「鰹節」出汁用。数ある鰹節削りの中で、どれを選べばいいのか。確かにわかりづらいですね。一体どのようなもので出汁を取ればいいのか。出汁取り専用の鰹節があるのか?
この記事では、鰹節の特徴を説明しながら、おすすめのポイントである理由も含め、ご紹介していきます。
1.出汁用鰹節の種類とおすすめの選び方
出汁用には鰹荒節、鰹枯れ節の厚削りがおすすめです。
両者の出汁の違いをひと言で表現すると、鰹荒節の出汁は“とがったイメージ”で、鰹枯れ節は、そのとがった感のカドが取れたまろやかながら、濃厚さが増したイメージです。
このように、鰹節の出汁の特徴により用途を分けることで活躍できる最適なシーンがあります。
我々、鰹節のプロが選んだ、特に向いている用途として絞り込みをしたものです。普段使いができる身近なお料理です。
この出汁の特徴ですが鰹荒節は“香り”です。鰹枯れ節は“香り”と“コクのある旨み”です。この両者の厚削りが出汁用としておすすめです。うす削りにはない出汁の濃さが取れるからです。
うす削りは短時間で出汁が取れる“香り”を求めるタイプ、厚削りはじっくりと煮出し、旨みを求め、味を付けるタイプになります。
出汁用鰹節とは、出汁専用のものと出汁にも使えるタイプがある。ということです。
例えば、定番の味噌汁用の出汁なら「うす削り」、煮物、鍋物、おでん等、濃いめの出汁用には専用の「厚削り」をお使いください。濃厚な旨みが取れる出汁だから、味付け、煮込み用におすすめの理由です。
では、その鰹節の種類と特徴から用途にあった使い分けのポイントをお話ししていきます。
1-1 鰹荒節のお出汁の用途

鰹荒節の特徴である焙乾(ばいかん)の効果で枯れ節より香りは強いものになります。
焙乾(ばいかん)といわれる製法ですが、熱と煙で水分を蒸発させます。これを繰り返すことで表面が黒色化してきます。この燻し(いぶし)の効果で“香り成分”と“旨み成分が生成されます。
この特徴を生かした、“味を付ける”お料理におすすめです。調味料もお使いになることから、やや濃いめの傾向になりますので出汁を強調させたい時に鰹荒節がおすすめです。
では、削り方の違いによる用途をピンポイントでご紹介します。
①うす削り
ここでは、うす削りを「花かつお」としてご紹介いたします。
おすすめはお味噌汁です。定番の出汁取り用ですね。お味噌の風味に負けない鰹出汁は簡単に花かつおで取る
ことができます。立ち上がる湯気に鰹出汁の香りを実感できます。
②厚削り
厚削りは出汁取り専用です。お雑煮、煮物、鍋もの、おでん用の出汁取りとして、巾広いお料理にお使いいただけます。
こちらのお料理はお醤油、調味料を使い、味付けします。この味付けに負けない強い旨みのある鰹出汁が必要になるからです。
花かつおは香りを重視、厚削りは香りと濃厚さを重視した用途です。
1-2 鰹枯れ節のお出汁の用途

鰹枯れ節の特徴はかび付けの効果で、上品な香りは勿論のこと、旨みとまろやかながらコクがあります。
上品な香りとは、鰹荒節を焙乾(ばいかん)した燻臭(くんしゅう)のある表面がなくなるため、まろやかさがでてきます。またかび付の効果で、旨みが凝縮されます。その為、鰹荒節より出汁のコクが出ます。
この出汁をそのまま味わえるようなお料理がおすすめです。
①うす削り
お吸い物がおすすめです。お吸い物は出汁を味わい、飲み干すお料理の代表です。
よって、出汁の旨みが重要なポイントになるからです。
②厚削り
こちらの用途は“そばだし”です。特に関東圏の濃い口醤油を使ったそばだしにおすすめです。
うす削りとは違い、厚削りは出汁の濃さを取り出す為の削りだからです。また、濃い口醤油の塩辛さを枯れ節の出汁でカドを取り、まろやかさを出すイメージです。
枯れ節のうす削りは上品な香り、厚削りはコクとまろやかながら、濃厚な出汁が取れます。
鰹枯れ節は前述の鰹荒節の表面の黒い部分を削り取り、人工的に“かび菌”を付け、節(ふし)を枯らしていきます。2回、3回とかび付けを繰り返し、水分を抜き旨み成分を凝縮させます。この過程が鰹荒節より、上品な“香り”、“コク”と“旨み”が生み出される理由です。非常に深みのある出汁が取れる節になります。時間と手間がかかる為、鰹荒節に比べて価格は高価になります。
2.うす削りと厚削りの出汁の濃さの違い
厚削りの出汁は濃い出汁が取れます。
うす削りと厚削りの使い分けは、香りを重視するもの、香りも出汁の濃さも強調したいお料理であるとお話ししました。それは、出汁の出方の違いがあるからです。
このうす削りと厚削りの出汁の違いについて、厚削りの出汁が濃厚といわれる理由を「鰹荒節」の比較で説明いたします。
花かつおは“香り”を重視、厚削りは“香り”プラス“濃厚さ”を重視します。
同量をそれぞれの出汁取り方法で検証しました。比較は出汁の濃さです。花かつおは香り立つ出汁の旨みを感じられました。厚削りですが、香りは勿論のこと、出汁の濃さは厚削りが圧倒的に優位でした。濃さとは旨み成分を感じる“コク”の評価です。厚削りの方が多く溶けだしている結果となります。
ちなみにですが、この違いが数値で確認できるか分析してみました。
Brix(ブリックス)とは、水溶性の成分の濃さで、Fn(全窒素量)とは、水溶性の成分(アミノ酸)の量です。
Brixの数値に変化はありませんでした。では、濃厚さはどうでしょう。数値は厚削りが高い結果となりました。この数値の差が前述の出汁の試飲の評価です。実際、出汁を評価するには“舌”による味わいが重要です。
このような違いから、「出汁用の鰹節」は荒節、枯れ節の厚削りがおすすめなんです。用途に合わせた鰹節の使い分けをすることがポイントです。
3.その他の鰹節出汁用の商品
煮出し時間も短く、簡単に出汁が取れる人気商品があります。
それは「だしパック」です。
その人気の理由は、手軽に出汁が取れるタイプであることです。パックひとつで、鍋があればすぐに出汁が完成です。パックの容量も少ないことから、2~3分程でお出汁ができ、濾すことも必要としない、そのような便利さが人気の理由です。
例えば、中身の原材料ですがこのタイプは鰹節を単品で使用することはなく、さば節、煮干しいわし、昆布、椎茸、また、今人気の高い、あご(トビウオ)等も使われ、これらをミックスしたタイプが数多く販売されています。これは他の節、昆布等と数種類をミックスすることで複合的な味を出す為です。また調味料を絶妙なバランスで配合、粉末のお醤油、食塩をブレンドすることで2~3分程の短い時間で出汁が取れるようにつくられています。
“調味されたお出汁”であり、味付けをする必要のない商品です。
各企業様によって容量は違いますが8g前後のパックで、おおよそ3人から4人前位のお出汁が取れるものが主流です。少人数のご家族では使い勝手のよい出汁取りアイテムなので人気の理由です。
い
市販商品の一例。原材料は複合された風味調味料です。
4.まとめ
鰹節の出汁用は厚削りがおすすめな理由がおわかりいただけたでしょうか。
鰹節は2種類あります。削り方の違いで用途が変わり、その特徴を生かした使い方をしていただくことがコツです。
うす削りは“香る出汁”、厚削りは“コクと旨みの濃厚さ”の出汁です。更に絞り込みをすれば出汁専用には、厚削りがおすすめなんです。
それぞれに最適な使い方があり、お料理に合わせた使い分けをして、鰹節の出汁を存分にお楽しみください。
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