目次
1.鰹節の産地とは
スーパーに並んでいる鰹節を見ると、「~産」という表示がある商品がありますが、何処の鰹節にすればいいか迷った事はありませんか?
産地で違いがありますか?というご質問をいただく事があります。
答えから申し上げますと、「国産」と「輸入」では違いがありますが、「国産」、「輸入」のそれぞれの中では産地としての違いは、ほとんど無いと言えます。
それは、産地というのは、鰹の漁獲地ではなく鰹を鰹節に加工する場所の事を言うからです。
ここでは鰹節の産地とはどのような事かを紹介していきます。スーパーに行って鰹節を見たら、袋を見て産地を調べてください。
2.鰹節の産地の定義
先ず鰹節の産地の定義としまして、鰹節の産地とは、鰹が漁獲された場所を産地とするのではなく、あくまで鰹を鰹節に加工した場所を産地としています。
用語を下記に説明します。
漁獲地 ・・・鰹を獲った場所(海の場所)
水揚げ地・・・漁獲された鰹が水揚げされる港
産地 ・・・鰹から鰹節に加工される場所
鰹節の産地は、大きく分けると「国産」と「輸入」に別けられます。
更に細かく分けていくと「国産」は、主に「枕崎産」「山川産(指宿産)」「焼津産」になります。
「輸入」は、「フィリピン産」「インドネシア産」等、作られた国々が産地となっています。
鰹節と聞くと日本の国内でしか製造されていないイメージがある方もいらっしゃると思います。
ダシは日本の文化で、鰹節はダシの代表の一つであるからです。
現在日本国内で使われている鰹節は、日本で作られている物と外国で作られて輸入されている物があります。
以下では、日本で作られている鰹節を「国産鰹節」、外国で作られている鰹節を「輸入鰹節」と表現していきます。
極論を申し上げますと、海外で水揚げされた鰹を日本国内で鰹節に加工すると「国産鰹節」になるという事です。
3.国産鰹節
国産鰹節とは生の鰹を鰹節に加工する場所が日本国内である事を言います。日本国内の鰹の産地は、3カ所で約99%を賄っています。
1つ目は、鹿児島県の「枕崎」。
2つ目は、同じく鹿児島県の「山川(やまがわ)」、最近は山川産を指宿(いぶすき)産と呼ぶこともあります。
3つ目は、静岡県の「焼津」。枕崎、山川を合わせて70%以上が鹿児島県で製造されています。
3-1.国産鰹節の主な漁獲地
鰹の漁獲される場所は、焼津、枕崎、山川共一緒です。
海外の海域に大型まき網船で漁獲をしに行きます。
漁獲地は北緯20度以南の太平洋中央海域で、ミクロネシア連邦、パラオ共和国、マーシャル諸島共和国、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ナウル共和国、キリバス共和国、ツバルの8ヵ国の経済水域になります。
この海域に日本から約1週間をかけて行きます。

この海域で漁獲した鰹を国内では、焼津、枕崎、山川等の港で水揚げされます。
3-2.国産鰹節の主な産地
①枕崎
鹿児島県の薩摩半島にある市です。海岸付近を中心に多くの鰹節工場があります。
42軒の鰹節工場があります。鰹節の歴史としては300年近くあります。
②山川(指宿)
枕崎市と同じく鹿児島の薩摩半島にある町です。
砂風呂で有名な指宿(いぶすき)市にあります。最近では山川産から指宿産に変えています。水産加工団地を中心に鰹節工場がまとまってあります。28軒の鰹節工場があります。鰹節の歴史は100年以上です。
③焼津
静岡県中部に焼津市があります。
焼津市は冷凍鰹・鮪の水揚げが日本一です。焼津では、鰹節の他に、缶詰や鰹の生利節に加工する会社が購入します。
焼津では水産加工団地を中心に市街地にも鰹節会社が点在しています。15軒の鰹節工場があります。鰹節の歴史は130年程になります。
主な産地は上記の3カ所になります。
簡単に申し上げますと、太平洋中央海域で漁獲した鰹を、各港で水揚げをして、各鰹節加工会社で鰹節を作っているという事になります。つまり、同じ場所で獲られた魚を各会社がそれぞれに製造していますので、産地による違いというのは出にくくなっています。
最初に申し上げた産地による違いがあまり無いという事は、このことから言えます。
④例外
上記に上げた3カ所以外に例外があります。
海外巻き網船の鰹を使用するのでは無く、日本近海の鰹を使う鰹節もあります。現在では、製造するところも非常に少なく、貴重です。「近海1本釣り鰹節」という鰹節になります。
市場で目にすることが少なくなってきています。また、小規模ではありますが他の全国各地でも良質な鰹節を製造しています。
4.輸入鰹節
鰹節の中には、輸入鰹節があります。
海外で製造している鰹節になります。以外と思われるかもしれませんが、海外でも鰹節を作っています。
海外で作られた鰹節のほとんどが日本に輸入されています。海外の鰹節の品質を気にされる方もいらっしゃるかもしれませんが、鰹節の質は良く、安全性も高い物になっています。
日本国内で流通している鰹節の内、30%程度が輸入の鰹節が使用されています。
4-1.輸入鰹節の製造地
海外で鰹節を作っている国として、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、中国、モルディブ等があります。
中でも、フィリピンとインドネシアが大半を占めています。製造された鰹節は主に日本に輸出しています。
4-2.国産と輸入の違い
国産の鰹節との大きな違いは、輸入節の多くは各国の近海で漁獲した鰹を使います。近海ですので、大型船ではなく、中型船で漁に行き、氷水や冷凍庫で冷やして港に水揚げされます。
漁場は水温が比較的高いので、鰹に脂が少なく、鰹節としての質はとても良いです。最近の傾向は、鰹の大きさが少し小さくなっています。
製造方法は日本の鰹節の製造方法を見習って製造していますので、鰹節の品質としては日本国産の物に引けを取りません。安全面も日本に輸出するために、多くの会社が食品製造の安全を確保する管理手法である、HACCP(ハサップ)を取得しておりますので安全な鰹節と言えます。
削り節としての違いは、国産と比べ鰹の脂肪分が少なく、塩分も低めであっさりとした味わいになります。すっきりしたクセの無いダシを取ったり、削り節に味を付けて佃煮にするのに向いています。
5.どの産地の鰹節が美味しい?
「国産鰹節」は、漁獲地が一緒で、鰹節に製造された場所が産地となっています。
魚は基本的に一緒になりますので、産地による違いは出にくくなっています。味に違いが出るとしますと、鰹節工場の違いと漁獲された鰹の時期の違いになります。
5-1.鰹節工場での違い
鰹節としての基本的な製造方法は一緒ですが、細かいところで各社の差が出てきます。
鰹の切り方、鰹の煮方、燻製の付け方など、各社が工夫してより良い物を製造しています。何処の鰹節も特色があり、味もそれぞれ違ってきます。
①鰹の切り方では、鰹の身の切り落とす場所が各社違いますので、ダシにした時に味の違いが出ます。
②鰹節を作るときに鰹を煮るのですが、各鰹節工場で煮る時間が異なる為、味が変わってきます。
③また、燻製の仕方は、薪の種類、乾燥機の種類、乾燥時間の違いなどで大きく変わってきます。
5-2.鰹の漁獲された時期の違い
鰹の産地が一緒なので、同じ時期に漁獲された鰹は、差が出にくいのですが、時期によって鰹の質が違う為、産地ではなく漁獲された鰹の時期で違いが出てきます。
通年して漁獲される鰹ですが、時期によって脂が多かったり、少なかったりという事があります。
5-3.メーカーによって違い
産地ではなく、削り節メーカーの違いで味が変わります。
スーパーに並んでいる各削り節メーカーの鰹節削り節は、削り節メーカーが鰹節製造会社から購入して、削っています。各削り節メーカーは自分の会社に合った鰹節や、その製品の特性に合った鰹節を仕入れて、削り節を製造していますので、メーカー独自の味の違いがあります。
6.鰹節の安全性は?
鰹節は安全な食材です。
東北の震災後、放射能は大丈夫かというご質問を受ける事があります。上記に書きましたように、鰹節の鰹の主な漁獲地は、赤道近くの海域ですので基本的には影響がありません。
また各社、衛生面に留意し各種規格等を設けて安全な製品を製造しています。
7.まとめ
各産地とも鰹節の歴史を支えてきています。鰹節の産地は色々ありますが、産地での違いというよりは、鰹節工場、削り節メーカーの違いが大きいと言えます。
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