あなたは包丁の正しい持ち方を知りたいとお考えではないでしょうか。
テレビドラマや映画で時々目にする調理のシーン。
俳優さんによっては包丁の持ち方に違いがあるのを疑問に感じたことがありませんか。
実は包丁の持ち方は大きく分けて3種類あり、
・握り型
・押さえ型
・指押し型
と、包丁で何を切るのかによって使い分けが必要なのです。
ここでは元板前の私が、包丁の持ち方の使い分けとその理由についてお話しします。
この使い分けをしていただければ、毎日の調理が怪我無く安全におこなえる上、疲れにくい姿勢で包丁を扱うことが出来ますので、是非参考にしてください。
目次
1.家庭用包丁の正しい持ち方と特徴
家庭用包丁の持ち方は、大きく分けて3種類あります。
なぜ3種類の持ち方があるかといいますと、包丁で具材を切るために必要な力を包丁の刃先に伝えるために持ち方を変える必要があるのです。
ここでは代表的な家庭用包丁の持ち方3種類を紹介します。
①握り型
②押さえ型
③指押し型
家庭で料理をする時、根菜などの固い野菜を切る時は、握り型の持ち方ですと包丁に力が伝わりやすく、キャベツの千切りなどでスピードと正確さを必要とする時には押さえ型の持ち方がおすすめです。
豆腐を切ったり、刺身を切ったりするときは指押し型に持ち帰ると人差し指の力加減で包丁への力の伝わり具合が変わり、身崩れが少なくなります。
1-1 根菜などの固いものは握り型がおすすめ
家庭用包丁で根菜やかぼちゃなどの固い野菜を切る時には“握り型”で持つことをおすすめします。
固い野菜は包丁を上から下に向かって押し切らないと上手に切ることができません。包丁の刃先に力を伝えるためには包丁の柄の部分をしっかりと握る必要があります。包丁の柄の部分をしっかりと握らなければ包丁の刃先に力が伝わらず、刃先が具材になかなか入っていかないのです。固い野菜を切る時は、包丁の柄をしっかりと握れる握り型で包丁を持つことがおすすめなのです。
1-2 葉物野菜やキャベツの千切りには押さえ型がおすすめ
家庭用包丁で葉物野菜を切る時には“押さえ型”で持つことをおすすめします。
葉物野菜は根菜に比べ柔らかく、切る時に包丁の刃先に強い力を込める必要がありません。
また、キャベツの千切りなどで薄く細く切る場合や包丁を早く動かす時には包丁の刃先で指先を切ってしまわない様、包丁の動きを固定する必要があります。押さえ型で持つことで包丁の刃先がぶれず、安定した動作ができますので、葉物野菜を切る時は押さえ型で持つことをおすすめします。
1-3 身崩れしやすい食材には指差し型がおすすめ
家庭用包丁で刺身を切る時には“指押し型”で持つことをおすすめします。
刺身用のブロック(サク)は、包丁の刃先に力を入れて切る“握り型”ですと柔らかい刺身の身は割れてしまいます。また、刺身を切る時にキャベツの千切りの様に包丁を小刻みに早く動かす必要もありませんので“押さえ型で持つ必要もありません。
綺麗な短冊形に切るには包丁の刃先の力加減が重要になります。
指押し型は包丁を持つ手の人差し指を包丁の背に軽く乗せます。この包丁の背に乗せた人差し指で包丁の刃先を軽く押し、包丁の刃元から刃先に向かってゆっくりと押切していくと刺身の身割れが少なく、綺麗な短冊形に切ることが出来るのです。
また、包丁で肉を切る時も“指押し型”で持つことをおすすめします。
肉を構成する動物細胞は柔らかい細胞膜で囲まれており、肉を切る時に強く押切で切ってしまうとこの細胞を潰してしまい、旨みが弱くなったり、舌触りが悪くなったりしてしまいます。肉を切る時も刺身を切る時と同じように包丁の刃元から刃先までを使い、手前に引くように切っていくことが重要で、この切り方に最も適しているのが指押し型の持ち方なのです。
2.包丁を上手に扱うには左手の動きが大切
具材による包丁の持ち方の違いについてお話ししましたが、上手に包丁を扱うためには包丁の持ち方と同じように左手の扱い方・動かし方が重要です。特に野菜を細かく切ったり、キャベツを千切りするときなどは注意が必要です。
また、包丁で左手の手指を切ってしまわないためにも、是非参考にしてください。
2-1 左手はたまご型を作ると作業しやすい
包丁を上手に扱うには、左手の扱い方が重要です。
また、包丁で手指を切ってしまわないためにも、左手でたまごの形を作ると怪我が少なく作業もしやすくなります。
①左手の親指と人差しの先端をくっつける
②中指・薬指・小指も人差し指の形に合わせたまご型を作る
③たまご型を作ったまま切る具材の上に左手を乗せる
④包丁を動かすときは人差し指と中指の背に接触させる
⑤包丁は刃先から刃元に向かって動かす
※刃先を具材に乗せる
※刃先から前に押して切る
この方法を試すときは、初めはゆっくりおこない、左手と包丁を動かく感覚に慣れてきてから少しずつスピードを上げていくと怪我をする可能性は少なくなっていきます。
3.包丁を使うときの正しい姿勢と疲れない立ち方
包丁の正しい持ち方を理解したら、実際にまな板の前に立ってみましょう。
この時、まな板のすぐ近くで真正面に立ってしまうのは間違いで、包丁を使うときの正しい姿勢と疲れない立ち方があります。
3-1 まな板と自分の距離は握りこぶし2個分が必要
まな板と包丁を握る自分の距離は握りこぶし2個分の空間が必要です。
包丁を使うとき、包丁と距離が近い方が具材を持つのも楽で刃先をしっかり見れるので指先を切ってしまうことも少なくなると感じますが、あまり近づきすぎても作業が大変です。
ましては料理時間が長い調理の場合となると正しい姿勢でおこなうと疲労も少なくなります。
まずは、調理台にまな板を置く時、まな板の手前は調理台のへりからこぶし1個分の距離を取ってください。
調理台ギリギリにまな板を置いて包丁を扱うと、包丁の動きによってはまな板が調理台から落ちてしまうことがあり、この時にけがをする恐れもあります。
次に調理台のヘリから正面に立つ自分の距離もこぶし1個分の距離を取ってください。
調理台のヘリに接触しながら包丁を扱うと包丁を扱う自分の手元が真下に来るため、手が動かしにくくなるばかりか、真上から見下ろす形となるため、肩や首が疲れてしまいます。
この時、こぶし1個分の距離が保たれていれば、作業する手も動かしやすく頭をもたげることもありませんので、疲労も少なくなります。
3-2 まな板に対して斜めに立つと作業しやすい
まな板に対して少し斜めに立つと作業がしやすくなります。
立ち方は、まな板に対して正対したら、包丁を持つ側の足を半歩程度後ろに下げます。
※初めは、まな板に正対して立つ
※包丁を持つ側の足を下げる
まな板に対して斜め45度位が作業しやすい姿勢です。
この姿勢をとると、包丁が前後するときに包丁を持つ側の肘が自分の身体に触れることが無く、包丁を大きく動かすことが出来ます。また、まな板に対して姿勢が少し開いていることで、包丁の動きを斜め側面から見ることが出来るため、包丁の動きが良く見え怪我をするリスクも少なくなります。
4.まな板の位置ズレ対策には濡れ布巾
包丁を細かく使うときや固いものも切る時にまな板がずれてしまうことがあります。
こんな時は、まな板の下に濡れタオルを敷くことをおすすめします。
まな板の下に濡れタオルを敷くと調理台との接着が強くなり、まな板がずれてしまうことが少なくなります。
乾燥したタオルを敷くとズレ幅が大きくなるので注意が必要です。
5.まとめ
今回、包丁の正しい持ち方3種類と正しい姿勢についてお話ししました。
包丁の持ち方は、「何を切るのか」によって包丁の持ち方は変わるのです。固い具材を切る時は握り型・柔らかい具材には押さえ型・刺身や肉を切る時は指押し型がおすすめです。
今日の料理に参考にしていただけたら幸いです。
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