お吸い物とは!?すまし汁との違いと美味しいお吸い物の作り方

お吸い物とは、かつお節や昆布などでとっただし汁に塩や醤油で味付され、具材には肉や魚介類や野菜が入ったもののことを言います。

日本料理では、お吸い物はすまし汁や汁物と混同されてしまいますが、お吸い物は”汁と具材”がメインであり、すまし汁は”澄まし汁”とも書くように”澄んだだし汁”がメインの料理となります。

ここでは、お吸い物の定義やお吸い物に使われる具材についてお話しさせて頂きますので、お吸い物を作る際の参考にして頂ければ幸いです。


1.お吸い物とは

和食、日本料理では椀物のことを”お吸い物”や”すまし汁”、”汁物”など様々な呼び方があります。

ここでは”お吸い物の定義や歴史についてお話しさせて頂きます。

 1−1.お吸い物の定義

お吸い物とは、かつお節や昆布から取っただし汁に醤油や塩などで味付されたもので、具材には肉や魚介類や野菜をメインに使用しています。

だし汁だけではなく、具材もおかずの一つとして楽しむ料理です。

このため、洋食で言うシチュー等のスープ料理に属するものであり、酒の肴やおかずとして食べられることができるものがお吸い物と呼ばれます。

お吸い物は、「椀種(わんだね)」「つま」「吸口(すいくち)」の3種類の具材から成り立っています。

・「椀種」・・・肉や魚介類、豆腐や練り物などの具材

・「つま」・・・野菜や海藻類などの椀種の引き立て役

・「吸口」・・・三つ葉や柚子、ミョウガ、ネギなどの香りを引き立てるもの

この3種類の具材が入っているものをお吸い物と呼びます。

 

 

 

 

 

 

 

 1−2.すまし汁や味噌汁との違い

すまし汁は漢字で「澄まし汁」と書きます。

これは、かつお節や昆布だしでとっただし汁に醤油や塩などで味をつけた透明な汁物を指しています。このため、だし汁は濁っておらず、透明な汁物を”すまし汁”と呼びます。

すまし汁はお吸い物と違い、だし汁がメインであり、だしの旨味や香りを楽しむ料理となります。

 

味噌汁は、その名の通り味噌を用いた汁物です。

かつお節や昆布だし、煮干などででとっただし汁に味噌を溶いて作る汁物となります。

地域によっても味噌の作り方や風味に違いがあることも多く、地域ごとで味噌汁の味に違いが出ることも特徴の一つです。

 1−3..お吸い物の歴史

お吸い物の期限は奈良時代まで遡ります。

奈良時代の文献には「羹(あつもの)」という表記が見られ、野菜や魚肉を熱く煮た吸い物として登場します。その後、室町時代になると「吸い物」と呼ばれ、江戸時代に入ると味付や具材の数も増え、季節ごとのお吸い物も考案されるようになりました。

日本料理である懐石料理や茶懐石は「侘び錆び」が重んじられましたが、会席料理は料理の華やかさで客の目と舌の両方を楽しませる料理であり、江戸時代には贅沢を極めることが良しとされた風潮もあいまって、吸い物の具材も多くなっていきました。

また、お吸い物は祝いの料理で提供されることも多く、ひな祭りの行事食と用いられる蛤のお吸い物もなじみが深いお吸い物の一つです。


2.お吸い物でよく使われる食材

豆腐、三つ葉、鯛、、、、

お吸い物の具材としてよく使われるものは、通年を通して手に入りやすい豆腐、かまぼこ、お麩、三つ葉などが挙げられます。

豆腐やかまぼこは比較的味が薄く感じられるため、かつおだしとの相性も良く定番の具材として使われることが多い具材です。

また、季節ごとの具材として、

春の具材・・・菜の花、蛤、あさり、たけのこ、さわらなど

夏の具材・・・茗荷、オクラ、里芋、南瓜、

秋の具材・・・松茸、舞茸、レンコン、さつまいも、

冬の具材・・・柚子、タラ、ホタテ、カキ、小松菜など

お吸い物の具材には旬のものが多く使われ、料理を目と舌で楽しませてくれます。

 

 

 

 

 

 

 


3.お吸い物でよく使われるおつゆ

お吸い物でよく使われる出汁は、かつお節と昆布の合わせだしです。

かつお節に含まれるうま味成分のイノシン酸とこんぶに含まれるうま味成分のクルタミン酸の相乗効果で旨味が強く、香りも豊かな日本料理に無くてはならない”だし”といえます。

かつお節と昆布のだしの取り方は、和食の旨み内の

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/katuobusi-konbu-dasi

を参考にしてください。

 

 

 

 

 

 

 

お吸い物の味付としては、醤油と塩がメインとなります。

4人前のだし汁

・だし汁 600ml

・醤油 小さじ1

・塩  小さじ1

作り方は、鍋に入れただし汁を火にかけ、沸騰する直前で塩と醤油を鍋に入れます。

醤油は、濃口醤油よりも薄口醤油を使うことで色目がクリアに仕上がります。濃口醤油を使って色合いを押さえたい場合は、醤油の量を半分に減らし、その分を塩を入れれば問題ありません。

塩はサラサラとした塩と粒の大きなあら塩では同じ小さじ1でも分量が変わってきてしまうので、サラサラとした塩を使うことをおすすめします。


4.お吸い物に関するよくある質問

お吸い物はどういったときに食べるものですか?

お吸い物を食べることに決まりはありませんが、会席料理などの一品として提供されることが多く、宴席や祝い膳として食べる機会が多いことがあります。

・料理屋さんでお吸い物はどのタイミングで出てきますか?

会席料理ではお吸い物は先付けの後に出されることが多く、比較的早い段階で提供されます。懐石料理ではメインの料理として湯葉や魚介類の具材が入った一品として料理の中盤以降に提供されます。

・吸い物は地域によって変わりますか?(関東関西など)

関東地方と関西地方で吸い物にも味の違いがあると言われています。

比較的関東は濃い味、関西は薄味とされており、関東はかつお節でとっただしが多く、関西では昆布でだしを取ることが多いようです。これは江戸時代の流通の関係上、海産物は一度大阪に集まるため昆布が入手しやすかったとされており、昆布がなかなか入ってこない関東ではかつおだしが主流になったとも言われています。


5.まとめ

かつお節や昆布から取っただし汁に醤油や塩などで味付されたもので、具材には肉や魚介類や野菜をメインに使用しています。

だし汁だけではなく、具材もおかずの一つとして楽しむ料理です。

「お吸い物」と「すまし汁」は混同しやすい料理ですが、だしの色目や具材にも違いがある料理です。

今回はお吸い物のだしの取り方も記載しましたので、お吸い物が飲みたくなった際には是非参考にして頂ければ幸いです。

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