「自分でとった出汁は常温で保存できるの?」
そんな疑問をもったことはありませんか?
残念ながら出汁は常温では保存できないのです。
雑菌の繁殖や風味の劣化が起き、せっかく手間をかけてとった出汁が無駄になってしまいます。
この記事では出汁を常温で保管してはいけない理由を2つの観点から紹介し、筆者の実験に基づいたおすすめの保存方法もお伝えします。
これを読めばご自宅でとった出汁を最後まで美味しく料理に使うことができるようになりますよ。
1.出汁は常温で保管できません
出汁は常温だと3時間程しかもちません。その理由は2つあり、お腹を下す危険性がある事と
せっかく作った出汁の風味が著しく落ちてしまうからです。
その理由について詳しく説明します。
1-1.雑菌が繁殖し、お腹を下す危険があるから
出汁を常温(特に20℃~60℃)で放置すると、ウェルシュ菌という雑菌が繁殖しやすくなります。
熱に耐性のあるウェルシュ菌は、加熱調理後50℃程度まで下がると増殖を始めるため、調理後は10℃以下にすみやかに冷却する事が望ましいです。
ウェルシュ菌は腹痛や下痢等の症状を引き起こします。多くの場合は発症から1~2日で回復すると言われますが、基礎疾患のある方や子ども、高齢者は重症化する危険があるため注意が必要です。
1-2.風味が落ちてしまうから
常温保存の場合、出汁を引いてから数時間で本来の風味は失われてしまうといわれます。
今回は作りたての出汁を3つの保存方法に分け、比較することにしました。
常温(10~20℃の冷暗所)・冷蔵・冷凍それぞれで製造から3日後・1週間後で香りに違いが見られるかを実験してみました。
今回の実験の結果を筆者の主観に基づき、下記の図1に示しました。グラフの縦軸は香りの感じ方を、横軸は時間の経過を表しています。
常温保存では出汁を引いて3日経過すると出汁本来の香りが無くなり、1週間経過すると魚の生臭さを強く感じました。冷蔵保存でも、日数が経つにつれて香りが薄れていきました。冷凍保存では、製造当日から1週間後で風味に変化はほとんどなく、良好な状態で保存できたことを確認できました。
以上の結果から、出汁を最後まで美味しく楽しむためには冷凍保存が最も適していることがわかります。
【図1】 時間の経過による香りの感じ方の変化
2.出汁の保存は冷凍がおすすめ!
前の章で説明したように、出汁を保存する際は冷凍で保存するのが一番おすすめです。
保存する際は、清潔で密閉された容器に保存するのが望ましいです。
冷凍保存したケースを比較しても、3日後と1週間後では色や香りに違いはみられません。
【製造3日後】
【製造1週間後】
冷凍で保管できる期間の目安は2~3週間程度です。長く保存しすぎると、冷凍庫内の臭気が出汁に移ってしまうことがあるため、注意しましょう。
出汁を長期保管し、状態の悪い物を使った場合、健康に悪影響を及ぼす場合があります。保存期間はあくまで目安であり、においや色に少しでも異変を感じたら捨ててください。
以下のリンクに出汁の保存に適した密閉容器の紹介をしていますので、気になる方はチェックしてみてください。
適切な保存期間と容器を用いることで、出来たてと変わらない品質の出汁をいつでも楽しめるようになりますよ!
3.まとめ
出汁は常温では保管しないでください。
雑菌の発生による食中毒や風味の劣化を防ぐために重要です。
出汁が余ったり、翌日以降に使いたい場合は冷凍保存を推奨しています。
適切な方法で保存することで、美味しく料理に出汁を活用できるといいですね。
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