鰹節は体にいいとよく聞きますが、実は下記のような素晴らしい効能があるのです。
・ダイエットしやすい体にする効能
・病気や怪我をしにくい体にする効能
・体や心の疲労を緩和してくれる効能
・若さを保つ効能
これらの効能を持つ鰹節は、ダイエット、それもただ痩せるではなく健康的にダイエットしたいと考えている方を始め、健康を維持増進したい方にはとてもありがたい食品です。
それらの効能は、主に9種類の必須アミノ酸がもたらしてくれます。鰹節は9種類全部を含んでいる食品です。よって充分なたんぱく質を生成できるので、体づくりにとても有効なのです。
もちろん、他のビタミンやミネラルがもたらしてくれる効能もたくさんあります。
これら、鰹節の素晴らしい効能と栄養成分についてまとめてありますので、是非ご覧ください。
目次
1.鰹節の効能(健康効果)
まず、下の図をご覧ください。
鰹節には、これらの素晴らしい効能があります。詳しく見ていきましょう。
1-1 ダイエットしやすい体にする効能
① 新陳代謝促進
有効成分:イノシン酸
イノシン酸が体内に入ると細胞が活性化され新陳代謝が活発になるため、新陳代謝促進の効能があります。
具体的には、髪の毛が抜けて新しい髪の毛に生え替わる、古き皮膚が垢となってはがれ落ちて新しい皮膚に替わるなどです。分かりやすいところでは発汗しやすくなることも新陳代謝が促進されるからです。従いまして②と同様にダイエット効果があるといわれる所以です。
② 脂肪燃焼促進
有効成分:EPA(エイコサペンタエン酸)、ヒスチジン、リシン
EPA(エイコサペンタエン酸)は血液中の中性脂肪やコレステロールを下げる効果が期待できます。ヒスチジンはリパーゼと呼ばれる酵素を活性化させて中性脂肪の燃焼を促進させます。またリシンから合成されるL-カルニチンがダイエットや肥満予防に効果があるとされています。
1-2 病気や怪我をしにくい体にする効能
① 血圧降下
有効成分:鰹節由来ペプチド、EPA(エイコサペンタエン酸)
鰹節由来ペプチドは継続的に摂取すると、血圧の上昇に関係していると言われる体内物質に直接働きかけて、血圧を緩やかに降下させる作用があります。日頃から継続的に摂取していると高血圧の予防としても効果があると言われています。
鰹節由来ペプチドに血圧降下作用があることは、2013年に日本高血圧学会で、2016年には第26回国際高血圧学会で発表されています。
血圧降下剤と同じ位の効果を発揮してくれますが、自然食のため血圧降下剤のように過剰に血圧が下がったり、副作用があったりするわけではないので薬を敬遠したい方にもうれしい成分です。
② 血流を良くする
有効成分:ビタミンB12、葉酸、鉄分、EPA(エイコサペンタエン酸)
細胞の生まれ変わりや新しい赤血球を作ることに欠かせない栄養素であるビタミンB12、葉酸、鉄分が貧血を予防し、EPA(エイコサペンタエン酸)が血液をサラサラにし、血液の循環を助けてくれます。
さらにナイアシン、ビオチンが毛細血管を広げ、末端への血液の循環を促してくれるので冷え症の緩和にも効果があります。血流や血管を健康な状態に保つ働きにより、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などの予防にも効果があると考えられています。
③ 血糖値の上昇を抑える
有効成分:イソロジン
イソロジンは糖分を筋肉に吸収させ、血糖値の上昇を抑えるので、糖尿病の予防が期待できます。
④ 免疫力を高める
有効成分:ビタミンE
抗酸化ビタミンであるビタミンEが活性酵素の発生や酸化を抑え、免疫力を高めてくれます。
⑤ 骨を丈夫にする
有効成分:カルシウム、リン、ビタミンD、マグネシウム
カルシウムは単体ではうまく骨を作ることができずリンやビタミンD、マグネシウムとのバランスが大切です。鰹節にはカルシウム、リン、ビタミンD、マグネシウムがバランスよく含まれているため、骨の形成や促進に効果があります。
1-3 体や心の疲労を緩和してくれる効能
① 疲労回復
有効成分:ペプチド、ロイシン
ペプチドは疲労の原因となる乳酸を分解する酵素を増やしてくれる働きがあります。また、体内でエネルギーの燃焼の邪魔をする水素イオンを除去してくれる働きもあります。そして脳内の神経伝達を邪魔する水素イオンも除去してくれるため集中力もアップします。
鰹節の素になる鰹はものすごい長距離を泳ぐ魚です。(マグロもそうですが)それができるのは疲労回復効果があるペプチドを体内に多く持っているからなんですね。
② ストレス解消
有効成分:トリプトファン
必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンは脳に運ばれるセロトニンという神経伝達物質を作る役割があり、主に不眠を解消する効果があります。
セロトニンは心のバランスを保つ効果があるので、ストレス解消や不眠症の改善に効果があると言われています。
③ 精神の高揚
有効成分:フェルニアラニン
フェルニアラニンは脳内神経伝達物質であるドパーミンやノルアドレナリンの生成に関与します。人は例えば大きな大会で試合をした時など、「アドレナリンが出た」なんていう会話をしますね。
1-4 若さを保つ効能
① アンチエイジング
有効成分:ビタミンE、イノシン酸、タンパク質、ビタミンD、ビタミンB2、ビタミンB6、メチオニン、ヒスチジン、セレン
セレンは活性酵素を無害化する効能があります。抗酸化物質のビタミンEやビタミンDとともに活性酵素を無害化し、老化を抑えガンや動脈硬化の予防になります。
そして必須アミノ酸であるヒスチジンには成長促進の効能があります。また、新陳代謝の分野で扱ったイノシン酸はアンチエイジングにも効果があります。細胞が活性化されることは美肌効果や口内炎、ニキビなどの肌荒れにも有効であると言われています。
② 美肌効果
有効成分:トレオニン、バリン
トレオニンはコラーゲンの生成に関与する成分ですので、美肌効果があります。
バリンは肌を内側から支える働きのアミノ酸で、肌の張りや弾力を保つことで美肌効果も期待できます。
1-5 その他の効能
① デトックス効果
有効成分:カリウム、メチオニン
カリウムを体が必要とする一定量以上に摂取すると体外に汗や尿として排出されます。この効果によりむくみが解消されます。
また、必須アミノ酸であるメチオニンにデトックス効果があります。
② 脳細胞の活性化
有効成分:DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や網膜に取り入れることが出来る数少ない栄養素のひとつであり、細胞膜を柔らかくし、シナプスを活性化させて脳の伝達性を高める働きがあると考えられています。この働きにより記憶力や学習能力の向上に効果があります。
2.鰹節の栄養成分
1章では鰹節を食べることによって得られる効能を見てきました。2章ではその効能をもたらす、鰹節の栄養を体系的に見てみましょう。
まず、下の表をご覧ください。
鰹節100g当たり
たんぱく質 | 77.1g |
---|---|
脂質 | 2.9g |
炭水化物 | 0.8g |
残りは水分その他です。
たんぱく質、脂質、炭水化物を3大栄養素と言います。
鰹節は、たんぱく質が非常に豊富で、炭水化物がほとんどない食品であると、ざっくり把握してください。
上の3大栄養素にミネラル(無機質)とビタミンをあわせて、5大栄養素と言います。
このことを抑えたうえで、下の表をご覧ください。
鰹節の栄養成分を上の表よりも細分化して、1章で紹介した効能と紐づけした表です。
鰹節100g当たりの含有量
成分 | 含有量 | 効能 | |
必須アミノ酸 | イソロジン | 3.5g | 血圧の上昇を抑える |
ロイシン | 5.9g | 疲労回復 | |
リシン | 6.6g | 脂肪燃焼促進 | |
トレオニン | 3.5g | 美肌効果 | |
バリン | 4g | 美肌効果 | |
トリプトファン | 0.95g | ストレス解消 | |
メチオニン | 2.2g | アンチエイジング、デトックス効果 | |
ヒスチジン | 5.6g | 脂肪燃焼促進、アンチエイジング | |
フェニルアラニン | 3g | 精神の高揚 | |
核酸 | イノシン酸 | 470~700mg | 新陳代謝促進、アンチエイジング |
ペプチド | 鰹節由来ペプチド |
| 血圧降下、疲労回復 |
脂肪酸 | EPA | 99mg | 血圧降下、脂肪燃焼促進、血流を良くする |
DHA | 560mg | 脳細胞の活性化 | |
ビタミン | ビタミンD | 6μg | 骨を丈夫にする、アンチエイジング |
ビタミンE | 1.2mg | アンチエイジング、免疫力を高める | |
ビタミンB1 | 0.55mg | 疲労回復 | |
ビタミンB2 | 0.35mg | アンチエイジング | |
ビタミンB6 | 0.53mg | アンチエイジング | |
ビタミンB12 | 14.8μg | 血流を良くする | |
葉酸 | 11μg | 血流を良くする | |
ミネラル | ナトリウム | 130mg | 細胞の機能を正常に維持する |
カリウム | 940mg | デトックス効果、血圧降下 | |
カルシウム | 28mg | 骨を丈夫にする | |
マグネシウム | 70mg | 骨を丈夫にする | |
リン | 790mg | 骨を丈夫にする | |
鉄 | 5.5mg | 血流を良くする | |
セレン | 320μg | アンチエイジング |
ビタミンやミネラルは含有量の多い、代表的な成分を掲載しました。表に載っていない成分も鰹節には含まれています。
※参照
イノシン酸は特定非営利法人うま味インフォメーションセンターホームページ
ペプチドは含有量を数値で示すデータが見つかりませんでした。
2-2でお伝えするようにペプチドはアミノ酸が数個繋がった構造で、それがいくつ繋がっているのか、また結合の仕方にもより種類があり、100g当たり何gという表現ができないからだと思います。そのペプチドの種類などを高度な化学的内容で追及することはこの記事でお伝えしたいことから外れますので、割愛させていただきます。
他は日本食品標準成分表2015年版(七訂)
2-1 必須アミノ酸
アミノ酸は3大栄養素であるたんぱく質を構成する単位で、全部で20種類あります。
たんぱく質を消化分解しアミノ酸にして吸収しますが、そのうち人の体内で生成できないで外から摂取する必要のあるアミノ酸を必須アミノ酸と言います。2章冒頭の表でお伝えしたように、100g中77.1gと非常に豊富なたんぱく質を含んでいる鰹節は、この9種類の必須アミノ酸を全部含有している、人の身体にとってとても有用な食品なのです。
2-2 ペプチド
ペプチドはアミノ酸が数個つながった構造を持っています。アミノ酸とたんぱく質の中間の性質を持つ成分です。
2-3 核酸
核酸は成分の単位としてはたんぱく質と同等で、たんぱく質を構成する単位がアミノ酸なのに対し、核酸を構成する単位はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドという成分です。核酸に分類されるイノシン酸は鰹節に多く含まれるうま味成分として有名ですね。
2-4 脂肪酸
脂肪酸は3大栄養素である脂質を構成する成分です。脂肪酸に分類されるEPA(エイコサペンタエン酸)も、DHA(ドコサヘキサエン酸)もサプリメントの広告でよく見る成分ですね。EPAを含むサプリは血液をサラサラにするや、脂肪燃焼を謳うサプリでよく目にします。DHAは集中力を高めるなどを謳うサプリでよく見ます。
2-5 ビタミン
ビタミンは3大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)の代謝を補助したり、身体機能の調整を行うのに必要な成分です。分かりやすくビタミン○○とつくものはもちろん、ナイアシンや葉酸もビタミンに分類されます。
2-6 ミネラル
ミネラルは私たちの身体を支える骨の形成や身体機能の調整などに欠かせない成分です。また体内では合成できないので、食事として摂取する必要があります。カリウムやカルシウム、マグネシウムなどもミネラルに分類されます。
3. 1日の適正な摂取量
鰹節の効能とそれをもたらす栄養成分について分かりました。
それでは、それらの栄養成分は1日当り、どれくらい摂取すれば良いのでしょう。最大の特長である必須アミノ酸の含有量から考えてみましょう。
尚、2章に示した表は鰹節100g当たりの含有量です、実際はスーパーで購入する削り節小パックを購入して食べます。スーパーを3店舗廻ってみて、小パックは1g~4gの物が販売されていましたが2g、2.5g、3gが主流だと思います。小パック1袋3gで計算してみます。(2章の表の含有量の3%で計算します。)
結論は適正な摂取量は小パック3袋分です。
下の表をご覧ください。
体重60kg当たり
単位:mg
1日の必要量 | 削り節3g当たり含有量 | 削り節何袋分か | |
イソロイシン | 1200 | 105 | 11.4 |
ロイシン | 2340 | 177 | 13.2 |
リシン | 1800 | 198 | 9.1 |
トレオニン | 900 | 105 | 8.6 |
バリン | 1560 | 120 | 13.0 |
トリプトファン | 240 | 28.5 | 8.4 |
メチオニン+システイン | 900 | 66 | 13.6 |
ヒスチジン | 600 | 168 | 3.6 |
フェニルアラニン+チロシン | 1500 | 90 | 16.7 |
*メチオニンとフェニルアラニンは他のアミノ酸との合算で1日の必要量が算出されている。
※参照
必須アミノ酸1日当り推奨摂取量・・・WHO
日本人の食事摂取量(2020年版)策定検討報告書・・・厚生労働省
必須アミノ酸も各成分によって1日当たりの必要量と、鰹節に含まれている量が違いますので、小パック何袋分かという数字も異なった数字が出ます。1番少ない袋数はヒスチジンの3.6袋です。適量を越えないために、1日3袋という目安を覚えておくと良いと思います。
3gパックの外装です。
3gをお皿に盛るとこれくらいです。
2章冒頭で示した表の通り、鰹節はたんぱく質が非常に豊富な食品です。たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、人の体内で作れず、外から摂取することが必要な必須アミノ酸9種類を全て含んでいます。
従って、数多い効能の中でも必須アミノ酸から得られる効能を期待する方にはとても素晴らしい食品です。
と同時に、炭水化物はほとんど含まれていないことも覚えておいた方が良いです。ビタミンも含まれていますが、その量でいえば緑黄色野菜など、鰹節を上回る食品はあります。
鰹節はたんぱく質を、ひいてはアミノ酸を摂取するにベストな食品であることを意識するとともに、他の食品もバランスよく摂ることが健康な体つくりのために大切です。
4. まとめ
このように鰹節には豊富な栄養素や鰹節特有の健康成分が含まれており、鰹節を食べることで様々な効能があるということがお分かり頂けたと思います。
また、鰹節は自然食なので、安心して口に入れることができること、薬のように体に無理な負担をかけて効果を得るわけではないこともとてもうれしいですね。
ぜひ毎日の食卓に鰹節を加えてみてください。
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