お好み焼きと言えば鰹節がトッピングとして欠かせないものですよね。お好み焼きにかけるための鰹節を購入しようとしたときにいくつか種類があり、どの鰹節をかけるのが一番おいしくなるのだろうとふと思う場面があると思います。
そんな疑問を解決するために、大手のお好み焼き屋さんに鰹節を提供している会社に勤める私が5種類の鰹節をお好み焼きにかけて食べ比べして、お好み焼きにかけるべき鰹節は、花かつお(平削り)とかつお粉であると厳選しましたので是非参考にしてみてください。
おすすめの鰹節を紹介した後には、お好み焼きと鰹節が合う理由を紹介します。なぜお好み焼きには鰹節をかけるようになったのかがわかると思います。雑学程度のものですが、なるほどそんな理由があったんだと思って頂ければなと思います。
目次
1.お好み焼きに合う鰹節は花かつお(平削り)とかつお粉!
スーパーや百貨店で売られている鰹節には、花かつおやかつお粉まで様々な種類のものがあります。そこで今回、鰹節のプロである私が実際に様々な種類の鰹節をお好み焼きにかけて食べ比べしてみました。食べ比べ後は、花かつお(平削り)とかつお粉がおすすめという結論になりました。
花かつお(平削り)は大きな花で見た目がよく、香りもしっかりしているため、お好み焼きにさらなる食べ応えを与えます。かつお粉は見た目のインパクトこそ花かつおに劣るものの、粉末状であるため口の中でお好み焼きとよく絡み、お好み焼きの味を最大限に引き出していました。
下が今回食べ比べした5種類の鰹節についてまとめた表になります。やはり花かつお(平削り)とかつお粉がお好み焼きとの相性が特に味の面でいいのだとよくわかります。
※味はお好み焼きとの相性、香りはかけた時の香り、見た目は見た目の良さを指しています。
それぞれの鰹節をかけてみた感想はこの後の章で詳しく説明していきたいと思います。
※今回は関西風お好み焼きで検証してみましたが、広島風お好み焼きについて検証しても同意見になるだろうという結果となりました。
1-1花かつお(平削り)
花かつおは一枚一枚の削りが大きくてしっかりしているのが特徴です。お好み焼きにかかっているのをよく見ると思います。
お好み焼きにかけると写真のようになります。(お好み焼きは手作りのため形にムラがあります。ご了承ください。)
花が大きくてしっかりとしているため、見た目が非常にいいですし、アツアツだと花も踊ります。
味としては、鰹節による歯ごたえを感じることもでき、香りが口の中によく広がるため、お好み焼きとの相性は見た目も味に関しても抜群です。欠点としては、存在感が強すぎるということぐらいで、非常に食べ応えがありました。
この鰹節は、見た目でも味のよさでもかなりお好み焼きに合うと感じたのでとてもおすすめです。
1-2.かつお粉(粉末品)
かつお粉は破砕品をさらに細かくして粉末状にしたものとなっています。お好み焼きにこのタイプがかかっていることが多いのではないでしょうか。
お好み焼きに掛けると粉末状である分だけ見た目のインパクトでは花かつおに負けてしまいます。
しかし、粉末状であるので口の中でお好み焼きとよく絡んでお好み焼きの良さを引き出すことが出来ているように感じました。
関西風のお好み焼きであれば、生地を混ぜる段階でこのかつお粉を混ぜれば、生地が香り高いものとなり、また違ったおいしさを楽しむことができます。
1-3.破砕品
破砕品は花かつおを破砕して細かくしたもので、小袋で売られているものがこのタイプであることが多いです。
お好み焼きにかけるとこのようになります。お好み焼きの形が悪いですが、このタイプの削りはお好み焼きにかかっているのをよく見かけると思います。
削りが細かい分だけお好み焼きの食感を邪魔することはないですが、花かつおに比べると香りがやや劣る印象があり、お好み焼きにはかけてもおいしいが、花かつお(平削り)やかつお粉に劣る印象でした。
冷奴やおひたしなどの小物にトッピングとして使うと花の大きさもちょうどよく、おいしく食べられると思います。
1-4.花かつお(帯削り)
帯削りのものは平削りに比べて一つ一つの花が帯のように細長いのが特徴です。
お好み焼きにかけるとこのようになります。
花かつお(平削り)のものと比べる一つ一つの花が小さいからかボリューム感に欠けますね。
食べたところ、香りは感じるのですが、ソースに負けて花がべちゃついてしまい、平削りのものよりは鰹節の食感を楽しむことが出来ませんでした。
香りの感じ方は平削りのものとあまり変わりませんが見た目のボリューム感と食感から、花かつおは平削りの方がお勧めだと思いました。
1-5.糸がき(糸削り)
糸がきは帯削りよりもさらに細長く、糸のような花をしているのが特徴です。おひたしなどに添えられることが多いです。
お好み焼きにかけるとこのようになります。見た目としてはいいようにみえますが、2つ問題があります。
まず1つ目は、絡まってしまうので多くの量をかけようとすると大変手間がかかってしまうことです。
2つ目は、花が小さいため帯削りのようにべちゃついてしまい鰹節の食感をあまり感じなくなりました。糸削りはお好み焼きには適さないのではないかと感じました。
糸削りは見た目が特徴的で高級感があるので、おもてなしの料理に見た目をよくするためのトッピングとして使うのがおすすめです。
花かつお(平削り)は見た目の味の面でもお好み焼きにかけるべきともいえる鰹節なのではないかと思いました。また、味の面だけならかつお粉が花かつおと同等かそれ以上に引き出せている印象で、このかつお粉もお好み焼きにかけるならこれだとおすすめできるものでした。
鰹節が好きな人であれば、生地にかつお粉を練りこみ、最後に花かつおをかけるということをすればたまらないものになるのではないでしょうか。
破砕品や花かつお(帯削り)は相性が悪くはないのですが、前の2種類にはかなわない印象で、糸がきはお好み焼きには向いていないという結果になりました。
2.お好み焼きに鰹節が合う二つの理由
お好み焼きにはトッピングとして鰹節がよく使われます。しかしなぜあんなにお好み焼きと鰹節は合うのでしょうか?その理由はお好み焼きに使うだしに含まれるグルタミン酸とトッピングに含まれているグルタミン酸をはじめとする多くのうま味成分にあります。
お好み焼きに使われるだしやトッピングには、グルタミン酸やグアニル酸といったうま味成分が多く含まれています。鰹節もイノシン酸といううま味成分を多く含んでいます。このイノシン酸とグルタミン酸は合わさることにより、大きなうま味を引き出すという特性があります。
お好み焼きに限ったことではありませんが、料理をおいしくするためには合うものを加えていきたいものです。ですからお好み焼きといったら鰹節をかける。というのは過去にお好み焼きを作ってきた人達の試行錯誤の結果生まれたものでもあると思います。
ただ、それだけではなく鰹節とお好み焼きが合うというのは、鰹節とお好み焼きに使われるだしやトッピングに含まれるうまみ成分にも理由があったのだとわかります。
2-1お好み焼きのだしにグルタミン酸が含まれているから!
鰹節の旨味はイノシン酸と言われる成分がメインとなっています。
このイノシン酸は単体でうま味を出すのではなく、あらゆる成分が合わさって大きなうま味となります。鰹節が日本食を支える素材として力を発揮するのもこのうま味成分のおかげといっても過言ではありません。
お好み焼きの話に変わりますが、お好み焼きと言ったら関西や広島県のイメージが強いですね。関西風のお好み焼きはキャベツなどの具材を生地に混ぜ込んでから焼くもので、広島風お好み焼きは薄く伸ばした二枚の生地で具材を挟み込むようにして作り、具材には麺やもやしを使う。といった違いがあります。
どちらのお好み焼きでも、昆布などからとっただしを使った生地で調理することでよりおいしいものが完成します。このだしに使われる昆布には、グルタミン酸と呼ばれるうま味成分が含まれています。
実は、鰹節に含まれるイノシン酸と昆布に含まれるグルタミン酸は合わさるとより旨味が増すという特徴を持っています。
つまり、昆布系のだしを使ったお好み焼きに鰹節を振りかけるととてもおいしくなるというのは必然的なことなのです。単に合うからではなくこういった裏付けがあってお好み焼きには鰹節が欠かせないのだということが分かります。
2-2.トッピングに多くのうま味成分が含まれているから!
お好み焼きのトッピングとして使われることの多い青のり、ソース、マヨネーズにはグルタミン酸に限らず多くのうま味成分が含まれています。中でも青のりには、グルタミン酸以外にもイノシン酸、グアニル酸といった三大うま味成分がすべて含まれています。
鰹節に含まれるイノシン酸だけでなく、青のりに含まれるグアニル酸にもグルタミン酸と合わさるとうま味が増すという効果があります。お好み焼きによくかけるトッピングにもうま味成分が沢山含まれており、かけるべくしてそれぞれがかけられているのだとわかります。
これらのことより私は、お好み焼きを作る時に生地には昆布だしを、トッピングにはソースの他に、鰹節はもちろん、青のり、マヨネーズのすべてを使って作ることをおすすめします。
3.まとめ
今回、全5種類の鰹節をかけてお好み焼きを食べてみましたがやはり花かつお(平削り)か、かつお粉が圧倒的におすすめでした。
両方ともお好み焼きとの相性が抜群ですが、見た目と鰹節の食感を大事にしていきたい場合は花かつお(平削り)がおすすめで、見た目よりもお好み焼きとの味の絡みを大事にしていきたい場合はかつお粉を使うことをおすすめします。
そのほかの3つをランク付けするとおすすめの順に、
- 花かつお
- かつお粉
- 破砕品
- 花かつお(帯削り)
- 糸がき(糸削り)でした。
お好み焼きにどんな鰹節をかけるか迷った時にはぜひ参考にしてください。
また、今回お好み焼きにはおすすめしなかった鰹節も適した使い方をすればよさを引き出すことができるものとなってますので、色々な使い方を試してみてください。
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