うま味相乗効果とは?発生させる組合せや食材を知って料理に活かす

うま味相乗効果

「うま味の相乗効果」という言葉を聞いたことがありますか?

それは、異なるうま味成分を組み合わせることによって、感じるうま味が倍増する現象のことです。具体的には、グルタミン酸×イノシン酸グルタミン酸×グアニル酸の組み合わせが相乗効果を発生させる組合せとして知られています。

この記事は、上記のようにまずうま味相乗効果を発生させるうま味成分の組み合わせ、次にそれらの成分を多く含む食材の紹介、更に相乗効果を最大にするうま味成分同士の比率、相乗効果のメリットの順にお伝えしていきます。

ぜひご覧いただき、今日からの料理に活かしていただけるとうれしいです。


1、うま味相乗効果とは

うま味の相乗効果とは、異なるうま味成分を組み合わせて使う事で、感じるうま味が倍増する現象です。例えば、鰹節と昆布の合わせだしです。

料理をするとき、うま味相乗効果を発生させようとするのは以下の理由からです。
基本味の一つであるうま味は、他の甘味や塩味と違って、一定量を越すとそれ以上味が濃いと感じられなくなります。例えば鰹だしで味噌汁を作るときに、適量の2倍鰹節を入れてもうま味が2倍になるわけではありません。

砂糖は入れれば入れるほど甘く感じるし、塩も同じくしょっぱさを増すのとは異なる特徴ですね。
ですから、鰹節を2倍の量入れるのではなく、鰹節と昆布の合わせだしにすることによって発生する相乗効果で、うま味が倍増しふくよかな深い味になるからです。

うま味成分には、アミノ酸系のグルタミン酸と、核酸系のイノシン酸とグアニル酸があります。

最初にお伝えしたように、相乗効果を発生させるには異なるうま味成分を組み合させることが必要ですから、現在分かっているうま味相乗効果が発生する組合せは

1-1グルタミン酸×イノシン酸
1-2グルタミン酸×グアニル酸
2種類です。

*イノシン酸とグアニル酸は異なるうま味成分ですが、両方とも同じ核酸系の成分であり、この組み合わせでは相乗効果が起きないことが分かっています。

1-1 グルタミン酸×イノシン酸

グルタミン酸を多く含む食材は海藻や野菜です。
イノシン酸を多く含む食材は魚や肉です。

以下の写真は、和洋中の代表的な料理が、グルタミン酸を含む食材とイノシン酸を含む食材を合わせて使っていることを示しています。

グルタミン酸イノシン酸料理料理名
和食味噌汁。鰹と昆布の合わせ出汁。
洋食ポトフ。フランスの家庭料理。牛肉と野菜に香辛料を入れ、長時間煮込む。
中華回鍋肉(ホイコーロー)豚肉と野菜に豆板醤を加えて炒める。

1-2 グルタミン酸×グアニル酸

グアニル酸を多く含む食材は干しシイタケなど数種類の食材に限られているため、グルタミン酸×イノシン酸の組み合わせほどバリエーションは多くありません。
和食の代表として茶わん蒸しを昆布だしで作ると、昆布がグルタミン酸、卵がイノシン酸、具にシイタケを使うとグアニル酸が加わって相乗効果が生まれますね。


2. うま味成分を多く含む食材

1章でグルタミン酸を多く含む食材は海藻や野菜、イノシン酸は魚や肉、グアニル酸は干しシイタケと、ごく簡単にお伝えしましたが、もう少し詳しく見ていきましょう。

2-1 グルタミン酸

海藻

mg/100g

羅臼昆布

2290~3380

真昆布

1610~3200

利尻昆布

1490~1980

日高昆布

1260~1340

長昆布

240~1400

同じ昆布の仲間でも、羅臼昆布は日高昆布の2倍から3倍近いグルタミン酸含有量があると知っていれば買い物時にも役立ちます。

野菜、豆、いも

mg/100g

トマト

150~250

ドライトマト

650~1140

グリーンピース

110

れんこん

100

にんにく

100

とうもろこし

70~110

春菊

80

大豆

70~80

そら豆

60~80

白菜

40~90

じゃがいも

30~100

さつまいも

60

ほうれん草

50~70

にんじん

40~80

たけのこ

14~90

アスパラガス

30~50

大根

30~70

キャベツ

30~50

玉ねぎ

20~50

長ねぎ

20~50

ブロッコリー

30~60

セロリ

20~30

乳製品

mg/100g

パルメザンチーズ

12001680

エメンタールチーズ

310

チェダーチーズ

180

2-2 イノシン酸

肉類

mg/100g

豚肉

230

鶏肉

150~230

牛肉

80

魚介

mg/100g

煮干し

350~800

鰹節

470~700

はまち

230~290

いわし

280

まぐろ

250~360

たい

180~300

あじ

270~330

かつお

130~270

さわら

250~280

さば

130~280

たら

180

しらす干し

240

生魚にもイノシン酸は多く含まれていますが、なんといっても煮干しや鰹節といった加工品は凝縮されているので、同じ100g当たり含有量で比べると圧倒的な多さで、だしに使われるのも納得です。

2-3 グアニル酸

mg/100g

海苔

3~80

ドライトマト

10

干し椎茸

150

えのきだけ

50(加熱時)

食材別うま味情報 | 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター (umamiinfo.jp)

参照


3. うま味相乗効果を最大にする比率

最もうま味を強く感じる割合は、グルタミン酸とイノシン酸の割合は1:1つまり同量が一番良いと言われます。

配合量

グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果によるうま味の強さは、配合比によって変化します。

全体のうま味物質の濃度が一定になるようにし、グルタミン酸とイノシン酸の配合比を少しずつ変化させた水溶液を用いて官能評価を実施したところ、グルタミン酸とイノシン酸がちょうど1:1のときに最もうま味が強くなることがわかりました。これは単独で味わうときに比べ、およそ7〜8倍とされています。

この比率で、昆布と鰹節の合わせだしが最大の効果を生む使用量を考えてみましょう。
2-1の表から羅臼昆布のグルタミン酸含有量は100g当たり2290mg、鰹節のイノシン酸含有量は100g当たり470mgです。2290/470=4.87ですので、羅臼昆布と鰹節の配合比率はおよそ1:5にすると効果が最大になりますね。
もちろん、例えばみそ汁にするなら、みそ自体にグルタミン酸が含まれていますし、具に使う食材にもよるので、そこまで計算して料理をするのはまれかもしれませんが、グルタミン酸:イノシン酸=1:1で最大の効果を生むということは覚えておいて損はないと思います。


4. うま味相乗効果のメリット

4-1 減塩効果

うま味の相乗効果は減塩にも効果を発揮します。

塩分の取り過ぎは、様々な生活習慣病に繋がっていますが、料理を美味しく食べるには、一定量の食塩が必要です。極端に食塩を減らすると、味がもの足りなく食事に満足感が得られません。生活習慣病の予防は減塩の食事を長く続けることが重要なポイントですが、美味しくないと減塩食を維持することが難しくなります。

そこで、うま味の相乗効果をうまく活用すれば、美味しさを損なわずに減塩できます。例えば、食塩1%溶液にグルタミン酸ナトリウムを0.02%加えたA液と食塩1%溶液にイノシン酸ナトリウムを0.02%加えたB液を比べると、いずれも塩味しか感じられません。しかし、このA液とB液を同量で混合すると、強いうま味を感じることができます。

そのため、食塩の量を減らしてもうま味でカバーできるため、満足感のある料理が作れます。

この様に、毎日の食事にうま味の相乗効果を活用することで、使用する食塩の量を減らしてもおいしく健康的な食事を楽しむことできます。

4-2 ダイエット効果

うま味を利用して満腹感を得られることによって、食べる量が抑えられます

イギリスのサセックス大学のウナ・マージック(Una Masic)氏らの研究が、American Journal of Clinical Nutrition誌8月号に掲載されたように、うま味によって少量でも満足感を得られることや、油脂や糖分、塩分などを控えることができました。満腹感効果により、食事摂取量を抑えることができるので、健康・ダイエットにも寄与できます。

香辛料のような辛い物を食べると脂肪燃焼や食べる量を減らすことに役立ちますが、その味に慣れていないと、その効果も弱まってしまいます。そのため、うま味の相乗効果を利用すれば、食事摂取量をむやみに我慢することなく、ダイエット効果も期待されます。

ここまでお読みいただけたら、料理にうま味相乗効果を生かすことができると思います。

最後に、なぜうま味相乗効果が発生するのかを少し専門的にお伝えしますので、興味のある方はご覧ください。


5. うま味相乗効果の仕組み

うま味相乗効果は、うま味成分のグルタミン酸やイノシン酸やグアニル酸の摂取量を増やすことなく、うま味を強く感じさせる仕組みです。

そもそも私たちは味を舌で感じるのですが、さらに詳しく言えば舌の表面にある「味蕾:みらい」という“センサー”が味を判別します。

舌の上の味蕾は、味を感知する「味の受容体」といえます。人間の味覚には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つの基本味があります。そこで、それぞれの基本味に対する受容体が区別されています。

特に、うま味を感じる受容体は「グルタミン酸受容体」(T1R1)です。一番初めに発見されたうま味はグルタミン酸のため、「グルタミン酸受容体」は「うま味受容体」とも呼ばれています。

 5-1 グルタミン酸×イノシン酸

グルタミン酸を認識したうま味受容体がさらにイノシン酸と接触することによって、グルタミン酸がより遊離しにくくなり、うま味を強く感じられます。

うま味受容体にグルタミン酸が入ると、うま味を脳へ伝達する通路のスイッチをオンにして、最終的に脳に「美味い」という信号を伝えて行って、うま味を感じさせます。

アメリカの研究グループの研究により

文献情報

このグルタミン酸とイノシン酸の相乗効果の仕組みは、ハエトリグサが虫を補する過程と似ています。

ハエトリクサというは、二枚貝のような葉をもっています。虫がいない時は葉を開き、虫が入ってくると、葉を閉じます。この様に葉が閉じることによって虫が逃げられないような状態となります。

グルタミン酸×イノシン酸の仕組み

グルタミン酸は「ハエトリグサ」が開く際のちょうつがいの部分に結合し、イノシン酸は先端の開閉部に結合することがわかっています。このように、イノシン酸が結合すると、グルタミン酸受容体が閉じた構造になり、グルタミン酸が安定し、受容体と離れにくい状態となります。

グルタミン酸が離れ難い状態となると、うま味のシグナルが“茎”をつたって、脳まで強いうま味を伝えることができます。最終的に、うま味を強く感じたことになります。

この研究は、単純に相乗効果の仕組みを明らかにしただけではありません。うま味受容体は甘味受容体の構造に似ているため、グルタミン酸とイノシン酸の関係のように甘味受容体と結合して甘味を増強させるような物質を見つければ、砂糖と併用してカロリーの摂取を低減でき医療や栄養の分野にも活用できます。

 5-2 グルタミン酸×グアニル酸

グアニル酸はうま味受容体を変形させ、グルタミン酸をより長時間保持させることで、うま味を強く感じさせます。

グルタミン酸×グアニル酸 文献資料

グルタミン酸×グアニル酸 受容体変形

グルタミン酸(Glu)と結合したうま味受容体(Glu1)に更にグアニル酸が結合(GMPGlu1)することで,うま味受容体構造に変化を起こし(アロステリック効果という), グルタミン酸がより長時間保たれ、脳へ伝えるうま味信号が強くなり、最終的により強いうま味を感じることになります。

ここでの「アロステリック効果」を簡単に説明すると、うま味受容体の機能(うま味を認識する機能)がグアニル酸により効果的に調節され、それによって、脳へ強くうま味を伝えるようになるという事です。

つまり、グアニル酸はうま味の感覚を高める機能を持っています。この様にうま味受容体に刺激を与える物質を「うま味エンハンサー」と呼び、他の味覚を強く感じさせる「味の増強剤」となります。

グアニル酸のような「味の増強剤」を応用すると、将来的には味わい深い料理を作るのはもちろんのこと、医療や健康面で様々な可能性が広がっていくと思います。

このように、うまみの相乗効果とはグルタミン酸とイノシン酸の場合は、組み合わせたうま味受容体に入る物質の分子が大きくなり、安定することによって、より強いうま味を感じられる仕組みです。グルタミン酸とグアニル酸の場合は、グアニル酸の刺激で受容体を変形させ、うま味を感じやすくさせる仕組みです。


6、まとめ

この様に、うま味物質を単独に使うよりも、混合して使った方がうま味を強く感じます。

その効果は、料理の世界で使えるではなくて、栄養学等の分野でも活かすことが出来ます。身近な食材を使って、簡単にうま味の相乗効果が得られます。アミノ酸系うま味物質×核酸系うま味物質という方程式を守れば、だしを使わなくでも美味しい料理を作る事も出来ます。

ぜひ、皆さんもご家族で試してみてください。

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