発酵調味料を使って料理をしていますか?
普段から様々な調味料を使って料理をしていると思いますが、その中に醤油や味噌などの発酵調味料と呼ばれるものがあります。
ご家庭で作る料理、特に和食には欠かせない発酵調味料ですが、発酵調味料には「麴」を使うという共通点があります。
麴とは穀物に麹菌を繫殖させて発酵させたものです。その中でも、和食の中心である米に麴菌を繫殖させて作る米麴が発酵調味料を和食に欠かせないものにしています。
この記事では和食を作るときに欠かせない代表的な発酵調味料を5つ紹介していきます。
1,発酵調味料とは
発酵調味料とは、人体に害を与えない微生物を使って製造された調味料のことです。
そもそも発酵とは、人体に害を与えない微生物が物質を分解させ、発酵が進むことで、デンプンは糖に、タンパク質はアミノ酸に変化します。
デンプン自体は甘みを感じませんが、糖になる事で甘みが感じられるようになります。
タンパク質も同様に旨味を感じませんが、グルタミン酸やアスパラギン酸といった旨味を持つアミノ酸に分解される事で、私達は旨味を感じる事ができます。
例えば、お米を噛んでいると甘くなる…というように、通常私達が食物を食べて咀嚼をするだけでも、デンプンは分解されて甘み旨味を感じる事は出来ますが、
発酵の効果でより甘み成分や旨味成分が増えて、さらに料理のおいしさを強く感じることができるのです。
中でも発酵調味料の原料にもなっている米麴は、米のデンプンを麴菌のはたらきによって分解し、糖に変化させています。和食の中心である米の甘みを強く感じる味付けができるため和食との相性が良いと考えられます。
2,和食に欠かせない5つの発酵調味料
発酵調味料と言うと、和食では米麹の他にも魚醬や塩麴、酒粕などを利用して作られた様々な発酵調味料が使われています。
また世界に目を向けてもナンプラーのような魚醬など、たくさんの発酵調味料があります。
この記事では和食全般で活用されている代表的な5種類の発酵調味料について、原料と料理の旨味を引き出す効果を中心に紹介します。
2-1 醬油
醬油は、大豆と小麦を麹菌が発酵して作られた発酵調味料です。
発酵に数か月かかり、熟成期間には酵母菌や乳酸菌がはたらくことで、旨味や風味を引き出しています。
大豆と小麦に含まれるタンパク質が、麴菌はたらきによってグルタミン酸など約20種類のアミノ酸に変化しているため旨味を強く感じます。
苦味成分であるイソロイシンなどのアミノ酸も含まれており、塩味や酸味と一緒になることで味のコクを引き出しています。
醬油は地域ごとに個性があり、日本農林規格(JAS)によって5つに分類されています。
全国的に幅広く使われている「濃口醬油」、関西で生まれた素材の色を美しく仕上げる「淡口醬油」、中部地方で造られる色の濃い「溜醬油」、山口県生まれの濃厚で刺身や冷奴に合う「再仕込醬油」、愛知県生まれのお吸い物や茶碗蒸しに合う「白醬油」です。
醤油は、様々な種類がありますが、お刺身に使う以外にもお吸い物や煮物料理などには欠かせない発酵調味料といえます。
2-2 味噌
味噌は、大豆と米・麦を塩と混ざりあった麴菌が発酵して作られる発酵調味料です。
発酵と熟成は合わせて1ヶ月から1年で、この熟成期間に酵母菌が働き、まろやかさや風味を生み出しています。
味噌は、米味噌、麦味噌、豆味噌の3つに分類されます。
麴菌が米を発酵させた米麴と大豆を原料とする全国的に作られる「米味噌」、麴菌が麦を発酵させた麦麹と大豆を原料とする「麦味噌」、麴菌が豆を発酵させた豆麹を原料とする「豆味噌」です。
味噌は、味噌汁や田楽みそとしても使用されており、まろやかな風味を加えたい料理には欠かせない調味料です。
2-3 日本酒
日本酒は、米を麹菌と酵母菌が発酵して作られた発酵調味料です。
和食では料理の隠し味として使われたり、生肉の臭み消しとして使用されることが多く、食材の雑味を抑えて風味を整える効果があります。
日本酒には米由来のアミノ酸が含まれているため、旨味成分であるグルタミン酸・コハク酸・アラニンなどが豊富で、料理にコクや旨味を増加させてくれます。
また、日本酒に似たものとして料理酒がありますが、大きく異なる点は料理酒には塩が添加されていることです。日本酒の原料は米と麹ですが、料理酒の原料は米と麹と塩です。料理酒の原料の米は日本酒の原料の米と比べて磨きが少ないことや、アルコールが抑えられていることも特徴です。
塩以外にも甘味料や酸味料などが添加されているものもあり、料理酒は味を整える効果を持っています。
2-4 酢
酢は、穀物や果汁から作られた酒を酢酸菌が発酵して作られた発酵調味料です。
酸味をつけるだけではなく、カルシウムを煮溶かす効果があるため骨までしっかりと柔らかくすることが出来ます。
米や小麦などを原料とする穀物酢、リンゴやブドウの果汁を原料とする果実酢があります。
和食ではお寿司や酢の物に合う米から作られた米酢がよく使われています。
夏場には酸味が聞いたお酢を使うことも多いですが、煮魚などにほんの少し使うことで味が染みやすくなります。
2-5 みりん
本みりんは、焼酎にもち米と麴菌が米を発酵して作った米麴を加えて作られた発酵調味料です。
麴菌のはたらきで、もち米の糖分を焼酎に溶け込ませることで甘さを強く感じる調味料になっています。
糖分が多く含まれているため、てりやつや、コクを引き出す効果があります。
みりん風調味料といったものがありますが、これは糖類やカラメルでみりんの味を作っているものなので発酵調味料ではありません。
みりんタイプ調味料というものもありますが、これは料理酒同様に塩が添加されているものです。
他の調味料での塩味を控えめにして使う必要がありますが、塩が添加されているため味が整いやすいと言えます。
3まとめ
発酵調味料は熟成する際の微生物のはたらきによって、味が感じられないデンプンやタンパク質を糖やアミノ酸に分解し、美味しいと感じやすくなっています。
特に米麴を使っている発酵調味料は、和食で感じる甘みや旨味と調和するため、おすすめです。
米麴から作られた調味料には、発酵される過程で生成される旨味成分のアミノ酸が多く含まれているため、和食の旨味を引き出す力が強くあります。
今回の記事を参考に発酵調味料を活用して、より美味しいと感じる料理を作ってみてはいかがでしょうか。
コメント