温かい食べ物に乗せた鰹節は、なぜゆらゆらと動くのでしょうか?私たちは経験上、お好み焼きや焼きそば、温かいそばやうどんに乗せた鰹節は動くけれど、冷奴に押せた鰹節は動かないことを知っていますね。
ということは、高温が鰹節を動かす理由だと想像ができますがそれだけでしょうか。鰹節が動く理由をみていきましょう。
1. 温かい食べ物に乗せた鰹節がゆらゆら動く理由
温かい食べ物に乗せた鰹節がゆらゆらと動く理由は以下の通りです。
注)便宜上「鰹節」という言葉を使っていますが、塊のことではなく、正確には鰹節を薄く削った削り節(花かつお)のことです。
- 第1の理由は、高温により上昇気流が発生していること
- 第2の理由は湿気がある(水分を含んでいる)こと
- 第3に鰹節(花かつお)がとても軽いこと
これらの理由から、鰹節を温かい食べ物に乗せると以下のことが起こります。
食べ物の水分を吸って、鰹節が伸びます。乾燥すると縮小し、湿度を帯びると膨張するのですね。この伸びた鰹節が立ち上る湯気、上昇気流に持ち上げられて、ゆらゆらと動きます。食べ物の接地面は水分を含んでいて、接地していない部分より重いので飛んでいくことなく、食べ物にくっついたまま、立ち上がった形でゆらゆらと踊るように見えるのです。
では、高温(上昇気流)と湿度(水分)そのどちらかが欠けた場合は動かないでしょうか。
高温が欠けた場合は経験上動かないことは知っていますね。冷奴の上に乗せた鰹節は動きません。湿度は高いが、高温という条件が欠けると鰹節は動きません。
反対に湿度だけが欠けた場合はどうでしょうか。
2. 温かいだけで湿度が低くても動くか
結論は動きます。
フライパンに鰹節(花かつお)を乗せて熱してみました。数秒後にはひらひらと動き出しました。
「鰹節を動かす条件は、高温は必要だが、湿度は必要とは言えない」ことが分かります。
ただ、温かい食べ物に乗せた時と違って接地面に水分を含んでないので、鰹節が立ち上がってゆらゆらと動くというより、全体的にひらひら動くという感じでした。
コラム:鰹節が動く性質を利用してタイタニック号沈没シーンが撮影された?
タイタニック号沈没を描いた映画は1997年のレオナルド・デカプリオ主演の映画が最も有名です。しかしこの大事故はそれ以前にも何度か映画化されています。その1つに第2次世界大戦中のドイツが当時の敵国イギリスで起きた海難事故を非難する目的で映画化したものがあります。
CGがない時代で1番苦戦したのが、タイタニック号の沈没を遠目から俯瞰するシーンで、模型の船の甲板の上で逃げまどう乗客を上手く表現できないことでした。いくら精巧な人形を作ってもそれは動かないからです。そこで当時ドイツの同盟国だった日本の映画会社の特撮チームの提案で、薄く削った鰹節で乗客を表現した(遠目からのシーンなので男性は黒く女性は白く塗るだけでよかった)のです。船の模型には電球などが多数組み込まれていて高温となるため、その鰹節はゆらゆら動き、人間が逃げまどっているようにみえたそうです。
これは「ヒトラーの試写室」という小説内のことで、日本がこの映画製作に協力したのは史実ですが、鰹節のシーンは著者のフィクションのようです。しかし鰹節が動く性質がこんなところにも出てくるなんて興味深いですね。
3. まとめ
いかがでしたか。鰹節が動くだけなら高温が絶対条件で、湿度は絶対条件ではないことが分かりました。ただ、湿度もあると、鰹節の接地面に水分が吸収され、鰹節が立ち上がったようになりゆらゆら動きます。
うどんやそば、お好み焼きやたこ焼きなど鰹節をかけると美味しくなる食べ物はたくさんあります。その上でゆらゆら動く鰹節、何気なく見過ごしているかもしれませんが、そういう事かと思って見ると面白いですね。
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