麹菌は良いカビ菌!麹菌の分類、有効成分と効果、使い方を大公開

 スーパーの食品コーナーでよく見かける「麹菌」という言葉、具体的に何のことかご存知でしょうか?

実は、麹菌はカビの一種です。

カビと言ってもバイ菌のような悪いものではありません。カビには「良いカビ」と「悪いカビ」がありますが、麹菌は「良いカビ」の一種です。

麹菌は大きく分けて5種類ありますが、それぞれ日本の伝統的食材の元になっています。

・黄麹菌(きこうじきん):味噌や醤油
・白麹菌(しろこうじきん):焼酎
・黒麹菌(くろこうじん):泡盛
・紅麹菌(べにこうじきん):豆腐
・鰹節菌(かつおぶしきん):鰹節

意外にも、我々は麹菌の力で出来上がった食材を普段から摂取しているということになります。

そして、麹菌から出来上がる「麹」は体に有益な効果をもたらします。例えば、腸内環境の改善や疲労回復などの 健康効果です。もし、食生活を変えて健康効果を得たいということでしたら、麹菌の理解を深めていただくことをおすすめします。

そこで本記事では、麹菌を通じて健康的な食生活を送っていただくために、下記の内容について解説していきます。

・麹菌や麹の基礎知識
・麹の健康効果と有効成分
・健康効果を高める麹のおすすめの摂取方法

 これらの情報を通じて、ぜひ麹を日常の食生活に取り入れていただきたいと思います。それではひとつずつ解説していきます。


1、麹菌とは

1-1.麹菌とは「カビ」とも呼ばれる生き物です

  カビと聞くと、バイ菌のイメージかもしれません。実は、カビにも良いカビと悪いカビがあります。良いカビは、食品加工や医薬品の製造に使われています。例えば、食品加工では、チーズや日本の伝統食品、味噌、醤油です。医薬品としては、青カビのおかけで発見した抗生物質のペニシリンが有名です。

 麹菌は食品加工用の良いカビの一種です。麹をつくるための糸状菌の総称です。糸状菌類とは、糸状の菌糸(きんし)で生活する微生物で、一般的に「カビ」と呼ばれている生き物です。そのため、「コウジカビ」とも呼ばれています。目に見えない小さな生き物でありながら、日本の食生活を支えてくれる微生物です。

 麴菌は、味噌、醤油、みりん、米酢、甘酒、日本酒、焼酎、漬け物など、日本古来の発酵調味料や発酵食品の多くに麹菌が用いられています。そのため、2006年、日本醸造学会は麹菌を「われわれの先達が古来大切に育み、使ってきた貴重な財産」であるとして、「国菌」に認定しました。

麹菌の様子麹菌の様子

1-2.麹菌は用途によって5つの種類に分けられます

 麹菌は、使用用途によって5種類に分けられています。

麹菌の種類一覧表

それらの特徴としては、

①黄麹菌は、デンプンの分解力が強く、日本の発酵食品には欠かせない存在です。

②白麹菌は、黒麹菌より色白なことから「白麹」と呼ばれています。実は、黒麹菌の突然変異株で、性質は黒麹菌と同じ。黒麹菌は胞子が飛ぶと服などが黒くなるので、それが無いため、扱いやすいとされ、現場向きと言われています。

③黒麹菌は、黄麹菌と比べるとデンプンの分解力は弱いですが、タンパク質の分解力が強く、クエン酸をたくさんつくるので食べると酸っぱいです。

④紅麹菌は、中国では漢方の生薬としても用いられています。

⑤鰹節菌は、鰹節内部に残った水分の吸収や、旨味成分の生成、油脂成分の分解効果を持ちます。

1-3.麹菌によって麹が作られます

 麴菌を使って、「麹」が作られます。「麹」とは、蒸した米や麦、大豆などの穀物に麹菌を加えて、繁殖させた物です。麹は原料によって、3つに分けられます。米からできた米麹、精白した麦からできた麦麹、大豆からできた豆麹がよく知られています。

麹の種類一覧

 その働きとしては、麴菌が繁殖するために、糸の先端から酵素を作り出し、原料(米、麦、大豆等)素材から栄養を摂取することです。酵素はたんぱく質をアミノ酸に分解する「プロテアーゼ」や、でんぷんを糖に分解する「アミラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」など、たくさんの酵素を生成します。そして、その酵素のはたらきによって、原料素材をやわらかくしたり、細かくしたり、旨みや甘味を引きだせるのです。

麹菌の働き

1-4.麹菌が繁殖する温度と死滅する温度

 麴菌は、一番繁殖しやすい温度帯は3035℃となります。この温度帯より低いと、酵素の働きが鈍くなり、繁殖進まないです。逆に、高すぎると、活性が失い、死んでしまいます。

 このように、麴菌は生き物です。そのため、繁殖するのに適正な環境が必要です。必要条件としては水分、温度、栄養となります。しかし、麴菌は存在しているかどうか、生きているかどうか、目視では判断しづらいです。そのため、温度管理は非常に重要となります。

繁殖しやすい適正温度

 例えば、米麹を作るとき、白米を蒸した後、温度を30-35℃ぐらいに冷ましてから、麴菌を振りかけます。温度30-35℃、湿度3540%を維持し、麴菌を発芽させます。麴菌を繁殖していくと共に熱が発生します。そのため、風を送ったリ、35℃超えないように厳しく温度管理が必要です。

 


2.麹菌から作られた麹の有益な成分とその健康効果

 麴菌はカビなので、そのまま食べることはありません。そのため、麴菌から作られた「麹」を摂取することとなります。麴の有益な成分としては、酵素、ビタミンB群、必須アミノ酸やミネラルと食物繊維です。

2-1、豊富な酵素で腸内環境を整える

 麴菌は麹を作り為に、たくさんの酵素を作り出します。まずは、麹菌に含まれる酵素は、食べ物が持つ栄養を分解して私たちの体に吸収されやすい状態、たんぱく質をアミノ酸の状態まで細分化してくれます。食べ物をよく噛んで食べると体にいいと言われますが、これを麹菌が代わりにおこなってくれるようなイメージです。そのおかけで、消化や吸収を促進することが出来ます。

 更に、麴菌が死んでも腸の善玉菌の餌となるので、腸の善玉菌を増やしたりして腸内環境を整えてくれる働きがあります。

 最後に、腸は美容と健康の鍵を握る臓器です。腸の働きが活性化することによって、肥満防止や美肌作り、免疫力アップといった、体まるごとのアンチエイジング効果が期待できます。

2-2、多くのビタミンB群で疲労回復や細胞再生

 麹菌は発酵の過程で多くのビタミンB群を生成します。ビタミンB群は疲労の回復や美肌の維持、活性酸素の除去などに役立つ栄養素。こちらも健やかな心と体を保つためには欠かせない成分となります。

2-3、コウジ酸で美容効果

 麹には美肌成分の一つであるコウジ酸が含まれています。コウジ酸は麹菌がぶどう糖を発酵させることによって生成されたものです。このコウジ酸にはシミの原因となるメラニンの活性化を予防し、シミやソバカスの発生を防ぐことが出来ます。美容業界でも非常に注目されていて研究が進んでいます。麹化粧水や麹洗顔料など、関連商品が続々と登場しています。


3.健康効果を高める麹のおすすめの摂取方法

 効率よく摂取する方法としては、2つ挙げられます。

 ・あまり加熱しないように、「生」で摂取する

 ・加熱した発酵食品は丸ごと食べる

  それでは、摂取方法を紹介します。

3-1.「生」で酵素を食べましょう

 1-4の図のように、麴菌一番活溌の温度帯は3035℃であるため、このときの酵素濃度が一番高いです。そのため、室温よりやや高いぐらい、少しあったまる状態で摂取することがお勧めです。

3-2、麴菌が生きていなくでも大丈夫 

 麹菌や酵素は高熱で失活(死ぬ)しますが、死んだ麹菌は腸内の善玉菌の餌となりますので、免疫活動を活性化させて免疫力を高める効果もあります。更に、発酵過程で発生するビタミン群やミネラルはそのまま残りますので、発酵食品を丸ごとで摂取することをお勧めします。

3-3、摂取量について

 健康食品としては、決まられた量はありませんが、カロリーや栄養バランスを注意しながら摂取すれば良いと思います。

 例えば、「甘酒」を例に挙げると、一日200㏄(おおよそ1カップ分)が推奨量と言われています。その理由は100gの甘酒あたり20gほどのぶどう糖が含まれているからです。厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020 年版)」によるとの脳は175gのブドウ糖を必要とし、脳以外の組織のことを考えると最低100gのブドウ糖を摂る必要があります。しかし、糖尿病患者さんは、糖質制限があるので、摂取にあたっては、栄養管理士さんと相談が必要となります。


4.麹菌を活用した自宅でできるおすすめレシピ

4-1.豆麹を使う(豆味噌)

 豆味噌は、大豆、塩と麴菌で作られた味噌です。麴菌を使って大豆を発酵し、豆麹を作られます。主原料は大豆なので、たんぱく質非常に豊富で、栄養素もたくさん入っています。熟成期間が長いため色はとても濃いですが、旨みとコクが強いです。

豆味噌と豚肉

 酵素の力で、たんぱく質をアミノ酸へ分解することで、豚肉は柔らかくなります。豚肉を持っている栄養を分解し、体の吸収しやすくなります。更に、沢山のアミノ酸が出来るので旨味がアップし、味の浸透もよいです。

味噌漬け焼き豚ロース

 豚ロースを味噌と醤油、酒、味醂、砂糖(2:1:2:2:1)を合わせた漬けたれに1時間から一日漬け込む。そのあと、フライパンで焼けば完成です。豆味噌は濃厚な味で、豚肉との相性が良いです。ただし、味噌は焦げやすいため、中火よりやや弱い火加減で、蓋をしながら蒸し焼きにしていきましょう。

 筆者は、味噌が入った漬けたれは、片面焼いた後、豚肉をひっくり返したら一緒に入れて焼きます。最後に、味噌ソースとして、一緒に食べます。こうすると、味噌を丸ごと摂取できます。

4-2.米麹を使う

 米麹と言えば、今はやりの甘酒をお勧めです。麴菌を使って、蒸した精米を発酵させたものです。加熱せずに摂取でき、麹の粒も丸ごと飲みこむことが出来ます。甘酒は手軽に飲めますが、さらに美味しくするには、甘酒とヨーグルトのレアチーズケーキを紹介します。

甘酒とヨーグルトのレアチーズケーキ

甘酒チーズケーキ原料

 室温に戻した材料を混ぜ込めば良いです。場合によって、少しゼラチンを入れると、固まりやすいです。甘酒は甘いので、砂糖入れなくでも良いです。お好みでジャムを入れるとおしゃれになります。

甘酒ヨーグルトチーズケーキ

 クリームチーズ・甘酒・ヨーグルトの組み合わせ。甘みと酸味のバランスが絶妙で、コクのあるスイーツです。スイーツでも良質な栄養が摂れます。濃厚だけど、後味さっぱりです。

 

4-3.麦麹を使う(麦味噌)

 麦味噌は、大麦やはだか麦で作った麦麹と塩で大豆を発酵したものです。麦の芳ばしい香りに、子どもも親しみやすい甘さが特徴的です。

麦みそとだし原料

 米麹のより香ばしく、カロリーは低いです。米麹味噌より甘味が少ないかもしれないですが、人参やキャベツのような野菜の甘味を生かせば、物足りない事はありません。

麦みそと味噌汁

 麦の持つ甘さと素材の甘みが合わさり、甘みが強くなります。糖質やカロリーは米味噌より低いため、毎日の味噌汁には麦味噌に変更すれば、無理のない糖質、カロリー制限の食事もできるでしょう。


5.まとめ

 麴菌は生き物です。麴菌が麹を作るとき、酵素やビタミン群のような有益成分を作り出します。それらの有益成分は、我々の体に非常に良いです。豊富な酵素で腸内環境を整える、多くのビタミンB群で疲労回復や細胞再生、コウジ酸で美容効果も期待できます。そのため、日常の生活で積極的に摂取することがお勧めです。

 摂取方法としては、酵素として摂取したいのであれば、加熱し過ぎない事です。でも、加熱して麴菌や酵素を死んでも、その死骸は我々の体にとっては有益であるので、安心して摂取してください。

 

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