日本食がハンバーガーやスパゲティの様に世界の食のスタンダードになりつつあります。特にラーメンやうどん、寿司等は世界に通用する食品になっています。
日本食が世界に広まっていく中で、鰹節も注目されてきています。鰹節は日本だけの物では無く、世界に広まっています。
また、海外で鰹節が使用されるだけではなく、海外で鰹節を製造しています。海外産の鰹節は、品質、安心面でも国産の鰹節に引けを取りません。
年々、海外産の鰹節の数量は伸びています。今後も海外産の鰹節生産量は伸びていくでしょう。
このサイトは海外からの視点で鰹節を見ていきます。
1鰹節の海外の需要
鰹節は、世界中で使用され始めています。弊社の海外向けサイトでも、問い合わせが各国から入ってきます。限定された地域では無く、世界の広い範囲になります。ラーメン店からの問い合わせが多いのが特徴になります。
1-1ラーメン店
問い合わせが、一番多いのがラーメン店になります。鰹節だけでなく、昆布や煮干しと合わせての問い合わせが多くあります。
お問い合わせ実績
オーストラリア・コロンビア・フィリピン・マレーシア・タイ・スウェーデン・オランダ
1-2ペットフード
ペットフードとして鰹節の削り節は、注目されています。海外でペットフードとして使用されている人の感想からみても、猫のおやつとして注目されており、今後も需要が伸びていく見込みがあります。
弊社でも、タイへ鰹節の原料を輸出した実績があります。
お問い合わせ実績
タイ・香港・シンガポール
1-3寿司店
寿司店からも問い合わせがあります。カルフォルニアロールの上に細かい鰹節をかけたり、みそ汁用に使用しています。
お問い合わせ実績
ニューヨーク・ロシア
1-4その他
また、たこ焼きやお好み焼き用にアジア圏への輸出もあります。
この様に見てみると、まだ日本食の本来のダシとしての活用は少なく、鰹節の認知をこれから広めていく必要があります。
2海外で作られる鰹節
鰹節は、海外でも作られています。やはり一番作られている国は日本ですが、海外でも鰹節は作られています。意外なことに鰹節の発祥の地は、モルディブだと言われています。現在も作られていますが、多い数量ではありません。
その他の国でも、鰹が近海で獲れる国では、鰹節を製造しています。海外で作るのには理由があります。下記は鰹節が海外で作られる主な理由になります。
- ① 暖かい水温の地域では、鰹が漁獲される。
- ② 近海で獲れるので、新鮮な状態で水揚げされる。(日本は主に遠洋漁業の冷凍鰹)
- ③ 脂肪の少ない良質な鰹が漁獲される。
- ④ 人件費が安く、手間がかかる鰹節の製造に多くの人員が就労することが出来る。
海外の鰹節は、日本の鰹節と比べて品質が心配と思われますが、決して海外の鰹節が劣ることはなく、国産鰹節、輸入鰹節のそれぞれの良さがあります。
2-1海外節の生産量
鰹節が製造される主な国は7か国ほどあります。
鰹節が製造された鰹節は、主に日本に輸入されます。輸入された実績の順位になります。
2017年度輸入実績(合計5,621トン)
- 1位 インドネシア 2,553トン
- 2位 フィリピン 2,325トン
- 3位 ベトナム 257トン
- 4位 中国 243トン
- 5位 モルディブ 204トン
- 6位 タイ 33トン
- 7位 韓国 6トン
財務省・輸入統計より
参考:日本国内製造量 29,352トン(2016年)
農林水産省・水産加工統計調査より
上記の数字を見るように、やはり日本国内で製造される鰹節の数量が多いのですが、インドネシア、フィリピンでも多くの鰹節が製造されていることが分かります。
主に、海外では各国の近海の鰹を漁獲し、鰹節にして日本に輸出をしています。自国で鰹節を加工することは、現在ではあまりなく、ほぼ日本に輸出されています。
日本国内の消費量が多いことと、削り節にしたり、ダシにしたりする加工技術不足、それと現地で加工して流通させる程、鰹節の需要が広まっていないことと考えられます。
2-2海外での鰹節製造
前章であげたように鰹節が作られている主な国は、インドネシアとフィリピンです。製造の仕方は、日本人の技術指導者が入っていますので、製造方法は日本と一緒になります。
どちらの国の鰹節工場も視察したことがありますので、説明していきます。
- ①水揚げ
- ②鰹を切る
- ③ボイルする
- ④鰹の身を割り骨を抜く
- ⑤燻製にする
①水揚げ
小型の漁船で漁に出ます。

小型の船で巻き網や一本釣りで漁を行っています。

冷凍ではなく、氷水で温度管理をして港に運ばれます。
②鰹を切る
鰹を切り落とし、内臓を取り除き、ハラモの部分を除去します。

③ボイルする
セイロに並べた鰹を90℃以上の熱湯で煮ます。
④鰹の身を割り、骨を抜く
ボイルされた鰹を水の中で、手で割り、毛抜きのような道具で骨を丁寧に抜きます。

毛抜きのような道具で骨を丁寧に抜いていきます。
⑤燻製にする
燻製にする薪は、日本ではクヌギやナラの木が主流ですが、フィリピンやインドネシアでは、マンゴーやアカシア等の木を利用しています。
薪を燃やし、その熱と煙で燻製をさせながら、水分を飛ばしていきます。
⑥品質チェック
水分が十分に飛んで完成したら、鰹節を選別していきます。選別内容は、品質、大きさ、形で分けていきます。選別後に金属探知機を通していますので、安全面でも心配ありません。

最後に金属探知機を通し、金属異物が無いことを確認して梱包します。

2-3日本の鰹節と海外の鰹節の違い
日本の鰹節と海外の鰹節は、味に少し違いがあります。製造工程は一緒ですが、魚の質と冷凍方法が異なるため、鰹節の味に違いが出てきます。
味の違いといっても、僅かなもので食べ比べて少しわかる程度になります。
下記が国内製造の鰹節と海外製造の鰹節の比較表になります。
ブライン凍結は塩度の濃い溶液につけての急速冷凍になりますので、塩味が少々増します。
どちらの鰹節も、同じ工程で作られていますので大きな差はありません。安全面においても、日本の食品製造のルールにのっとっておりますので、安心して食べていただける鰹節です。
3まとめ
鰹節は、現在も世界中で注目されていますが、まだ認知が不十分であります。ただ、今後の日本食ブームは世界にますます広まっていくと思います。
鰹節の使い方を広めることが、鰹節が世界で認められる礎になっていきます。
コメント