鰹節にも含まれるプリン体とは?注意すべき病気と4つの予防方法

鰹節 プリン体 アイキャッチ

鰹節は健康に良いって聞くけど、プリン体は少ないのかなぁ…

痛風の原因と言われているプリン体。最近はプリン体OFFのビール等も売ってあり気になる方も多いかと思われます。

健康に良いと言われる鰹節ですが、鰹節100gに含まれるプリン体の量は493.3mgです。
ちなみにプリン体が100g中200mg以上含まれている食品を高プリン体食品と呼びます。

それじゃあ鰹節はかなりアブナイのでは?と不安になったかもしれません。ですが安心してください。あくまでこの数値は100gでの話です。鰹節100gというと、市販の小分けされたパックを30~40袋位食べないといけません。そんなに食べられませんよね。

そもそもプリン体はほぼ全ての食品に含まれており、鰹節よりも注意しなければいけない物のほうが多いのです。

本記事では、鰹節にも含まれているプリン体について解説して、そこから繋がる病気やその予防について講じていきたいと思います。

本記事を読んでいただいた後は、鰹節の見掛けのプリン体量に囚われずに、食事の名脇役として鰹節に彩られた食事を楽しんでいただければ幸いです。


1.鰹節に含まれるプリン体の量

1-1 鰹節のプリン体含有量

鰹節には多くのプリン体が含まれていますが、それほど心配をする必要はありません。その量は鰹節100gに対して493.3mgのプリン体が含まれています。高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインによると、

食品100g中に含まれるプリン体の量に関して

  • 300mg以上:極めて高い
  • 200mg~300mg:高い
  • 50mg~100mg:少ない
  • 50mg以下:極めて少ない

以上の4種類に分類されています。

数値だけを見てみると493.3mgは極めて高いという一番危険な分類に属していますが、あくまでこの分類は食品100gという数値で統一されているものです。

鰹節が100g…この数値がどんな物か考えてみましょう。

私たちが普段スーパーなどでよく目にする、小さくパック詰めされてまとめて売られている鰹節ですが、この一パックはおよそ2g~3g程の量です。100g食べるとしたら、このパックを30~50袋程食べる計算になりますが、そんなにたくさん食べる方はいらっしゃらないと思います。

仮に毎食3g入りの鰹節一パックを食べると考えても、

  • 鰹節3gに含まれるプリン体の量は:493.3mg×0.03=14.8mg
  • 一日三食摂ると:14.8mg×3=44.4mg

となります。

一日に摂取するプリン体は健康な方で目安として400mg程に抑える事が望ましいとされています。

100gあたりの数値だけを見れば非常にプリン体の含有量が多い鰹節も、実際に食べる量を考えたら目安の10分の1程となります。

したがって、余程過剰に食べるような事をしなければ鰹節の身体への悪影響は少ないと考えられます。

参照サイト:公益財団法人 痛風財団「食品・飲料中のプリン体含有量」

1-2 鰹節と比較したプリン体の多い食品

プリン体はさまざまな食品に含まれています。そのなかでも高プリン体食品(100g中200mg以上)といわれている一例として、

プリン体が100gあたり300mg以上 極めて高い食品

  • 鰹節:493.3mg
  • 煮干し:746.1mg
  • マイワシの干物:305.7mg
  • 鶏のレバー:312.2mg

プリン体が100gあたり200mg~300mg 高い食品

  • 鰹:211.4mg
  • 豚のレバー:284.8mg
  • 牛のレバー:219.8mg
  • マイワシ:210.4mg
  • 大正エビ:273.2mg

参照サイト:公益財団法人 痛風財団「食品・飲料中のプリン体含有量」

プリン体が多く含まれている食品は、魚介類や動物のレバー(肝臓)、干物や鰹節等の乾燥物が挙げられます。

鰹やマイワシはもともとプリン体量が多かったものが、乾燥させられることで水分が飛び、成分が凝縮されることにより、元の食品よりも100gあたりのプリン体の量が多くなったと考えられます。

ここで挙げた食品の中でも、一見すると鰹節はプリン体が多いように見えてしまいますが、実際に食べる量として考えてみると、例えば焼き鳥のレバー串一本おおよそ30g程の場合、

鶏レバー100gあたりのプリン体量:312.2mg×0.3=93.7mgとなり、

レバー串一本だけで、先程計算した鰹節三パック分の約二倍のプリン体を摂取する計算となります。比較すれば鰹節から摂取されるプリン体の量はたいした事がない、という事がおわかり頂けるかと思います。


2.プリン体と尿酸

前の章では鰹節に含まれているプリン体の量などについて記載しましたが、そもそもプリン体とはどういう物なのか、この章では簡単に説明をしたいと思います。

2-1 プリン体

プリン体とは生物の全ての細胞に含まれている、核酸を構成している主成分である塩基と呼ばれている物、その中でもプリン塩基という物の総称です。核酸とは遺伝子を司るものとして有名なDNA(デオキシリボ核酸)などの事です。

食品としては所謂旨味成分として含まれていますが、体外から摂取されるプリン体は全体の20%程であり、残りは古くなった細胞の核酸が新陳代謝によって分解された物や、体内で合成されたものが80%程を占めています。

プリン体は臓器などを動かす為のエネルギー物質でもあり、前述の通り全ての細胞に必要不可欠な物質の構成要素でも在る為、私たち人間にとってとても重要な物質となります。

2-2 尿酸

体外から摂取されたり古い細胞の核酸から取り出されたりしたプリン体は、肝臓へと運ばれていき、肝臓にて酸素を結合(代謝)させられて、尿酸という物質へと変化します。

肝臓で産生された尿酸は腎臓へと運ばれて、最終的には尿として体外へと排泄されます。一日に肝臓で産生される尿酸の量は正常ならばおよそ700mgであり、また尿と一緒に排泄される量も同じく700mgなので、体内の尿酸の量は一定に保たれます。

参照:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト


3.プリン体の過剰摂取が引き起こす病気

二章にてプリン体は我々にとって必須の物であるとしましたが、このプリン体が多くなりすぎると肝臓で産生される尿酸も多くなってしまい、それが原因で引き起こされる病気があります。

3-1 高尿酸血症

肝臓で代謝されるプリン体の量が多くなることで、産生される尿酸の量が排泄される量を上回る場合や、そもそも排泄される尿酸の量が減ってしまう事により、血液中の尿酸値が7mg/dl(dl=100ml)以上となると高尿酸血症と診断されます。

この高尿酸血症自体は特に自覚症状などはありませんが、この状態が長期間持続すると、痛風のような激しい痛みを伴う病気へと進行してしまいます。

3-2 痛風

体内の尿酸はナトリウムと結合した尿酸塩として存在しますが、高尿酸血症が長期間続く事により、血液中の尿酸の濃度が高い状態が続き、この尿酸塩が溜まっていき結晶となり、関節に沈着する事で炎症を引き起こします。この関節炎の事を痛風といいます。

この症状は読んで字の如く「風が吹くだけで痛い」とされる程の激痛を伴います。痛風は突発的な痛みであり、一週間から十日程で痛みは一旦治まりますが、放っておくとその内また再発します。

繰り返し再発するうちに、頻度は増えていき関節だけでなく体の様々な場所に結晶が沈着して、更なる症状を引き起こすとされています。

3-3 痛風腎・尿路結石

尿酸塩は関節に沈着しやすく痛風を引き起こしますが、関節の次に体内の老廃物などを濾過する機能を持っている、腎臓内に蓄積されやすいです。

腎臓に尿酸塩が蓄積されると腎機能の低下を招き、尿酸の排泄機能が低下してしまい、更に尿酸が体内に溜まってしまうという悪循環に陥ります。尿酸の蓄積によって巻き起こされる腎障害を痛風腎といいます。

腎臓に蓄積された尿酸塩は大きな塊となり尿路結石となります。尿路結石は尿路(腎臓から尿道までの一連の部位)に形成される結晶の総称であり、形成される部位によって名称が変わります。

尿路結石が形成されると激痛を伴い、尿の排出が上手く行われなくなり、体内に尿酸を含む老廃物が堆積されてしまう事で、体に悪影響を及ぼします。

参照:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

メディカルネットブック「痛風の合併症」


4.尿酸値を抑える4つの方法

 ここまでプリン体や尿酸について、そして多量の尿酸が引き起こす病気について記載してきましたが、これらの病気を未然に防ぐ為に、血液中の尿酸値を7mg/dl以下に抑える為にはどうすれば良いか、考えていきたいと思います。

4-1 プリン体の量を減らす

まずは尿酸の元となるプリン体の量を減らす事から考えていきましょう。なによりも、高プリン体食品の摂取を控えることが大切です。

二章にて体外から取り入れられるプリン体量は全体の20%程度であるとお伝えしましたが、やはり食べ物に気をつかう事も大切になってきます。

多く食べてしまいがちな肉類(特にレバー)や魚介類などには多くプリン体が含まれているので、注意が必要です。

4-2 尿酸の過剰な産生を防ぐ

脂っこい食事や運動不足により肥満状態となると、内臓脂肪が蓄積されます。内臓脂肪が蓄積されると遊離脂肪酸(分解された脂肪が血液に溶解されたもの)が通常よりも多く分泌されます。この遊離脂肪酸が肝臓へと運ばれると、プリン体が代謝により分解されて尿酸が産生されます。

肥満にならない為には、以下の2つが大切になってきます。

  1. 脂肪分の少ない食事を心掛ける。
  2. 適度な運動を行う。

尿酸の産生を防ぐ為には「運動」において注意するべき点が2つあります。

  1. 適している運動はウォーキングなどの軽い有酸素性運動です。
  2. 短距離走などの激しい無酸素性運動を行うと、細胞内に含まれているATP(アデノシン三リン酸)の分解・消費が促進されて、エネルギーが産生されると同時に尿酸も産生されてしまうので、高尿酸血症予防には適していません。

4-3 アルコール類の摂取を控える

・アルコール自体に含まれているプリン体の量は多くなく、比較的多い地ビール類で10mg/100ml前後、少ないものだと蒸留酒(ウィスキーや焼酎ブランデー等)では0.2mg/100ml前後と少ないです。

しかし、アルコールには種類を問わず血中の尿酸値を高める3つの働きがあるのです。

① アルコールの分解により尿酸の産生量が増加

アルコールが肝臓で分解される際に、先程運動の話でも登場したATPが使用されて、同時に尿酸が産生されます。

② 利尿作用による水分の減少

アルコールには利尿作用があり、摂取すると尿が排泄され易くなります。頻繁な排尿により水分が奪われてしまい、尿酸が濃縮されて高濃度になってしまいます。

③ 尿酸が尿へと排出される事を阻害

アルコールが肝臓で分解されると乳酸という物質が作られるのですが、この乳酸が溜まると尿が酸性に傾いてしまい、尿酸が尿に溶けづらくなり残ってしまいます。

近年はプリン体が少ない事を謳っているビールなども多くありますが、これら3つの作用によりアルコール類の摂取はプリン体の量に関係なく尿酸値を高めてしまうので、控える事が推奨されます。

参照:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

4-4 尿酸の排出を促す

尿酸を体外に排出させるには、尿酸塩として存在している尿酸を体液に溶かして、尿と一緒に排泄させる必要があります。

①水分補給をしっかりする:体の水分が少なくなっていると、尿酸が濃縮されて尿酸値が高くなってしまいます。また排泄される尿量も少なくなり、それと共に排泄される尿酸も減少してしまうからです。一日2リットル以上を目安に水やお茶で水分補給をしましょう。ジュース類は糖が多く含まれている為多量に飲まないでください。
②尿をアルカリ性にする:尿が酸性に傾いていると尿酸が溶けづらくなります。そこで尿をアルカリ性にする事も大切です。

尿をアルカリ性にする食品の一例を挙げます。

  • 藻類:ひじき わかめ
  • 豆類:大豆
  • 野菜類:ほうれんそう ごぼう ダイコン かぶ なす
  • いも類:さつまいも サトイモ じゃがいも

参照サイト:e痛風治療ガイド

逆に、肉類や魚類などは尿を酸性にします。

また梅干しなどに含まれているクエン酸も効果的だと言われています。クエン酸は先程アルコールの分解により生じると説明しました、乳酸を分解する効果があるので、尿が酸性に傾く事を防いでくれます。

ここで挙げた食品では

  • ほうれんそう+鰹節でほうれんそうのおひたし
  • 梅干し+鰹節で梅かつお
  • 野菜+わかめ+鰹節を少量トッピングで海藻サラダなど

鰹節とよく合う食品と組み合わせて使用する事で、上手に尿酸値を抑える事が出来るかと思います。


5.まとめ

  • 鰹節は料理に添えたりする程度の普通の使用量であれば、プリン体の量は気にする必要はありませんが、100gあたりに含まれるプリン体量自体はかなり多いので、過剰に摂取しないようにしましょう。
  • プリン体は分解されると尿酸という物質になりますが、この尿酸が体内に多くありすぎると痛風や尿路結石といった、激痛を伴う病気の原因となります。
  • 尿酸値を低く抑える為には、①プリン体の多く含まれている食品を食べすぎないこと ②ウォーキング等の軽い運動や脂質を控えた食事を心掛けて肥満にならないようにすること ③アルコールを控えること ④水分をよく補給して、藻類や野菜を多く摂るバランスの良い食事をすること、この4点が大切です。
  • 本記事で紹介した内容は、あくまで理論上は問題がない。こうすれば尿酸値を抑えられるという事であり、必ずしも本記事の内容を守っていれば、痛風などに罹らないというものではございません。過去に痛風を患ったことのある方、尿酸値が高いと診断された方、体に不調を感じた方は必ず医師に診察してもらい、適切な判断を下してもらうようにしてください。

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