秋の味覚と言われていたきのこも最近は秋だけでなく一年中いろいろな種類がスーパーに並び、とても身近な食材になっています。これらのきのこは低カロリーで、そのうえ体に良い栄養素がたくさん含まれている事ご存じですか。
近年では生体機能調整効果が大きく取り上げられ、健康食品としても脚光を浴びてきています。
主な成分は ・食物繊維 ・βグルカン ・ミネラル(カリウム)
その他の栄養素もそれぞれランキングにまとめました。
きのこの栄養を理解して和洋中華いろんな料理でいただきましょう。
目次
1. きのこ注目の栄養素
きのこにはからだにうれしい栄養素がいっぱいです。きのこ特有の栄養素は「食物繊維」「βグルカン」「カリウム」など。また、栄養素ではありませんが、きのこはカロリーがほとんど「無い」ということも過食が心配される現代においてはとても魅力的です。
1-1 食物繊維
きのこには食物繊維が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維も不溶性食物繊維もどちらも体内には吸収されませんが、健康のためには大切な役割をはたしており、第六の栄養素ともいわれ近年重要視されています。
食品名 | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
しいたけ | 0.4g | 4.1g | 5.5g |
えのきたけ | 0.4g | 3.5g | 3.9g |
レタス | 0.1g | 1.0g | 1.1g |
だいこん | 0.5g | 0.9g | 1.4g |
にんじん | 1.7g | 2.1g | 2.8g |
いずれも100g当たりの含有量です。 |
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
1-2 βグルカン
きのこのβ–グルカンは、不溶性食物繊維の一種で、血中のコレステロール値を下げる働きがあります。
不溶性食物繊維は、水分を吸収して余分なものをからめとり、体外に排出され、便秘解消に有効だとされています。水溶性食物繊維は粘り気が強く、ゆっくりと消化されるため、血糖値の急激な上昇が抑えられます。
また、β–グルカンは消化されることなく腸まで届くため、コレステロールを吸着して体外へ排泄する働きがあります。その結果、体内のコレステロール値上昇を抑える効果があります。
β–グルカンを含む食品はきのこ以外に大麦などですが、
効率的に摂取するにはきのこが最善です。
1-3 カリウム
きのこに含まれるカリウムは必要量摂ることによりナトリウムの排出を手助けし、高血圧になるリスクを軽減する効果があります。
カリウムは主に細胞内液に存在し、血圧を調節したり、細胞の代謝や神経・筋肉の働きに関わったりする重要な栄養素です。減塩が求められる私たちがつとめて摂りたい栄養素です。
1-4 低カロリー
カロリーは栄養素ではありませんが、現代の私たちにとても関心のある要素です。
きのこのカロリーはどの種類も低く、100gあたり20㎉前後となっており、ダイエットしたい方に最適です。
その上きのこにはグアニル酸やグルタミン酸をはじめ、どの種類のきのこにもうま味成分が含まれています。独特の歯ごたえもあいまって料理に加えれば低カロリーで満腹感のある料理ができます。
2. きのこの栄養の働き
きのこの栄養の働きは近年研究が進み様々な効能がわかってきました。
これも栽培技術が確立されて、多種多様なきのこが身近になってきたためです。
うまみたっぷりでそのうえ、からだに良い影響のある「きのこ」をどんどん食生活に取り入れましょう。
2-1 がんの予防
シイタケから抽出されるレンチナンは抗悪性腫瘍効果があり、抗がん剤として使われています。
がん細胞を攻撃するのではなく、免疫力をあげてその結果がんを撃退する働きをします。
またβ–グルカンもガン細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞やマクロファージなどの免疫細胞を活性化させる働きがあり、腫瘍抑制効果が認められています。
一般の抗ガン剤と違い、自身の免疫応答を高めることによって間接的にガンを攻撃します。
サルノコシカケ科の霊芝やハラタケ科のアガリクスなどは健康効果を期待して古くから生薬として利用されてきました。
近年ではサプリメントの原料として利用されることが増えさらに研究がすすめられています。
2-2 血圧低下
きのこに含まれるカリウムは体内の塩分を排出するミネラルです。
高血圧を防ぐためには塩分の摂取を減らすことが大切ですが、食習慣もありなかなか実行できません。
偏った食事をすることによりナトリウムの摂取量のみが過剰になってしまっても摂取されたカリウムは腎臓でナトリウムの再吸収を抑制して尿の中への排泄を促進させるため血圧を下げる効果があるのです。
2-3 骨粗鬆症予防
シイタケに多いエルゴステロールは日光に当たるとビタミンDに変わります。ビタミンDはカルシウムの代謝に深くかかわっています。
ビタミンDはカルシウムが骨に定着するためにも必要なので骨粗鬆症予防にも役立ちます。生のシイタケを調理するとき短時間でも日光に当てることをおすすめします。
2-4 免疫力向上
きのこのβ–グルカンは免疫力を高め、ウイルスや細菌に対する抵抗力を高めます。
免疫力が低いと、体外から入ってくるウイルスに対抗することができず、風邪やインフルエンザ、生活習慣病を引き起こし、病気を長引かせます。
また、きのこの食物繊維は胃で消化されずに腸の腸内細菌へととどけられます。水溶性食物繊維は腸内細菌のえさになり、腸内細菌と反応し合って免疫力が活性化します。
このように、きのこは免疫に働きかけるので風邪などの予防や、アレルギー症状を予防・改善する効果も期待されています。
2-5 便秘解消
きのこの食物繊維は腸内に存在する異物などの体内の不要物質を排除して、腸内環境を整える働きがあります。
特に不溶性食物繊維は便のかさを増やし大腸を刺激して排便をうながします。そのため便秘の解消に効果を期待できます。
2-6 ダイエット
低カロリーのきのこを食品の素材に加えることにより食事全体のカロリーを抑えることができます。
また、きのこ自体にうま味と香味がありますので、料理の量を増やしつつ味わいもよくなり満足感のある料理となり食べ過ぎを防ぎます。
2-7 疲労回復・美肌つくり
きのこの中のビタミンB1・B2は美肌つくりや疲労回復の働きがあります。普段から疲れやすいという人は、を積極的に食べるよう心がけましょう。前述の便秘の解消や免疫力アップも疲労回復や美肌つくりにもつながります。
3. 主なきのこの栄養素ランキング
きのこに含まれる健康に良い栄養成分を表にまとめました。一つのきのこだけ栄養を補おうとせずに、ほかの食材と組み合わせて食べるのがおすすめです。
3-1 エネルギー
肥満を防ぐには摂取エネルギーを減らすことが大切です。
しかし食べる量を減らすだけでは続きません。カロリーがほとんどないきのこ類を料理に取り入れれば、じゅうぶんな満腹感をえられます。
3-2 食物繊維
1日に取りたい食物繊維は男性で20g、女性では18g以上と言われています。いつもの料理にきのこを加えておいしく摂取しましょう。
3-3 カリウム
カリウムは塩分(ナトリウム)を排出する作用があるので、塩分の摂り過ぎを調節する上で重要な役割をもっています。
3-4 ビタミンD
ビタミンDは脂肪組織や肝臓に貯蔵される脂溶性ビタミン。
カルシウムの吸収を助け、排出と骨の形成にも関与する栄養素です。
しいたけを日光に当てるとビタミンDが増えます。
3-5 ビタミンB1
ビタミンB1が不足してしまうと、倦怠感、食欲不振、浮腫等を伴う脚気(かっけ)などの症状が起きることが知られています。
ビタミンB1は水溶性のビタミンなのでスープに入れるなどして効率的に取り入れましょう。
3-6 ビタミンB2
ビタミンB2はエネルギーの代謝、皮膚や粘膜の健康維持に役に立つビタミンです。
エネルギーの消費が多いほど、ビタミンB2はたくさん必要になります。
4. まとめ
きのこは一般的な野菜と違って菌類に分類され、野菜とは一味違う食感でどんな料理にも合う食材です。
・低カロリー
・食物繊維を多く含む
・他の食材となじみやすい
・調味料を選ばない
和洋中華どんな料理にも応用でき、季節を問わず食卓にのせやすい食材です。
ぜひいろいろな種類のきのこを継続的に取り入れていきましょう。
参考資料:
「毎日食べて糖尿病・高血圧・ガン・肥満を予防&改善!きのこレシピ」石澤清美著/㈱主婦の友社発行
「からだにうれしい藤井恵のまいにち納豆」藤井恵 著/家の光協会発行
「健康血液簡単レシピ100」塩入公子他著/ほおずき書籍㈱発行
林野庁HP
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