鰹節に食べ過ぎても問題ない!実際に健康に害を与える可能性が低い理由

鰹節は身体にいいらしいけど、調子に乗って食べ過ぎたら何か健康に影響が出るのでしょか。

答えは心配ないと言えます。

例えば、鰹節は痛風の原因となるプリン体を多く含んでいる食品に分類されます。しかし、鰹節1g当たりに含まれるプリン体は4.933mg、それに対しプリン体の1日当たりの適量は400mg以下です。

このことから、400÷4.93381.1g鰹節を食べると適量を超えることが分かります。鰹節81.1gってどれくらいの量でしょう。100gにも満たない量であっという間に食べてしまう量でしょうか。

いえいえ、鰹節を塊のまま食べる人はいないと思いますが、スーパーで売っている削った鰹節の小パックが最大でも5g位で、これ1袋全部かけて食べきるのはけっこう多いですよ。

このように、何となく心配になっている症状を一つずつその原因となる成分と摂取量から健康に影響はないことを分かりやすくお伝えしていきます。

健康に対する漠然とした心配が取り除かれると思います。ぜひお読みいただいて、鰹節を不安なく食べていただきたいと思います。


1. 鰹節を食べ過ぎても健康に影響はない

鰹節を食べ過ぎると健康に悪影響があるのでしょうか。

答えはないと言えます。

理由は、健康に悪影響が出るほどの「食べ過ぎ」は通常の食生活では起こりえないからです。ここでいう「食べ過ぎ」とは何gくらいを指すのでしょうか。

食べ過ぎると「なってしまう心配がある症状とその原因物質」の鰹節1g当たりの含有量を表にしました。

 

1g当たり含有量

1日当たり適量

鰹節何gに相当

痛風(原因物質プリン体)

4.93mg

400mg

81.1g

アレルギー(原因物質ヒスチジン)

56mg

500mg

(体重50kgで)

8.9g

高血圧(原因物質塩分)

12mg

8000mg

12歳以上男性)

666.6g

皮膚の炎症(原因物質ナイアシン)

0.45g

13~15mg成人男性

10~13mg成人女性

28.9g(適量13mgで計算)

1g=1000mg
1日当たり適量÷1g当たり含有量=鰹節何gに相当(この量を超えると適量をオーバーする)

上の表で分かるように、鰹節何gに相当するか(この量を超えると適量をオーバーする量)が1番少ないものでも8.9gです。この量は、1日で食べることはないと言える(まれに超える日があったとしてもそれを継続することはありえない)数値です。

以下、これらの症状になってしまう心配がないことを一つ一つ確認していきましょう。

※参照
日本痛風・核酸代謝学会による『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』
文部科学省日本食品成分データベース
WHOによる1日当たり推奨摂取量 
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)

1-1 痛風

鰹節の食べ過ぎで痛風になる心配はありません。痛風の原因となるプリン体の摂取量を見ていきましょう。

① そのまま食べた場合の摂取量

痛風の原因となるプリン体を鰹節からのみ摂取する場合、上の表にあるように1日当たりの適量を超すのは81.1gです。

スーパーで売っている削った鰹節の小パックを最大の5gで換算した場合81.1÷516.22パック分です。

同じく2gで換算したらは81.1÷240.55パック分になります。

この量を1日で食べることはないからです。

② ダシをとった場合の摂取量

味噌汁のダシをとるのに理想的な割合は、水1000ccに対して厚削り(鰹節を厚めに削ったもの)40gです。

この割合で800ccのダシが取れます。この時鰹節40gに含まれる成分が100%溶け出すわけではありませんが、最大値として100%溶け出したとして計算します。

鰹節40gに含まれるプリン体=197.32mg(4.933mg×40

味噌汁1杯150cc

上記の条件で

197.32mg×150÷80036.99mg

37mgです。1日当たり適量400mg以下を大きく下回っています。10分の1以下です。

これなら、そのまま食べてもダシをとっても、痛風になる心配はありませんね。

コラム:痛風とプリン体の関係

痛風は、血液中の過剰な尿酸が体の組織に移行して結晶化し関節などにたまって炎症を起こす疾患です。尿酸は細胞核の代謝の過程で作られたプリン体がさらに分解されてできる老廃物です。尿酸は通常、尿や便として排泄されますが、過剰に作られる、又はうまく排泄できないと、体内にたまり、炎症の原因になります。なので、食生活において

プリン体が多く含まれる食品の食べ過ぎは避けましょうと言われているのです。

鰹節は100g当たりで比較したときに、プリン体が多く含まれる食品に分類されています。しかし、上記のように通常の食生活で鰹節から摂取するプリン体の量が適量を超える心配はありません。

ただし、プリン体は核酸に含まれる遺伝物質DNAの構成要素です。適量を超えなければ身体にとって大切な働きをする成分です。 

鰹節の食べ過ぎで痛風でひざが痛くなる心配はありません。

1-2 アレルギー

鰹節の食べ過ぎでアレルギー反応を起こす心配はありません。アレルギーの原因となるヒスチジンの摂取量を見ていきましょう。

① そのまま食べた場合の摂取量

上の表にあるように鰹節を食べてヒスチジンの1日当たり適量を超すのは8.9gです。

小パックを5gで換算した場合、8.9÷51.78パック分です。

2gとした場合8.9÷24.45パック分です。

1日に食べることは考えにくい数値です。

② ダシをとった場合の摂取量

1-1②と同じ条件で計算してみます。

鰹節40gに含まれるヒスチジン=2240mg(56mg×40

味噌汁1150cc

2240mg×150÷800420mg

1日当たり適量(体重50kgで500mg、60kgなら600mg)を下回っています。

しかしプリン体ほど大きく下回ってはいません。

1-1②でお伝えしたように固形の鰹節の成分が100%ダシに溶け出したとして計算していますので、実際はもっと低い数値になりますが、味噌汁よりダシの濃度が高いそばやうどんのおつゆを全部飲み干すことは、あまり頻繁にはしない方が良いでしょう。

コラム:アレルギーとヒスチジンの関係

必須アミノ酸の一つであるヒスチジンが人の体内に入るとヒスタミンに変化します。このヒスタミンは花粉症アレルギーの原因と言われています。花粉症の薬には「抗ヒスタミン」の表示があります。ヒスタミンを抑えるということですね。

もう一つはヒスタミン中毒と言われるものです。ヒスチジンを多く含む魚を常温で長時間放置しておくことによりヒスタミンが生成され、発疹や嘔吐の症状のヒスタミン中毒の原因になると言われています。

鰹節の温度管理に神経質になる必要はありませんが、生の特に青魚は買ったらすぐに冷蔵保管してください。

ヒスタミン中毒をふせぐには温度管理が重要です。

しかしヒスチジンから作られるヒスタミンは決して悪者ではありません。食欲抑制や脂肪燃焼効果があり、ダイエットに有効な成分です。

鰹節の食べ過ぎで花粉症になる心配はありません。

1-3 高血圧

鰹節の食べ過ぎで高血圧になる心配はありません。高血圧の原因となる塩分の摂取量を見ていきましょう。

① そのまま食べた場合の摂取量

上の表にあるように鰹節を食べて塩分の1日当たりの適量を超すのは666.6gです。

小パックを5gとした場合133パック以上食べると超える数字です。これはもう、絶対に超えられない数字ですね。全体としては日本人の塩分摂取量は1日8000mgを超えているのですが、その原因は他にあることは明らかです。

② ダシをとった場合の摂取量

1-1②、22②と同じ条件で計算します。

鰹節40gに含まれる塩分=480mg(12mg×40

味噌汁1150cc

480mg×150÷80090mg

1日当たり適量8000mgをはるかに下回っています。全く問題ない数値です。

コラム:高血圧と塩分の関係

塩分を過剰に摂ると、塩分濃度を下げるために水分の流出を防ごうと尿や汗の排出が抑えられる一方、水分を多く取り込もうとする働きから血液量が増え、そのため血圧が上がります。

しかし、①②から鰹節が塩分過剰摂取の原因にはならないことは明らかです。

逆に塩分が不足すると低血圧の原因になります。何でもそうですが、適量の摂取は必要です。

鰹節の食べ過ぎで高血圧になる心配はありません。

1-4 皮膚の炎症

鰹節の食べ過ぎで皮膚の炎症が起きる心配はありません。皮膚の炎症の原因となるナイアシンの摂取量を見ていきましょう。

① そのまま食べた場合の摂取量

上の表にあるように1日当たりの適量を超すのは28.9mgです。

小パック5gで換算すると28.9g÷55.78パックです。

2g換算で28.9g÷214.45パックです。

1日に食べることのない量です。

② ダシをとった場合の摂取量

上記と同じ条件で計算します。

鰹節40gに含まれるナイアシン=18mg(0.45mg×40

味噌汁1150cc

18mg×150÷8003.375mg

1日当たり適量13mgを大きく下回ります。

コラム:皮膚の炎症とナイアシンの関係

ナイアシンは必須アミノ酸トリプトファン60mgから1mg作られるビタミンB群の1種で、過剰摂取すると皮膚に炎症を起こす原因になります。

ナイアシンの働きは血行促進による美肌効果です。過剰摂取するとそれがいきすぎて皮膚トラブルになる可能性があるのですが、適量の範囲なら大切な働きをする成分です。

鰹節の食べ過ぎで肌の炎症が起きる心配はありません。


2. 鰹節のベンツピレン含有量が健康に影響しない量だと言える理由

鰹節はEUへの輸出が禁止されている食品です。

理由はベンツピレンの含有量がEUの基準を超えているからです。ベンツピレンとは、5個のベンゼン環が結合した結晶で、たばこの煙や排気ガスなど主に煙に含まれ、発がん性が認められている化学物質です。では鰹節のベンツピレン含有量は人間の健康に影響する量を超えているのでしょうか。

答えは、超える量は含んでおらず、無害と言えます。

2-1 実際の摂取量が考慮されていないEUの基準

EUは製造工程で食品を燻すことによって含まれるベンツピレンの量を、発がん性があるとして2/kg以下(2014年に5㎍から引下げ)としています。鰹節にはこれが約25㎍あって基準を上回るというのです。

しかしこの規制は、各々の食品の消費量が違うことにより実際のベンツピレンの摂取量も違ってくるにもかかわらず、単一の基準で行っているから起きる事なのです。

この2/kgの規制対象は、「肉・魚介類の燻製および加工品」で、この中に鰹節も入っています。この規制は輸入品に対するものですから、自国で作る燻製品は関係ありません。

では、ドイツ人が自国内で作ったハムやソーセージなどの燻製品を食べる量と、日本人が鰹節を食べる量が同じでしょうか。同じはずありませんよね。

EU圏内の人が年間に食べる「肉・魚介類の燻製および加工品」が何kgなのか正確な資料はありません。しかし実感として、ソーセージ1口で鰹節の小パック2,3パックにはなるでしょう。両者の間には約70倍の差があるとも言われています。食品別に実際の摂取量を考慮した基準なら、鰹節の基準は2×70140/kg以下で良いということになります。

いずれにしましてもEUの基準は実際に消費される食品の量(それによりベンツピレンの摂取量が違ってくる)を考慮しないで単一の基準で規制しているので、日本から見て現状は「輸出禁止」になっているのです。

1㎍(マイクログラム)=100万分の1

2-2 環境省の基準をはるかに下回る含有量

鰹節のベンツピレン含有量は、環境省が定めるこの量までなら無害ですという基準をはるかに下回っています。環境省の環境リスクの初期評価等(第5次とりまとめ)では、ベンツピレンの無毒性は210/kg・日とされています。

無毒性量とは動物試験などで求められた“この量以下ならば病気などの有害な影響が出ない最大量”のことです

通常、1日当たり、体重1kg当たりの化学物質の量で表します。(例;mg/kg/ 日)

実際に鰹節を毎日5gずつ1年間食べ続けた場合について見てみましょう。

鰹節を15g、毎日食べたとすると1年で何kgになるかというと

5g×365日=1825g=1.825kg

この消費量の場合、1年でベンツピレンをどれだけ摂取するかというと

1.825kg/人・年×25/kg=45.625

この数値を「1日当たり」「体重60kgの人として1kg当たり」に直します。

46.625㎍人・年÷365日÷60kg=0.0021/kg・日

この数値を環境省の基準と比較すると

210㎍/kg日÷0.0021/kg日=100,000

無毒とされる数値の10万分の1の値になります。

「外国に輸出が禁止されている食品とういことは安全性に問題があるのかな」という心配はする必要がない、きわめてリスクが低い食品だということがお分かりだと思います。


3. まとめ

鰹節にはプリン体が多く含まれているから、痛風の原因になるかもしれないなど、何となくの心配があったかもしれません。

そこでこの記事ではその症状と原因になる成分の摂取量を一つ一つお伝えしてきました。通常の食生活の中で、鰹節が原因でそれらの症状になる心配がないことがお分かりいただけたと思います。

ぜひ、日常の食卓に鰹節を加えてみてください。

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