大根を食べた際に強い辛味を感じたことがありませんか?
ただ毎回のように強い辛味があるわけではなく料理やその時々によって差があるかと思います。
ではなぜ、辛味を強く感じる場合とそうでない場合があるのでしょうか。
今回は辛味を強く感じる理由を
①大根特有の辛味成分
②使用する部位による違い
③季節による辛味の差
といった視点から解説します。
また、辛味を抑える工夫や辛味を活かした料理も紹介していきます。
この記事を参考にして大根の辛味を活用して美味しい大根を調理してみてください。
目次
1 大根を食べた時に辛味を感じる理由とその効果
大根に含まれている特有の辛味成分が生成される際に出来る成分が辛味を感じる要因となっています。
またこの成分の生成量の差が使用する部位や季節による辛味の違いになっているのです。
また辛味成分の効果についても更に詳しく解説していきます。
1-1 大根特有の辛味成分によるもの
大根はすりおろしたり切ることで細胞が壊れるとイソチオシアネートという物質とミナシローゼという酵素が混ざりあいます、それらが化学変化を起こして「アリルイソチオシアネート」という辛味成分が生成されます。
またイソチオシアネートは中心部分より皮に近い外側部分の方が多く含まれているため、皮の切り方一つでも辛さに変化が出てきます。その他にも使用する部位や季節によっても辛味成分の含まれる量に違いがあります。
つまり辛味を抑えたい、辛味を増したい場合は切り方の工夫や使用する部位や収穫時期の選択を行うことで大根の辛味を上手に活用できるようになります。
1-2 辛いだけじゃない辛味成分の効果について
大根の辛味が苦手な方も居るかもしれませんが実はただ単に辛いだけではありません。大根の辛味成分であるイソチオシアネートには抗酸化作用、殺菌作用、がん予防にも効果があります。
抗酸化作用
老化の原因となる活性酸素を取り除く効果や代謝の促進や免疫力の向上などに効果があります。
殺菌作用
特定の菌に対する抗菌作用があると言われており大腸菌に対しても効果があります。
がん予防
発がん物質が活性化するのを抑える働きがあることがわかっています。
大根の辛味が苦手な方でも辛味を程よく調整できれば今まで以上に食べやすくなります。
2 大根は部位によって実は辛さが違う
大根は使用する部位によって辛さに差があります。
その理由は部位によって辛味成分(イソチオシアネート)の含有量に違いがあるからです。
2-1 葉に近い部位は甘さがある
左側の葉の付いた部分の方が右側に比べて水分が多く甘さもあります。
また断面部分よりも葉に近い部位に近づくにつれて徐々に甘みと水分が増していきます。
2-2 先端に行くほど辛味が増す
葉に近い部分は甘みがありますが大根は根の先端に近づくに従って、辛味が増していきます。
これは成長過程で活発に細胞分裂をおこなうことで先端部分の辛み成分が多く生成され、害虫などを寄せつけないための自衛手段ともいわれています。
一方で真ん中の部分では程よい辛味と甘みがあり素材の味を楽しめます。簡単にいえば大根の中心部を境いとして甘みを感じることが多い上部と辛さを感じることが多い下部で使い分けると良いといえます。
3 季節による辛味の差
大根は一年中、店頭に並んでいる野菜の一つですが、季節によっても辛味の差があります。
大根は収穫時期を大きく分けると春大根、夏大根、秋冬大根と呼ばれています。
3-1 夏の大根が一番辛い
春大根
まずは春大根ですが春に収穫されるので春大根と呼ばれ、大根の美味しい時期といわれています。
冬の大根に比べると少し辛みがありますが、みずみずしいのが特徴的です。
夏大根
次に夏大根ですが春に収穫される大根よりも辛味が増して硬さも加わるのが特徴的です。大根は季節によっても辛さが違ってきますが、一年を通して夏の方が圧倒的に辛いのです。
その理由としては夏場の大根はイソチオシアネート含有量が多く、反対に秋から冬にかけては寒さから身を守るためにイソチオシアネートの生成を抑えられているからです。
また夏大根は肉質がよく食感も楽しめて一年を通して一番辛味があるので辛味を活かす大根おろしやサラダにすると美味しく召し上がれます。更に硬さがあるので炒め物にも使用するのもおすすめです。
3-2 冬の大根は辛味が控えめ
秋冬大根
秋冬大根は秋から冬にかけて収穫できる大根をそう呼びます。繊維が比較的柔らいが煮崩れしにくい性質と多くの水分を含んでいます。年間を通して一番水分量が多くみずみずしいため柔らかく感じます。
中心部分まで火を通した大根は煮汁の味を良く吸い込み、口に含むと水分の広がりが解かり易くなっています。
おでんや田楽など、煮込んで作る煮物系の料理に最も合うのが秋冬大根です。
夏に比べて甘みが強くなりますが完全に辛味が無いわけではなく皮に近い部分はやはりイソチオシアネートが多いので辛さを感じやすくなっています。そのため秋冬に甘くておいしい大根を食べるには厚く皮を剥くという方法もあります。これは大根の中心部分に甘み成分があり、外側に行くほど辛味成分が強くなっているからです。
4 大根の辛味を抑える工夫
ここでは大根の辛味を抑える方法をいくつか紹介していきます。
複数の方法を組み合わせることで更に効果を高めることが出来るので覚えておきましょう。
4-1 皮を3mm厚く剥いて、縦方向に切る
大根の辛味を抑えて甘くておいしい大根を食べるのには含まれている辛味成分を減らす事が一番の方法です。
皮に近い部分はイソチオシアネートの含有量が多いため、大根は中心部分に行くほど甘み成分がありますが外側に行くほどこの辛味成分が多くなっています。大根の皮を剥く際に普段より3mmほど厚く剥くのが辛味成分を減らす事の出来るポイントです。
次に大根を切る場合は繊維にそうようにして大根を切ると細胞が壊れにくくなり、その結果イソチオシアネートが生成されにくく辛みが抑えられます。大根は縦方向に繊維が走っているため、可能であれば縦切りにするのが効果的です。
4-2 揮発性の為、切ってから時間を置く(30分以上)
アリルイソチオシアネートは揮発性のため、約5分で辛さはピークとなります。
その状態からしばらく時間が経つと辛さは徐々に減っていきます。そのため大根を切ってから30分から1時間程度放置しておくと辛み成分が揮発して辛さも抑えられるというわけです。
だだし、長時間の放置は大根の水分も抜けてしまい、食感が悪くなってしまうことがありますので注意してください。揮発させたいのでラップなどは掛けずに置いておくのもポイントです。
4-3 辛味成分を飛ばすには加熱が最適
30分も待てない方の為にも電子レンジの加熱で辛みを抑える方法も紹介します。
内容はとても簡単で大根を耐熱容器に入れて電子レンジで温めるだけです。加熱する際は辛味成分を揮発させたいのでここでもラップは使用しません。
高熱で加熱処理をすることで辛味成分が分解され辛くなくなります。
電子レンジにかける目安の時間は15秒前後です。加熱しすぎると辛味がまったくなくなってしまいますので15秒かけた後に一度味見をして辛味が強ければ時間を延長してみるのがおすすめです。
加熱前は辛さを感じた大根でも加熱後のものを食べてみると辛みはなくなり甘みが感じられます。
レンジ以外でも炒め物のように大根を加熱する調理方法がおすすめです。
5 辛味にあった大根の活用方法
甘めの大根、辛めの大根といったそれぞれの違いが分かったところでそれぞれに合った大根の活用方法を紹介していきます。
5-1 甘い大根はサラダや素材本来の良さを活かす
大根は先端部分が最も辛いので葉に近い甘みと水分の豊富な上部分はおいしい大根サラダが作れます。上部のみずみずしさと甘みを楽しむためには生のまま食べるのが一番おすすめです。千切りの大根サラダや野菜スティックなどが挙げられます。また生で食べる以外ではやわらかく甘みと辛みのバランスもよいため大根のステーキやおでんなど大根本来の食感や味を楽しめる料理に向いています。
5-2 辛い大根は大根おろしや漬物が最適
辛みが強い先端部分は漬物や大根おろしにする食べ方がおすすめです。大根の下部は水分量が少ないため調味料がなじみやすい特徴があり甘酢や醤油に漬ければ辛味の角をとるまろやかな漬物に仕立てることが出来ます。
また大根おろしのように辛味を程よく出せればさっぱり感が際立ちます。もちろん辛味が強すぎると美味しさを感じにくくなってしまうので先述の辛味を抑える工夫を是非試してみてください。
更に詳しく知りたい方がいれば「大根 上と下」の記事に部位別の活用方法が載っていますので
そちらの記事を参考にしてみてください
まとめ
今回、大根がなぜ辛味を感じるのかその理由から始まり大根に含まれている「辛味成分」が何なのかが解かってもらえたと思います。また「使用する部位」や「季節による違い」からどのような大根を選べば良いのか、そのうえで自分や家族の好みにそって大根の辛味を調整、抑える方法も紹介しました。
また辛さが物足りないと感じる方もこの記事を参考にして辛味を抑える方法の逆を試してみてください。
例えば皮を薄く切ることや繊維を壊すように横におろすようにすれば辛味成分の生成量が増えます。また大根おろした際にも5分ほどのおろしたてで食べれば辛味が倍増します。
大根の辛味はただ単に辛いだけでなく健康にも効果がありますので辛いことで食べにくさを感じる方も多いかと思いますが辛さを調整できれば今まで以上に大根が食べやすくなります。
大根の辛味を上手に調整、活かすことで料理の幅が拡げられるお手伝いが出来れば幸いです。
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