みなさんは和食(コース)で何の料理がどのような順番に出てくるのかご存知でしょうか?
和食のコースは呼び方や品数に違いはありますが基本的に
・先付け
・吸い物
・向付け
・焼き物
・煮物
・揚げ物
・蒸し物
・酢の物
・ご飯、香の物
・止め椀
・水菓子(甘味)
で構成されている場合がほとんどです。まずは、それぞれの内容や料理のポイントを解説していきます。次に御膳のように同時に料理が出た場合の食べる順番、知っておきたいポイントも解説していきます。御膳のように一気にまとめて料理が出た場合にどれから食べるべきか不安や迷いがあると思います。
今回の記事で和食料理の構成を知り、御膳の食べる順番や楽しみ方を理解することの手助けになれば幸いです。必ずしも順番通りに食べなければいけないということでは無いので今回覚えたポイントを踏まえて自身の好きな食べ物から召し上がるのも良いと思います。
目次
1.和食(コース)の出される料理の順番
①先付け
先付けとはコース料理の構成の中で一番最初に出される料理となります。
コースでは一品ずつ料理が運ばれてきますのでこの場合は出された順番にいただきましょう。先付けの由来はお造りやなますをご飯と汁物の奥側である向こう側に付けた物として向付けと呼びます。その向付けよりも先に出される料理を指すため先付けと呼ばれるようになったといわれています。
お皿に直接乗っている物はそのまま食べるようにしましょう。小鉢やお椀に小分けて入っているものについては必ず持ち上げて食べるようにしてください。串物はお箸でゆっくりと引き抜いて、抜いた串はお皿の側へ寄せておいてください。
②吸い物
先付けの後に提供されるのが吸い物です、口の中を整えるためにも少し薄めの味付けで提供されます。鰹節のお吸い物が有名ですが、秋口には松茸の土瓶蒸しが出ることもあります。
お吸い物では蓋は目上の人が先にあけるまで待つのがマナーとされています。まずは左手を添えて右手で蓋を持ち上げてください。次に半円を描くように蓋を回して開けます。裏返した蓋はお椀が右側にある場合は右奥に、左側にある場合は左奥に置きます。食べ終わったら必ず蓋をかぶせるようにしましょう。この時に蓋を斜めにかぶせないように気をつけてください。蓋を元通りにかぶせるタイミングは各自の判断で大丈夫です。
③向付け(お造り)
手前の両椀に対して向こう側に置くことから向付けと呼ばれます。お刺身やなますが供されることが多いです。盛られた順番を左から右へ、または、白身や味が淡白なものからいただくようにしましょう。
わさびはお刺身に乗せて醤油をつけると言われることも多くありますが、醤油に溶かしても問題ありません。ただし、お刺身に直接わさびを乗せた方が本来の風味や見栄えも良くなり、より食事を楽しめると思います。醤油皿は手に持っていただいても問題ないですがその際に醤油が垂れないように注意してください。
④焼き物
旬の魚が切り身や尾頭付きで出されることが多く、肉、海老、帆立の場合もあります。
焼き魚は中骨に沿って身に箸を入れ、頭の後ろから尾にかけて身を食べていきます。焼き魚を食べるときに気を付けたいのは尾びれ側から食べたりつついて食べる、裏返したりはしないことです。
海老や貝料理などはお箸だけで食べるのが難しいため、手を使っても構いません。焦らずに丁寧に食べましょう。懐紙を準備しておくと食べ終わった魚の骨を隠したり、汚れてしまった場合の箸先を懐紙で拭っておくこともできます。
⑤煮物
季節の野菜を煮たものが出されます。小さい器であれば手で持ち、大きめの器なら置いたまま食べて大丈夫です。煮物での蓋の取り方は、吸い物のときと同様です。左手をお椀に添えて右手で静かに蓋を持ち上げる。蓋を元に戻す時も蓋の裏側に溜まった水滴がお椀の外へこぼれないように注意しましょう。
⑥揚げ物
野菜や魚の天ぷらが出されます、淡白な味のものから濃い味へと食べられるように盛り付けられている場合が多く崩さないように手前のものから食べていきます。また天つゆでいただく場合はつゆが垂れてしまわないよう天つゆの器を手に持ち、静かにつゆをつけて口に運んでください。
口元に器を近づけ過ぎると見栄えも悪くなりますので注意が必要です。
⑦蒸し物・酢の物
蒸し物とは、茶碗蒸しや酒蒸しのことです。特に茶碗蒸しが出されることが多いです。蓋に付いている水滴を器の内側で切ってから、器の隣に置きます。また息を吹きかけて冷ますことはしないこと手前からいただくことと音を立てないこともポイントです。
食べ終わったら蓋を閉めて元通りの形に戻しましょう。酢の物は口をさっぱりさせる役割があります。出された量が少なくても一機に食べることをせずに味わって食べてください。器が小さければ手に持って食べても大丈夫です。
⑧ご飯・香の物・止め椀
ごはん、香の物、止め椀はセットで出されることが多いです。香の物は漬物、止め椀は主に味噌汁やすまし汁の事を指します。どれか一つの物を食べ続けたりしないようにご飯、香の物、止め椀をバランスよく食べます。
この3点は最後の料理であることも意味しているのでお酒の追加注文は控えましょう。
⑨水菓子
すべての料理が下げられたあとに食事の締めとしてデザートが出されます。和菓子、季節の果物、シャーベットなども出されます。
また複数のデザートが一度に運ばれてきた場合は味の薄いものから食べていきます。繊細な味や香りを楽しむ為にも味の濃いものは後で召し上がりましょう。一緒に抹茶が出された場合はまずは和菓子からいただきそのあとに抹茶を飲むのがマナーです。
2.御膳のように料理が同時に出た時の食べる順番
会席料理や和食の宴会料理はコース形式で順番に出てくることが多いと思います。順番に出てきた場合は出された順に食べ進めれば良いのですが、御膳のように料理が一度にテーブルに並んでいる場合もあります。
一度に料理が同時に出てきた時に食べる順番を知らずに食べてしまう事も多いと思います。ここでは同時に料理が出された場合の食べる順番を確認していきましょう。
まず最初に食べるべきものは汁物です。
和食に限らず食事は味の薄い物から順番に食べていくのが味覚から楽しむためにも大切です。
最初に味の濃い物から食べ始めてしまうと繊細な味付けや風味がわかりにくくなってしまうからです。
汁物の次はご飯です。
ご飯を先に食べる理由はご飯の味がおかずよりも薄いからです。
そして味の薄いものを先に食べるのは料理を最後まで美味しく食べるために必要な事です。
そして主菜、副菜という順番で食べ進めていきます。
実は和食ではおかずは左から右に向けて、または手前から奥に向けて味を濃くすることが多いのです。汁物・ご飯・主菜・副菜と順番に食べた後は今度はまた同じ順番で繰り返し料理を食べ進めます。この食べ方は「三角食べ」と呼ばれています。和食においては正しい食べ方とされています。
ここで気を付けてもらいたいのが1品だけをひたすら食べ進める食べ方はマナー違反となります。
和食を食べる際はバランスよく食べるように十分に注意してください。
3.まとめ
今回、和食(コース)の出される料理の順番と同時に料理が出された場合の食べる順番を知って頂けたと思います。和食を食べる時に正しい振る舞い方ができると所作が丁寧に見えます。たとえばお椀を開ける動作一つに対しても持っていない方の手はテーブルの上に置いておくよりはそっとお椀に添える方が上品な印象を与えます。
また、きちんとした順番やマナーを知っているという自信が心に余裕を持たせることが出来、食事の席でも相手に不快な思いをさせる心配が少なくなります。ただし、マナーに囚われすぎては食事よりもマナーに気を取られてしまってはせっかくの美味しい和食が台無になってしまいます。
また最初にもお伝えしましたが必ずしも順番通りに食べなくてはならないということではありません。和食の正しいマナーを知っていれば料理の味や相手との会話に集中できるため食事がより楽しいものとなる、そういう認識で十分だと思います。
コメント