江戸時代より伝わる製造方法で作る幻の鰹節「手火山式鰹節」

手火山式(てびやましき)という言葉を聞いたことがありますか?

手火山式とは鰹節を作る時の薫乾方法で、非常に歴史のある鰹節の製造工程になります。現在では、手火山式で鰹節を製造している会社はほとんどありません。

手火山式は手間暇がかかり、製造にも熟練の技が必要です。

削り節を買う時や、外食する時に「手火山式鰹節使用」と書いてある場合がありますが、手火山式の鰹節は非常に貴重で、こだわりのある鰹節です。

このサイトでは、手火山式鰹節がどのように作られ、どのような歴史があるのかを説明していきます。


1.手火山式(てびやましき)とは

手火山式(てびやましき)とは、鰹節を作る時に燻製させる製法の事です。鰹節を燻製させる方法として、現在残っている製法の中では、一番歴史のある製法と言えます。

現在では、手火山式で鰹節を製造する工場はほとんどありません。それは、手間がかかることと高度な技術が必要とされるからです。

また、釜の上に鰹節を乗せて燻製する方法なので、一度に製造出来る量も少なく、効率も良くありません。

鰹節の燻製は、燻製させて休ませての繰り返しになります。これは、燻製し続けると表面の水分ばかりが飛んで、中心の水分が飛ばなくなるからです。

休ませることにより中心の水分を表面に移し、燻製をして鰹節全体の水分を均等にしながら燻製をします。

かまどから降し休ませる

熱と煙をあてている鰹節を直接手に触れて鰹の温度を確かめる事から、「手火山式焙乾」という名前の由来になります。この作業が職人の作業になり、熟練の技が必要になります。

現在では、この作業が出来る職人がほとんどいなくなっています。手火山式は、鰹節を火の近いところで燻製させていきますので、旨味を中に閉じ込める効果があります。

出来上がる鰹節は、燻製の香りが強いのが特徴です。


2.手火山式の歴史

1.薪による燻乾の始まり

手火山式燻乾方法のもととなる燻乾方法が始まったのが、江戸時代になります。それまでのワラを使った燻乾方法からクヌギや樫等の木を使った燻乾方法が考えだされます。

これにより、より日持ちがするようになりました。考え出したのは、紀州の漁師だった勘太郎と言われています。この製法は、紀州印南と土佐清水浦の2地区の秘伝とされていました。

.手火山式燻乾方法の確立

手火山式燻乾方法は、伊豆半島の田子地区で確立されました。1801年に土佐の与一という人が現在の西伊豆の安良里(あらり)という村で鰹節の製造方法を指導します。この時に土佐節をさらに改良して、長期保存が出来る鰹節になりました。

更に改良を加え、鰹節をもっと美味しくするために独特の製法である「手火山式燻乾法」をあみだします。

「手火山式燻乾法」は、強い火で燻製する事で鰹の味を中に閉じ込めます。これにより今の伊豆田子節が確立します。

3.手火山式の近代

この「手火山式燻乾法」を使った伊豆田子節は伊豆全体に広まっていき、伊豆節独特の薫乾方法となります。この後伊豆節は土佐、薩摩節と並び3代名産品と呼ばれるようになります。

伊豆田子地区では、古くから鰹漁が盛んで、昭和中期頃には、40艘の鰹漁船が出入りし、鰹節工場も40軒以上ありましたが、現在では数軒のみとなっています。


3.手火山式以外の燻乾方法

鰹節の燻乾方法として、手火山式以外に「急造庫(きゅうぞっこ)」と「焼津式乾燥庫(やいづしきかんそうこ)」があります。

現在ではこの2つの薫乾方法が主流となっており、ほとんどの製造工場ではどちらかの方法で燻乾するか、併用をして製造しています。

手火山式燻乾方法に比べ、大量製造が出来る事が大きなメリットとなっています。

3-1.急造庫(きゅうぞっこ)

急造庫(きゅうぞっこ)は、建物自体を手火山式にした方式です。

急造庫の燻乾方式のイメージ
急造庫の外観

4階建ての建物で、最下層で薪を燃やし、2~4階にセイロに乗せた鰹を置き、下から上がってくる熱と煙で燻製を行っていきます。

ボイルされた鰹を、一番熱の強い2階に置き、乾燥していくたびに3階、4階と上に上げていきます。2階の乾燥室から置く理由は、水分の多い鰹を熱が強い2階に置いて、鰹の水分を低くすると同時に、鰹に含まれていた水分が蒸気となって、上の階の鰹に熱と煙と蒸気をあてていくためです。

蒸気をあてる理由は、乾いた熱だけですと、鰹の表面が焦げやすくなるので、水分を含んだ熱をあてた方が鰹節が綺麗に仕上がります。

急造庫で仕上がる鰹節の特徴は、手火山式の様に燻製の香りが強い鰹節になります。

3-2.焼津式乾燥庫(やいづしきかんそうこ)

鰹節の産地である焼津で生まれた乾燥機です。現在では全国で使われています。急造庫と同様に、主流になっている乾燥方式です。

焼津式乾燥庫のイメージ
焼津式乾燥庫の外観

急造庫と違うのは、1つの部屋に入れて熱と煙を強制的にあてるところです。

先ず横の個部屋で薪を燃やします。薪が燃えた熱と煙をファンで吸い込み、強制的に鰹に当てていきます。常に強制的に熱と煙をあてますので、乾燥効率が良い方式になります。

鰹節工場によっては、乾燥効率の良い焼津式乾燥機で水分を飛ばしてから、急造庫で燻製の香りを付けるところもあります。

3-3.仕上がりの違い

手火山式と急造庫は、薪を燃やした直火で熱と煙をあてる事で、燻製の香りの強い鰹節に仕上がります。表面も黒く仕上がります。

特に手火山式は鰹と火の位置が近く、燻製の香りはどの燻乾方式よりも強い仕上がりになります。

焼津式乾燥機は、ファンで吸い込んだ熱と煙を強制的にあてていきますので、燻製の香りは手火山式や急造庫と比較して弱くなります。

表面は真っ黒にはなりませんが、しっかり乾燥できています。味は、鰹の風味を強く感じる事が出来る鰹節に仕上がります。

使い方はどの乾燥方式の鰹節も同じです。


4.手火山式鰹節を購入するなら「カネサ鰹節商店」

http://www.katsubushi.com/index.html    カネサ鰹節商店トップページhttp://www.katsubushi.com/catalog01.htm  カネサ鰹節商店の手火山式乾燥方式http://www.canesa.net/           カネサ鰹節商店の通販ページ

手火山式で最後まで仕上げている鰹節は、非常に貴重です。最初から最後まで手火山式で鰹節を仕上げている会社は、私の知る限りでは静岡県の伊豆にある「カネサ鰹節商店」です。

1882年から続く手火山の伝統を守り続ける会社です。丁寧に鰹を包丁で切り、当時の手火山方式で燻製しています。

カネサ様の手火山式乾燥機

手火山式で焙乾した後、カビを付けた「本枯節(ほんかれぶし)」まで仕上げます。カネサ様の鰹節は、古来より伝わる本物の手火山式鰹節といえます。

1本 2,180円

.まとめ

手火山式鰹節は、今ではほとんど作られていない伝統的な技術で作られた貴重な鰹節です。手火山式鰹節の価値を分かっていただき、後世に残していきたい製法です。

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