けて下さい。
②多用しすぎない
掻敷を過剰に使うと料理自体が見えにくくなり、見た目のバランスが損なわれてしまいます。
多用しすぎると、料理本来の味や香りが消されてしまう可能性もあります。
あくまでも主役は料理です。掻敷は、食材を引き立てる役割だと考えましょう。
2.まとめ
この記事では掻敷の基本について解説しました。
使い方次第で料理の見栄えを良くし上品な雰囲気を出すことができます。
ぜひ活用して和食に彩を添えてみて下さい。
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