「お家でもOK」特徴のある醤油・味噌・塩ラーメンのかえしの作り方

うどん屋さんやそば屋さんは、だしで「かえし」を割って、つゆを作ります。

ラーメン屋さんも「かえし」を使って、ラーメンのスープに味付けしています。

「かえし」は元々蕎麦業界に使う言葉ですが、ラーメン業界では「タレ」といいます。

同じ役割で、だしやスープに使う複数種類の調味料をブレンドし、工夫をした複合調味料です。

同じ役割ですが、中身が少し違います。「かえし」の調味料は基本的調味料、醤油、砂糖、味醂、お酒ですが、「タレ」は基本調味料以外に、そのほかの素材も使います。

調味料をスープと一緒に長時間煮込むと、調味料本来の風味がなくなり、水の飛ばしにより、味のブレが生じます。そのため、スープと調味料を分けるのではないかと思います。

「かえし」は業界用語で、難しいと思いませんが、実は、ご家庭の台所でも作れます。

本文では、醤油ラーメン・味噌ラーメン・塩ラーメンのかえしの紹介やそれぞれ特徴を生かした作り方を紹介します。

出来たかえしがラーメン用だけでは、ひと工夫すれば、使い道が広がります。

家庭でも揃える素材なので、ぜひ、作ってみてください。


1、ラーメンの「かえし」と麺つゆの「かえし」の違い

 ラーメンのかえしは、「タレ」とも呼ばれます。調味料の煮詰めです。多くの店は、チャーシューの煮汁にさらに調味料を添加して煮詰めたものを使っています。

 うどんやそばの麵つゆのかえしは、醤油、砂糖、みりん(お酒)を使います。かえしについてより詳しく知りたい方こちらの記事も合わせ読んでみてください。「【かえしの作り方】だしと相性抜群のかえしを作るための5つの手順

これから、醤油ラーメン、味噌ラーメン、塩ラーメンのかえしの作り方を紹介します。スーパーの材料で家の中で簡単にできるので、やってみてください。

 


2,醬油ラーメンのかえし

2-1、醤油ラーメンの醬油について

 醤油の種類で、スープの色に大きく影響されます。醤油は大きく5つに分類されています。一般的に、使われているのはこいくち醤油です。醤油を選ぶときは、色だけではなく、うまみの多寡もポイントです。醤油のうまみは「全窒素分」として、数字化で比較しています。数値が大きいほど、うま味含有量が多いです。同じ濃口醬油の中で、この全窒素含有量でランク付けしています。スーパーでよく目にした醤油の「上級」、「特級」等のランクは、このように付けられます。

醤油の種類一覧

 うま味が欲しいですが、色も薄くしたい場合は、たまり醬油と白醬油の組み合わせも可能です。また、うま味、色、塩分のバランスを取りながら、数種類の醤油を使う場合もあります。 

 それでは、一般の家庭の台所にある、濃口醬油で、醤油の香りを楽しめる醤油ラーメンのかえしを作ります。

2-2、醤油の香を楽しめる、醤油かえしの作り方

1-2-1,醤油かえしの材料

☆濃口醬油   150g

☆昆布     5g(幅5㎝以内の10㎝程) 

☆干ししいたけ 3g(乾物の1枚)

★酒     50g

★お酢     2g

(★砂糖    2g)    

★濃口醬油  50g 

1-2-2,醤油かえしの作り方

 1、 ☆昆布と☆干ししいたけを☆濃口醤油に漬け込み、一晩寝かせます。

 2、 中火で加熱して、沸騰直前に昆布と椎茸を取り除きます。

 3、 弱火にし、お酒、お酢、砂糖を入れます。静かにかき混ぜ、アルコール分を飛ばします。

 4, 最後に、★の醤油を入れて、香りを引き出します。

 より甘くしたければ、砂糖の量を調整することは可能です。もっと塩味が欲しいのであれば、塩で調整します。  

  このように、醤油を2回分けて入れることで、醤油の旨みと香り2方楽しめる醤油かえしができます。冷蔵庫で最低1晩寝かせて、2週間以内に使い切ってください。

 この醤油かえしに合うラーメンスープは鶏がらスープと魚介類のだしスープです。

 醤油かえしとスープの割合について、おおよそ、20gのかえしで、スープは1.5〜2.5玉分のスープが目安です。お好みの濃さで調整してみてください。            


3、味噌ラーメンのかえし

味噌ラーメンの基本のかえしは、味噌、香味野菜、調味料で作られます。 

3-1,味噌ラーメンの味噌について

 味噌ラーメン屋さんの味噌返しは、数種類混ぜて使う事があります。それは、味噌によって、良さや特徴が違うのです。

 味噌󠄀の発酵熟成は、微生物の働きによるものです。微生物の働き方は気候風土、環境、水質など、さまざまな条件によって変わり、さらには蔵によっても味や特徴の違いが出ます。そのため、地方によって、みその違いが大きいです。

味噌と地方

 分類方法も「原料による」と、米味噌、麦味噌、豆味噌;「味による」と甘味噌、甘口味噌、辛口味噌;「色による」だと、赤系味噌、淡色系味噌、白味噌 があります。 

 そのため、美味しい味噌ラーメンの味噌かえしは、1種類の味噌だけではなく、複数種類の味噌をブレンドしたものとなります。どの味噌を使えばよいかを迷うなら、米味噌、麦味噌、豆味噌のブレンドをすれば、よいと思います。 

 

3-2,コクのある味噌ラーメンの味噌かえしの作り方

 味噌ラーメンのコクのあるのかえしは、味噌、香味野菜、調味料で作られます。 ご家庭では、たくさんの種類の味噌が持っていないかもしれないので、今回は米と大豆をブレントした味噌と赤味噌の作り方を紹介します。

3-2-1,味噌ラーメンかえしの材料(6杯分)

 味噌:

  米と大豆のブレント味噌:150g

  赤味噌:50g

  ごま油:大さじ1

 香味野菜:

 玉ねぎ:1/8個(中玉)

 ニンニク:10g程度(2かけぐらいです。チューブやペーストの場合は、大さじの7~8割で1さじ)

 しょうが:10g程度(1かけ弱、チューブやペーストの場合は、大さじの7~8割で1さじぐらい)

  *1かけは親指の先から第一関節くらいです。 

 調味料:

  醤油:20cc(大さじ1杯強程度)

 お酒:10cc

 味醂:10cc

 砂糖:2g

 すりごま:5-10g

3-2-2、味噌ラーメンかえしの作り方

 1、鍋に2種類の味噌とごま油を入れます。

2、香味野菜をすべてすりおろしておきます。

3、鍋に弱火をかけ、味噌を炙るような感じで炒めながら混ぜ合わせます。ここで、味噌の生臭みを飛ばし、炒った香を付けます。

4、味噌が良く混ざりましたら、この時、味噌の色が少し濃くなります。

  すりおろした香味野菜をすべて入れます。

5、弱火のままで、焦げない炒め混ぜます。味噌の色さらに濃くなります。

 鍋にすりごま以外の調味料をすべて入れます。

6、弱火をかけ、焦げないように、かき混ぜます。

7、パチパチの音が忙しくなり、大きいな泡が出ましたら、火を止め、パチパチ音がなくなるまでかき混ぜます。

8、すりごまを入れ、良く混ぜたら、保存容器へ移して、完成です。

 この味噌かえしに合うスープは豚骨スープ、もしくは野菜スープです。 豚骨スープの油脂分は味噌の塩味をマスキングしてくれ、よりコクを感じます。野菜スープの甘味は、味噌の塩分と中和し、味のグラデーションが深くなります。 


4,塩ラーメンのかえし

 塩ラーメンのかえしは、醤油かえしや味噌かえしと比べて、少しハードルが高いです。その理由は、塩は「旨味」等はついてなくて、塩(えん)味しかないからです。そのため、旨味をバランスよく、効率よく入れることは非常に重要です。

 「旨味」と「塩」は2つの相互作用もありますので、今回は、旨味成分を利用した塩ラーメンかえしを紹介したいと思います。

  塩と旨味の2つの相互作用は:1,旨味で「塩カド」が取れる。2、塩で「旨味」を感じやすくします。より詳しく知りたい方、こちらへ「旨味と塩2つの相互作用及び旨味を利用した減塩料理の3つの方法

4-1、深みのある塩かえしのうまみについて

 一番手に入れやすいのは、鰹節と昆布です。これをゲットできれば、イノシン酸とグルタミン酸が入手できます。さらに、干し椎茸とあさりを入れれば、グアニル酸とコハク酸が確保できます。

4-2,塩かえしの塩について

 「塩」と言っても、世界中にはいろいろな塩があります。しかし、分類としては、「精製塩」と「自然塩(天然塩)」2つしかありません。

 精製塩は、自然塩から精製されたもので、自然塩は精製されないので、ミネラル等が豊富で、コクや旨味を感じる場合もあります。

 日本の塩は、ほどんと海水で作られた「海水塩」で、まろやかな味わいです。さらに、海水塩は魚介類と相性がよいのは、じんわりと旨みを引き出せるため、今回は天日干しの海水塩(自然塩)を使用します。

4-3、奥の深い塩ラーメンのかえしの作り方

 4-3-1、塩ラーメンのかえしの材料

 鰹節(厚削り):40g

 昆布:10g

 干ししいたけ:1枚(約5g)

 殻なし冷凍アサリ:120g(殻付きであれば200g)

  水:500g

醤油かえしの材料

調味料

 お酒:85cc

 レモン汁:15cc

 砂糖:1-2g

(白ワインがあれば、上記のお酒とレモン汁なくでもよいです。100cc使います。)

 味醂:30cc(おおよそ大さじ2)

 薄色醤油:10cc 

 塩:42g

 *一部塩こうじと入れ替えてもよいです。その場合、塩35gに塩こうじを15g)

4-3―2、塩ラーメンかえしの作り方

 1、干ししいたけと昆布を水に入れ、一晩寝かせます。

 2、鍋の下に火が届くぐらいの中火をかけ、沸騰直前に干ししいたけと昆布を取り除きます。

 3、鰹節を入れます。

 4、再び沸騰したら、アサリを入れます。

 5、再再び沸騰したら、弱火へ調整。

 6、20分間、だし取りながら、煮詰めます。

 7、鰹節とアサリを濾し、濾し汁は別の鍋へ入れます。

 8、濾し汁を確認し、最初に入れた水の500ccの約半量、230cc-250ccとなればよいです。250cc以上であれば、弱火で煮詰めます。250cc以下であれば、水を足します。

 9、調味料をすべて入れます。アルコールを飛ばすため、静かにかき混ぜしながら加熱をします。

 10、塩を完全に溶かしたら、火をおろし、完成です。

(塩こうじを使う場合、この段階で入れます.良く混ざり出来ました完成です。塩こうじは、酵素死滅にならないように、あまり加熱しない事が良いです。一回ミキサーかけた方が、米の粒がなくなるので、お勧めです。)

 11、最終的に、おおよそ330-350ccぐらいの塩ラーメンのかえしができます。これで、9ー11杯分の塩ラーメンができます。

 粗熱を取り、保管容器へ移し、冷やしたら、蓋をして、冷蔵保管します。塩分濃度が高いので、3ヶ月ぐらいは持ちます。

 この塩ラーメンのかえしに合うラーメンスープは、味のシンプルなスープで鶏ガラスープや鯛だしスープ、エビだしスープです。

 

 


5,まとめ

 このように、家庭の台所にある素材や調味料で、ラーメンのかえしができます。お好みで味の調整も可能です。

 おさらいとして

 ・醤油ラーメンのかえしは、入れるタイミングにより、醤油の香りが変わります。少量を残して、最後の仕上げに入れると、生醤油の香りが楽しめます。

 ・味噌ラーメンのかえしは、一種類の味噌ではなく、複数種類の味噌をブレントして使うことにより、よりコクのある味噌ラーメンかえしができます。

 ・塩ラーメンのかえしは、一見はシンプルですが、実は奥深いです。塩だけではなく、旨味の添加・生かす・引き出しをすべて考慮したものです。

 できたかえしのアレンジとして、

 醤油ラーメンのかえしは、チャーシューの調味料にもなります。また、味たまごの調味料にもなります。

 味噌ラーメンかえしは、きゅうりをつけて食べてもおいしいです。また、肉の味噌漬け用にも可能です。しかし、焼く前に、味噌の落とす作業は必要です。

 塩ラーメンのかえしは、オリーブオイル、黒コショウ、レモン汁、チーズパウダーと混ぜれば、野菜サラダのドレッシングにもなれます。

 一回作るで、ずっとラーメン食べるではなく、アレンジして、食卓の彩りもできます。

 

さまざまな種類の出汁をご用意できます

例えば液体だしは、出汁を取らずに水かお湯で希釈するだけで利用ができる液体だしです。
お店ごとの味が一定になり、気軽においしい出汁が楽しめます。
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