みんなに説明したい!おせち料理の意味

みなさんは、お正月におせちを食べますか?
家族でおせち料理を囲むのはお正月の醍醐味ですよね。
そんなおせちには意味や歴史があるんです。

昆布には「よろこぶ」、鯛には「めでたい」など、おせち料理にはそれぞれ意味が込められていることは有名ですが、栗きんとん、かまぼこなどそのほかのおかずに込められた願いはご存じでしょうか。

意味を知って、よりおせち料理を楽しみましょう!


1.おせち料理を食べる理由:お祝いや神様へのお供え物の意味

おせちが誕生したのは弥生時代といわれています。

縄文時代の終わりごろに中国から稲作が伝わり、弥生時代からから「節供(せちく)」が始まりました。この「節供(せちく)」がおせち文化の起源だといわれています。

「節供(せちく)」は収穫を神様に感謝し、お供えするためのものです。季節の変わり目を「節日(せちにち)」「節句(せっく)」などと呼び、その際に神様にお供えしたものを食すことでご利益にあずかっていたと考えられています。

奈良時代になると「節会(せちえ)」が始まります。「節会(せちえ)」は節目ごと行われ、邪気を払い不老長寿を願った儀式です。その際にも「節供」がふるまわれており、平安時代には五節会と言われる1年に5つのある節日ごとに食べられるものとして定着しました。

江戸時代になると五節句の日は祝日と定められ、幕府ではお祝いの料理として豪華なおせちが作られるようになりました。

江戸時代後半から明治時代になると、おせち料理は重箱に詰められるようになり、今までは大皿に盛られていた形式から、箱を重ねることは福を重ねることにつながる、料理が保管しやすくなるといった理由で重箱に詰めるスタイルになっていきました。また、利便性が良くなったことで今まで幕府内で行われてきた食文化が一般庶民にも広がり、おせち料理は一般的な食文化となり、さらに料理に対しても1つ1つに意味が込められ始めました。

第二次世界大戦後には、「おせち」という呼び方が定着され、デパートに並び始めます。今までは「食積(くいつみ)」「蓬莱(ほうらい)」と呼ばれ家庭ごとに作られていましたが、「おせち」としてデパートで販売されるようになっていき、現在に至ります。


2.おせちのお重、おかずに込められた意味

おせち料理は5段の重箱に詰められるのが主流です。
実は、江戸時代前半までは家庭で手作りし、重箱ではなく普通のお皿に盛りつけられていました。重箱に詰められ始めたのは江戸時代後半からで、重箱を用いることで「福が重なる」という意味になり、縁起が良い物と考えられるようになりました。
そんな重箱にも段数ごとにそれぞれ意味が込められています。
それぞれ紹介していきます。

2-1 壱の重:「不老長寿、子孫繁栄、家内安全」

最初に開ける重なので、自身や家族の健康や家内安全の意味が込められています。具材は、「祝い肴」と呼ばれるお祝いの場にふさわしい料理を詰めます。その中でも数の子、田作り(ごまめ)、黒豆は「三種肴(さんしゅこう)」と呼ばれ、欠かせないものとなっています。

①数の子:「子孫繁栄」

数の子を煮てかつお節などを上にかけた料理です。
魚は一度に産む卵の数が多いため、子孫繁栄の意味が込められています。また、数の子はにはニシンの卵であり、「二親(にしん)」十いう漢字が当てられ両親の長寿を願う意味も兼ねています。

②田作り(ごまめ):「豊作祈願」

田作りはカタクチイワシの稚魚を乾燥させ、甘辛いタレで絡めたおかずです。イワシは畑を耕す際の肥料として使用されていたため、五穀豊穣の願いが込められています。ごまめと呼ばれることもありますが、その場合は「五万米」という漢字が当てられます。

③黒豆:「不老長寿」「健康」

黒豆をはちみつやみりんなどで甘く煮たものです。
「まめに」働くことで家族全員健康でいられる健康でいられるようにといった意味を持ちます。黒豆の黒色は邪気を払う意味があるとされています。

 

2-2 弐の重:「学業成就、喜び、財産」

具材は「口取り」と呼ばれる甘い物や「酢の物」で構成されています。
「口取り」は、栗きんとんや伊達巻など見た目が華やかで甘い味付けのもの。
「酢の物」は紅白なますなどの酢に浸した料理です。
甘みや酸っぱさのある味付けは日持ちが良くなることにもつながります。

①昆布巻き:「子孫繁栄」「長寿」

ニシンなどの魚を昆布で巻いたおかずです。
「子生(こぶ)」と漢字を当てられることから「子孫繁栄」、
「養老昆布(よろこぶ)」と漢字を当てられることから、「長寿」の意味が込められています。
また、「喜ぶ」の語呂合わせから縁起が良いものとされています。

②栗きんとん:「商売繁盛」「勝負運向上」

さつまいもや栗でできた餡に栗の甘露煮を絡めた甘くて子供に人気があるおかずです。
漢字で「金団(きんとん)」と書き、これは金の団子、金の布団の意味があります。
黄金色であることから小判や金を連想させることから財産、金運、富をもたらしてくれるといわれています。
また、干した栗を臼でついて殻と渋皮を取り除いたものと「かち栗」といいますが、これと「勝ち栗」をかけて勝負に勝つという意味も込められています。

③伊達巻:「学業成就」「子宝」

卵と魚のすり身をすりつぶして甘く味付けし、渦上に巻いたものです。
勉強の際に使われる巻物のような形状をしていることから、知識が増える様にという願いが込められています。
また、子供を連想させる卵を用いて作られていることから子宝に恵まれるという意味もあります。

④紅白かまぼこ:「魔除け」「清浄」

タラなどの魚をすりつぶし、華やかに色を付け固めたかまぼこ。生魚を加工することで、長期保存を可能にしました。
赤と白の色は華やかさを演出するだけではなく、赤には「魔除け」、白には「清浄」「神聖」の意味が込められています。
また、半円の形は太陽を連想させることから日の入や日の出を表しています。

 

2-3 参の重:「出世、不老長寿」

海老や鯛などの海の幸をが詰められており、おせち料理のメインになっています。
鯛は「めでたい」、海老は「背中が曲がるくらいまで生きる(不老長寿)」と意味が込められており、縁起が良いとされる海の幸が詰められています。

①海老:「不老長寿」

海老を出汁や調味料で煮た料理です。
海老には長いひげがあり、火に通すと背中が曲がることから「長寿」の意味を持ちます。
また、脱皮をする性質があることから「生まれ変わり」の意味もあります。

②鯛:「めでたい」

鯛をまるごと焼く「姿焼」、または鯛を砂糖やみりん、醤油などで甘じょっぱく煮ることもあります。
鯛は恵比寿様が持っていることもあり、昔からハレの日(お祝い)に好んで使われている食材でした。
「めでたい」とかけて縁起物として扱われています。
また、鯛の皮の赤色は魔除けや喜びの意味を持つため、おせち料理としてふさわしい食材として定着されました。

③ぶり:「出世祈願」「子孫繁栄」

ぶりを醤油やみりん、砂糖などで味付けして照り焼きにしたものが入ります。
ぶりは稚魚から成魚になるまでに名前が変わる魚(出世魚)の代表とされる魚です。そのため、ぶりが大きくなることにかけて「出世」への願いが込められています。
また、「出生を運ぶ」ということから子孫繁栄への意味も込められています。

 

2-4 与の重:「無病息災、家運向上、子孫繁栄」

野菜などの山の幸を煮た煮物や酢の物で構成されています。
酢の物は、箸休めの意味があります。
煮物は、複数の具材を一つの鍋で煮る為、「家族みんなが結ばれるように」という意味が込められています。与の重は料理が詰められている最後の重であるため、家族の健康や幸せを願って締めると考えられているのです。

①れんこん:「家運向上」「将来への明るい兆し」「子孫繫栄」

煮物や酢れんこんに使われています。
れんこんにはたくさんの穴が開いており、そこから将来の見通しが良くなるという願いが込められています。
また、蓮は極楽浄土の代表格とされ神聖だと考えられていることから、供物としてふさわしい食材だとされていました。

②里芋:「子孫繁栄」

里芋は主に煮物につかれています。
1つの種でたくさんの実がなることから「子宝」を連想させ、意味が込められました。

③たけのこ:「子供の健康」「立身出世」

たけのこも煮物に使われている食材です。
成長が早く、上に向かって真っすぐ伸びることから「子供が健康に育つ」願いが込められています。
また、成長が早いことから「出世」の意味もあります。

 

2-5 五の重:「空箱」

具材は詰められておらず、空箱です。
神様からの福を授かるという意味があります。
地域によっては自分たちが好きなおかずをつめるところもあるそうです。

おせちの重ごとの意味、おかずに込められた意味を紹介しました。
おせちに入れられるおかずの地域差については、あまり大きな違い無いようですが、北海道のなますには地元でとれた鮭が入っていたり、鹿児島県ではさつま揚げが入っていたりと地域の特産品を用いることもあるみたいです。

 


3.現代のおせち

弥生時代に誕生したおせちは、時代の変化やニーズに合わせて様々な変化をしてきました。

そもそも、おせちは神様へのお供え物として誕生し、江戸時代までは「神様へのお供え用」「自分たちが食べる用」の2種類が用意されていました。また、重箱に詰められておらず、おせち料理の意味も江戸時代以降から後付けされていったものです。

そして、時間がたち現代では自分たちが正月を楽しむための料理として定着しています。
人々の好みの違い、時代の違いに応じて、おせち料理も昔とはまた違った変化を遂げています。

ここでは、現代に誕生した面白いおせちをいくつかいくつかを紹介していきます。

①スイーツおせち

すべてスイーツで敷き詰められたおせちも誕生しました。ケーキ、ゼリー、マカロンといったような1口サイズのスイーツが数十種類入っていてお子様にも人気です。壱の重には和菓子、弐の重には洋菓子といったように、様々な種類のお菓子を少しずつ食べれるのも魅力的ですね。

②肉おせち

普段のおせちに加えて肉料理も楽しめるおせちです。ローストビーフ、ミートローフ、肉巻きなどが詰められています。和風だけでなく洋風も味わいたい、みんなの目を引くおせちを持っていきたいという方へおすすめです。

③中華おせち

中華レストランが中華料理に焦点を当てて作ったおせちです。小籠包やシュウマイ、エビチリなど様々な中華料理が入っています。今までのおせち料理にとらわれず、各専門店が自分たちの得意分野でおせちを作っているのも面白いですね。

このように、時代の変化、人々の求めるものの変化に応じて様々なおせちが誕生し、大人から子供までがより楽しむようになりました。普段のおせちでもよいですが、変わったおせちを持っていくとみんなの注目を集めること間違いなしです。


まとめ

おせちのお重の数、またおせち料理には様々な意味が込められていました。次の年が良いものになるように願いながら、周りの人と意味を分かち合ってみましょう。より楽しいお正月を過ごしてみてください。

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