本記事は、普段皆様が手に取る事が出来る鰹節を
・鰹節
・だしをとる削り節
・トッピング用の削り節
この3種類に分類して、それぞれの用途と選び方を紹介していきます。
「鰹節と削り節って何が違うの?一緒じゃないの?」
と思われる方も多くいらっしゃるかもしれません。この二つの言葉は全く違う物を表し、
「鰹節」は生の鰹を加工した節のことであり、まだ削っていない硬い塊のことを指します。
「削り節」は鰹節を削った物のことを指します。
鰹節(硬い塊)の種類
削り節(鰹節を削った物)の種類
そのまま食べる削り節
上記の図が主な「鰹節」と「削り節」の一覧になります。
以降本記事では、正式な分類として、削っていない硬い節の事を「鰹節」
「鰹節」を削った後の物全般を「削り節」として区別して表記いたします。
目次
1.鰹節の選び方
ここで言う鰹節とは、まだ削られていない硬い節の事を言います。
鰹節を選ぶなら、基本的には本枯節を選びましょう。
というのも、鰹節には生の鰹を加工して作られた「荒節」
その荒節に更にカビを付けて熟成させた「本枯節」
この二つがありますが、生産量は圧倒的に荒節が多いのですが、一般家庭では荒本節そのままが手に入る事がないからです。
荒節にカビを付けた本枯節
さてそんな本枯節ですが、実は同じように見える節にも違いがあるので、使い分けが必要です。その違いというのは、鰹節はその部位によって雄節(おぶし)と雌節(めぶし)という節に分けられるという事です。その違いと選び方を紹介していきます!
1-1.トッピング用に削りたい場合は雄節がおすすめ!
雄節は読んで字の如く、「オスの鰹の節」...ではありません!!
鰹節は一匹の鰹から4本の節が作られますが、その内背中側にあたる2本の節を雄節と言うのです。
雄節の見た目
雄節の見た目はまっすぐに伸びています。
そして背中側のお肉には比較的脂肪分が少ないので、雄節も脂肪が少ないのが特徴となっています。
雄節を削った見た目。白っぽい部分が脂肪です。
鰹節を削る際、脂肪の多い節は削りにくくて、粉が出来てしまったり、繊維状に細かくなってしまったりしがちですが、まっすぐ伸びていて脂肪の少ない雄節は、削った時に大きく綺麗な花が削りやすいので、料理の上にトッピングする時など、見た目を気にする際には最適なのです。
トッピング用に削る雄節はやはり、見た目を重視する事が多いので、まっすぐ伸びて大きい節を選びましょう!削った花も綺麗な大きな削り花になって非常に見栄えが良くなります!
サイズとしましては、約300gの雄節が一番おすすめです!
300g程の雄節は程良い脂がのっていてかつ大きい節なので、雄節の強みを生かしやすいサイズだからです。これよりも小さいと削り花も小さくなってしまい、逆に大きすぎると脂がのりすぎて、綺麗な花が削りにくくなってしまいます。
またお出汁をとる際も脂肪が少ないと透き通った、上品なお出汁がとれます。
1-2.濃厚なお出汁をとりたい場合は雌節がおすすめ!
先程紹介した雄節は背中側の鰹節。とくれば雌節はそう、お腹側の節の事です!
雌節の見た目
雌節は少し丸みを帯びた形をしていて、雄節よりも小さ目のサイズをしています。
また写真の右側が少し抉れている形をしていますが、こちらは鰹の頭側でもともと内臓があったのですが、
節を作る際に内蔵は取り除かれて、そこが抉れてこのような形をしているのが特徴です。
お腹側には脂肪が多く、雌節は雄節よりも脂肪が多く含まれている事が多いです。
雌節を削った見た目。雄節よりも白い部分(脂肪)が多いです。
脂肪の多い雌節は、削りにくく綺麗な花を削るのが難しいので、トッピング用にはあまり向いていませんが、
脂肪には旨味も多く含まれている為、とても濃厚でおいしいお出汁がとれます。
雄節と比べると濁りのある色の濃い目なお出汁がとれますが、見た目をあまり気にしない煮物等に使用すれば、問題なくかえしの味にも負けてしまわないお出汁を取る事ができます!
雌節を選ぶ際は節の形に注目しましょう。丸みを帯びて太い節はお腹の部分が大きく、お腹の部分に旨味をたっぷり含んだ脂があるので、丸みを帯びている雌節程、脂が多くコクのあるお出汁がとれるのでおすすめです!
サイズとしましては、約250gの雌節がおすすめです!
このサイズの雌節は元の鰹のサイズが6.0kg程の大きさの鰹から作られているのですが、
これぐらいのサイズの鰹が程よい脂がのっており、雌節の深いコクと本枯節の上品な香りが損なわれない丁度良いサイズだからです。
1-3.本枯節を買うならばココ!
こちらの通販サイトでは、本枯節に使用する鰹節のサイズからこだわっています。
鰹のサイズが小さすぎると味が淡泊になってしまい、逆に大きすぎると脂がのりすぎて大味になってしまいます。そこで思わず舌鼓で取り扱う本枯節は、程よく脂ののった3~4年物の鰹のみを選び抜いて使用しています。
また鰹の産地にもこだわり、使用する鰹は日本近海で獲れた鰹だけを使用しています。
日本近海で獲れる鰹は赤道付近で産まれて、暖かい海流から黒潮にのりながら、やがて水温が少しずつ低くなっていく中で、旨みの素となる脂肪が少しずつ蓄えられていきます。
そして日本近海で獲れる鰹は上り鰹と呼ばれて、春先でしかとる事が出来ない鰹です。
鰹節になる前の鰹から厳しく厳選した物だけを使用しているのです。
選び抜かれた鰹から、日本に10人しかいない鰹節職人の手によって、本枯節が作られていくのですが、生の鰹から本枯節が完成するまで、およそ半年程の長い時間が掛かる上に、全ての鰹節が本枯節になれるわけではなく、職人が満足する出来でなければどんどん外されていくので、最終的には鰹節の中でも10,000本に1本と言われる程の選び抜かれた本枯節を取り扱っています。
ほかではお目に掛かる事も難しい選び抜かれた最高級の本枯節を購入したいならば、思わず舌鼓での購入を強くおすすめします!
本枯節を販売している会社で恐らく一番有名かと思います。東京日本橋などの店舗で購入が出来て、節のサイズごとに購入が出来ます。こちらのサイトでは雄節の事を背節、雌節の事を腹節と表記してあるので、お間違えの無いように注意です!自分の用途に合った節の購入に最適です!
購入した節をご自分で削られる方はこちらを参照!
理想の鰹節を削る為の初心者でもできる鰹節削り方(6つの手順)
2.使用目的に合わせた削り節の選び方
続いて削り節の選び方ですが、削り節の使用用途は大きく分けますと、
①お出汁をとる
②そのまま食べる
この二つの用途に大別されると思います。
それぞれの用途に最適な鰹節と、使い道を紹介していきます!
2-1.出汁をとるには、花かつおか厚削り!
お出汁をとるのには、基本的に花かつお薄削り(うすけずり)または厚削り(あつけずり)のどちらかを使用します。その用途としましては、薄削りは香りを重視した味付けの料理、例えば茶碗蒸しやお吸い物等のお出汁におすすめです。
厚削りの用途としましては、薄削りよりも香りは少し落ちますがコクのある味わいが楽しめるので、かえし等の味にも負けず、うどんやそばのお出汁、煮物におすすめです。
2-1-1.香りを楽しみたいなら花かつお(薄削り)
花かつおは鰹節を0.05㎜~0.06㎜程の薄さで削った削り節の事を言います。
花かつお(薄削り)
花かつおを選ぶ際に注意してほしいポイントとして、花かつおの色があります。
選ぶべき色はほんのりとピンク味がかった綺麗な色です。
ピンク色の削りは削りたての新鮮な証で、空気に触れてから時間が経ってくると酸化して茶色に色が変わっていきます。
全体がくすんだ茶色になってしまっている削り節は、長い時間が経って、袋の中に封入された窒素が抜けてきてしまっているかもしれないので、なるべく選ばないようにしましょう。
酸化してしまった削り節は、風味が落ちてしまっていて、削り節本来の味が楽しめなくなってしまいます。
花かつおでとるお出汁の特徴は、花かつおは一枚一枚が薄い為に、短い時間ですぐにおいしいお出汁がとれるという利点があります。煮出し時間が短いことで香りがとても強いという点も挙げられます。
ただしこの香りは熱に弱く、あまり長時間煮出してしまうと、香りが飛んでしまうので注意が必要です。
詳しいお出汁のとりかたはコチラ「元料理人がこっそり教える!削り節のおいしいだしの取り方」
花かつおからとったお出汁を最大限に活用するには、あまり味が濃くなくて、出汁とケンカをしてしまわない料理がおすすめです!実例を挙げますと、お吸い物や茶碗蒸しなど、素材の味や風味を活かす優しい味わいの料理に良く合います。
また、鰹節の産地についてですが、国産の鰹節だと、「枕崎」「山川」「焼津」の三か所が三大産地ですが、これらの産地による鰹節の違いはほとんどありません。
海外産では主にフィリピンやインドネシア産の鰹節があります。
海外産の削り節は国産の物と比較して、脂肪や塩分が少な目であっさりとした味わいになります。
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有名鰹節メーカーのヤマキ様から販売されている花かつおです。80gという内容量でしたら、2~3回お出汁がとれると思うので使いやすいサイズです。有名メーカーなので初めて買うという方も安心だと思います。
2-1-2.深い味わいを楽しむなら厚削り
厚削りは厚さがおよそ1㎜の分厚い削り節の事を言います。
厚削り
上記の写真の上側2枚のように表面につやがありまっすぐ削られている物は、脂肪分が少な目で透き通ったすっきりとした味わいのお出汁がとれます。
下側3枚のように表面がザラついていて色味も白っぽく、形も割れているような厚削りは、脂肪分が多めでお出汁が濁りやすいですが、その分旨味が強いお出汁をとることが出来ます。
薄削りとの違いは、削り節から出汁が出てくるまで長く香りを楽しむというよりも、強い味と旨味を楽しむ物であることです。濃い味付けにも負けずにコクのある味わいを主張してくれるので、うどんつゆやそばつゆ、かぼちゃの煮付けなどに最適です!
また厚削りには、荒節を削った「かつお厚削り」と本枯節「枯節厚削り」があります。
かつお厚削りを使った出汁は鰹本来の味がするパンチの効いた味がしますが、
枯節厚削りを使った出汁は雑味が少なく透き通った上品な味がします。
なぜ枯節の出汁が上品な味がするか知りたい方はコチラ発酵食品と呼んでいい鰹節は本枯節だけ!?その由縁と効果を紹介!
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創業100年を超えた老舗マルトモ様から販売されている厚削りです。
長く愛されているという事は確かなおいしさがある証拠です。
2-2.そのまま美味しく食べる!
削り節と一口に言っても削り方などによって様々な種類があります。それぞれ適した料理がありますので、鰹節の種類による選び方を紹介していきます。
2-2-1.ご飯に掛けたり、佃煮にしたりする破砕品
通称破砕(はさい)と呼ばれる削り節。先程お出汁をとる時に登場した花かつおを、機械に入れて細かく裁断した物です。
破砕
スーパー等でよく見かける3~5gのパックに個包装されている削り節はこのタイプです。
花が細かいのでトッピングして料理を彩るという使い方よりも、混ぜ込んで使って味を楽しむ事に向いている削り節だと思います!
白ごはんに少量のお醤油と一緒に混ぜ込んでおかかご飯にして、上に温泉卵とネギを乗せて少々粗挽き胡椒を振りかけて、ねこまんまにするとおいしいです。
薄くて細かい削り花は味がしみ込みやすいので、お醤油やみりん、お酒と砂糖を少々加えて炒り煮をして佃煮を作ったりすると、おにぎりの具やおつまみに大活躍しますよ!
破砕を購入するならコチラ
にんべん様から販売されている個包装の使い切りパックです。一袋1.5gは一見少なそうですが、お一人様からでも使い切りやすい量となっています。また本枯節を使用しており少々お高いですが、袋を開けた時に広がる香りは一級品です!
2-2-2.湯気で踊る!トッピングにおすすめ帯削り
帯削り(おびけずり)という削り節は花かつおよりも細くまっすぐに削られている削り節です。
帯削り
花にはコシがあり、ふんわりとボリューミィーな見た目となっています。
花かつお程ではありませんが、花が大きく目立つので、たこ焼きやお好み焼き、冷奴などにかけると存在感抜群です!また、たこ焼き等アツアツの料理に乗せると花の一枚一枚が踊って非常に食欲がそそられます。
味をつけて食べるというよりかは、直接料理に乗せる事で料理を引立てるような使い方が向いていると思います。
鰹節が踊る秘密とは?気になる方はコチラから
これで納得、温かい食べ物に乗せると鰹節が動く理由を明快解説
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トマル水産様から販売されているこちらの帯削りは、一つ一つの花がとても大きくボリュームたっぷりですので、トッピングとして大活躍するでしょう。
2-2-3.少しの量で料理を上品に華やかに彩る糸削り
糸削り(いとけずり)もしくは糸がきと呼ばれる削り節は、帯削りよりもさらに細い削り節です。
糸削り
糸削りの特徴は、ほとんどの場合は鰹節の血合い(血液が多く赤黒い部位)を取り除いた血合い抜きと呼ばれる鰹節を削っています。血合いが無い事で、削った花が綺麗な桜色になります。
その美しい色合いは料理を上品に彩ってくれるので、和え物やお浸し、漬物や酢の物煮物などのトッピングに良く合います。このような料理の上に少量の香りのよい食材を盛り付ける手法を天盛り(てんもり)と呼び、糸削りはよくこの天盛りに使用されます。
ほうれんそうのお浸しの上に少量の糸削りと、しろごまを乗せると色のコントラストも美しく、相性も抜群なのでとてもおすすめです!
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かね七様から販売されている糸削りです。とても綺麗な薄桃色の削り花は料理を上品に美しく彩ってくれるでしょう。
2-2-4.味にもうひとつチョイ足し!かつお粉
粉砕とも呼ばれています。破砕した削り節をさらに細かくした物です。
かつお粉(粉砕)
破砕した削り節をさらに細かくパウダー状にしたかつお粉は、おでんの粉や焼きそばの粉に使用されたり、練り物の中に練り込まれたりして使われます。細かいパウダー状のこちらの削りは料理の見た目を彩るトッピングとしては全く向いておらず、隠し味や味に深みを持たせる為に使うことになります。ご家庭で使用する場合は焼きそばに混ぜたり、お好み焼きに振りかけたり、うどんやラーメン等の汁物の味にもう一工夫をしたい時に溶かし込んだり、様々な使い方が出来ると思います。
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鰹節の伏高様から販売されているかつお粉です。原材料は鰹節100%の無添加品なので安心して様々なお料理に入れて楽しめると思います。
3.まとめ
食卓を支えてくれる心強い味方「鰹節」
削り節にはたくさんの種類がありそれぞれの特色がある事がお分かり頂けたかと思います。
今回は、鰹節のプロである筆者のおすすめの使用方法をお伝えいたしましたが、
これが正解!という物はひとつもない奥深い食材ですので、
是非とも様々な使い方を皆様でお試ししていただけたら嬉しく思います!
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