鰹節の厚削りを使ってみよう!うまみの理由とだし取りを徹底解説

鰹厚削り

鰹節の厚削りは見たことあるけど使い方がよくわからない、、、と思っていませんか?

たしかに実際に使っている場面はお蕎麦屋さんや食堂など業務用の食材だと感じることでしょう。でも厚削りはご家庭でも十分使える食材なんです。

「毎朝の味噌汁には厚削りでとっただしをつかっている」
「厚削りのだしでおでんをつくったら、大好評だった」

なんていう声をよく聞きます。やってみたらおいしい、つかいやすい厚削りをつかって料理に活かしてみてはいかがでしょうか。


1.鰹節の厚削りがだし取りに選ばれる理由と根拠

1-1 厚削りがだし取りにが選ばれる理由

鰹節の厚削りのだしのよさはだしのうま味の強さにあります。うま味の強さというのは、味の濃い調味料をつかっても、だしの味を感じることができるということです。だしの味が強くなる理由はその煮だし時間に関係しています。

厚削りでだしをとる場合、だいたい10分から20分かけて行います。花かつお(薄い鰹節)では煮だす時間はありません。沸騰したお湯に花かつおを入れた瞬間に火を止め、静止しておくだけです。花かつおを入れた状態で沸騰させてしまうとすぐに雑味が出てしまうからです。

厚削りの場合は、熱いお湯の中でじっくりと鰹のうまみを引き出すことでうまみの強いだしをとることができます。

1-2 うまみが強い根拠

厚削りでとっただしには花かつおのものよりも118%もうまみが強いです。うま味の強さをしめす数値として窒素分というものがあります。簡単に窒素分について説明します。

うま味を感じさせる成分であるグルタミン酸などのアミノ酸は窒素の化合物です。その窒素の量を測定することでうま味の量を計っています。この方法は醤油の等級をつけるのにもつかわれています。

窒素分が多ければうま味の強いだしといえます。

 

窒素分

厚削りのだし

26.6mg

花かつおのだし

22.4mg

100mlあたり(自社試験)

厚削りのだしのほうが約2割窒素分が多いという結果でした。うま味の成分は複数が絡み合っているため一概にうま味の強さイコールおいしさとはなりませんが、厚削りのだしはうまみが強いといえます。


2.厚削りの種類

厚削りといっても大きく分けて「厚削り」「中厚削り」「厚削り破砕品」の3種類があります。

2-1 厚削り

厚削り およそ1000ミクロン

見ての通り鰹節の形をそのままスライスしたような形をしています。

厚さを計ると1mmくらいあります。表面につやがあり、形の大きいものは脂肪分が少ないので濁りにくく、味がすっきりします。表面がザラザラして、形状が途中で割れているようなものは脂肪分が多く、だしが濁りやすいですが、濁りを気にしなければうまみの強いだしが取れます。

2-2 中厚削り

200~400ミクロン

厚削り比べて少しカールしています。

厚削りよりも薄く削っています。厚さを計ると0.4mmから0.6mmくらいです。厚削りに比べすこし茶色く見えます。厚削りよりも香りが立ちやすく、だし取りの時間も短くできますが、だしのコクは厚削りよりも少し弱いです。

厚削り同様、形状の大きさで脂肪分を見抜くことができます。この厚みで花が大きく出る場合は、かなり脂肪分が少ないです。上品な香りのためにも形状が大きく、つやのあるものがおすすめです。

2-3 厚削り破砕

焼き節粉の画像

厚削りや中厚削りを破砕したものです。

そのまま鍋に入れてだし取りができますが、細かい形状を活かして、不織布に入れてだしパックの中身として使用することができます。だしパックを使用することで、後始末が簡単なだし取りができます。

しかし、この形状になっているものは脂肪分が高めと判断できます。脂肪分が多いため細かくなりやすいからです。破砕もしっかりと煮て、だしを濃く出すのがおすすめです。

2-4 本枯節の厚削り

枯節を削った物
枯節を削った物

鰹の本枯節にも厚削りがあります。その場合、商品の表示には「かつおのかれぶし」と表示されています。鰹節特有の燻製の香りがほとんどなく、味も香りもまろやかなのが特徴です。煮物などのだしに使うとそのまろやかさがよいアクセントとなります。


3.厚削りのだしの取り方

だし取りのコツは煮だし時間を用途によって変えることです。

  • 香りを活かしたい場合は10分(茶碗蒸しなどの香りが生きる料理)
  • うま味を使いたい場合は15分(そば、お味噌汁など他に強い香りのあるもの)

①お湯を用意する。

使用する量の目安は、水(お湯)1リットルに対して削り節を40グラム用意します。

だし取りが終わると大体800ミリリットルになります。お椀いっぱい200ミリリットルくらいなので4杯分、どんぶりは300ミリリットルなので約3杯分のだしが取れます。

そこまでしっかりはかる必要はありませんが、ペットボトルを使うと計量が簡単になります。厚削りを入れる前に鍋のお湯を沸騰させます。

②厚削りを鍋に入れる。

大きな厚削りは鍋からはみ出してしまうことがあります。

湯気をあてるだけではだしが取れませんので、はみ出す場合はちぎって入れます。

③煮だす

小さな水の泡がプクプクしている状態をキープします。アクが出たら取り除きます。

この煮だしの時間でだしが変わります。例えばおでんやそばだしなど鰹節の香りを味わう場合は10分間キープして、めんつゆなどだしのコクを求めるなら15分~20分煮だします。

とにかく、鰹風味を活かしたいというと30分以上煮だすこともあります。注意するポイントは長く煮だすほど水分が蒸発して使えるだしが少なくなるということです。では、煮だし中にふたをすればと思いますが、これはお勧めしません。

だし取り全般に言えることですが、ふたをしないことで香りと一緒に雑味も飛ばしているからです。ふたをして香りと湯気を閉じ込めてしまうと、鍋の中に魚特有の生臭さが残ってしまいます。

④火を止めて、5分から10分待つ

 煮だし後

火を止め、鍋の中が何も動いていない状態でしばらく待ちます。この時間にもじわじわとうまみが流れています。基本はかき混ぜたりはしません。かき混ぜると削り節が崩れて濁りの原因になったり、場合によってはエグ味の原因となります。

⑤だしを取り出す

厚削りのだしの場合は④でしばらく置いておくとしっかりと下に沈んでいるので、特にキッチンペーパーやガーゼなどで濾す必要がありませんが、少しの厚削りのかけらも入れたくない場合にはキッチンペーパーなどを使って取り出します。お味噌汁など他に具が入る料理では濾す必要はないです。

だしがら

取り出すときに濾す必要がなく、だしがらも取り出しやすいのが厚削りの良いところでもあります。


4.だしの活用法

4-2 かつおだしだけで使う場合

厚削りのだしはうまみが強いので、お味噌汁に最適です。

お味噌の味と香りに負けずに存在感を発揮し、「だしが効いてる味噌汁」ができます。鰹だしに醤油やみりんなどのかえしをくわえれば、そうめんやざるうどんのつけつゆとして使用することができます。

ほうれん草のお浸しなどだしをつかった煮物にも使えます。本枯節の厚削りのだしですと、香りも味もまろやかですのでお吸い物にも使えます。

4-2 ほかのものと合わせて使う場合

①昆布と合わせる

厚削りと昆布を合わせただしはおでんに最適です。使い方は簡単で、だしの取り方の①のところにひと手間かけるだけです。昆布を鍋の水1リットルごとに10g(2リットルだと20g)をいれて6時間くらい放置します。画像

火にかける必要がありません。昆布からめらめらとうまみ成分が溶け出すのがわかります。そのあとは、厚削りを入れる前に昆布を取り出せば昆布と厚削りのだしができます。おでんの具材から出るだしと絡み合い、最高のおでんになります。

②ほかの魚の厚削りと合わせる

厚削りには、鰹だけではなく、そうだかつお、さば、ムロアジなどいろいろな魚があります。それぞれの厚削りを混合して使う方法があります。これは特にそばだしに多くみられます。基本的な混合は鰹・そうだかつお・さばですが、鰹の厚削りとにぼし(いわし)など、突き詰めるときりがありません。


5.まとめ

鰹の厚削りでとっただしはうまみがとても強いです。厚削りにも削り方によって種類があり、香りをとるか、味の強さをとるかは使い方で選ぶことができます。

だし取りにも難しいことがないので、ぜひ厚削りをつかってみてください。

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