旨味と塩2つの相互作用及び旨味を利用した減塩料理の3つの方法

 人間が感じる味覚には「塩味」「甘味」「うま味」「酸味」「苦味」の5種類があります。塩はこのうち塩味にはもちろん、実はその他の味覚にも大きな影響しています。

 例えば、スイカに塩をかけるのは、「対比効果」で、スイカの甘味を強調しています。お酢に塩を入れると、酸っぱさが抑えられ、独特な味が生まれます。更に、苦い物に塩を少しだけ入れると、苦味を打ち消す効果もあります。

 実は、旨味とつながる「うま味」も塩と相性が良いです。うま味は「塩かど」を取り、塩は「うま味」を感じしやすくする力を持っています。その関係を利用し、塩の量を減らしても、うまさが変わらない料理を作ることが可能です。

 それでは、その詳細を見てみましょう。


1、旨味と塩の2つの相互作用

 旨味は塩の味を柔らかくして、いわゆる「塩かど」をとり、同時に、その食品を美味しくすると言われています。また、塩味がないと、「旨味」は感じにくくなることもあります。例えば、うま味成分としてよく知られた「グルタミン酸ナトリウム(MSG)」は食塩の塩から味を緩和する力を持っています。鰹節だしに少量の塩を入れると、美味しく感じることがあります。

 旨味とは、「美味しい」として、感覚を表す言葉ですが、日本では「うま味」という表記もあります。それぞれの違いは「旨味・うま味の違いとは?成分や健康への影響、相乗効果の総まとめ」に詳しく説明しております。

 旨味を感じるのは「うま味成分」が含まれているからです。「うま味成分」の代表はグルタミン酸、アスパラギン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸となります。

 塩は「塩味」の代表物質の一つです。「甘味」、「酸味」、「苦味」、「うま味」とならぶ基本味の一つです。五つの基本味は、味細胞により認識・受容されます。この5つの味以外では、味細胞は認識しません。

1-1、旨味で「塩かど」が取れる

 「塩かど」とは、塩を舐めた時、ピリッとくる塩辛さです。お酢もそのまま舐めると、酸味がきつかったりツーンとする刺激臭が感じ、それも「かど」と言います。

 醤油や魚醬の塩味は同じ濃度の食塩水で味わうよりもはるかに弱く、まろやかに感じます。これは、発酵によって醤油や魚醬中のうま味を呈するアミノ酸やイノシン酸が多く含まれるためです。これは、高濃度の塩味の時にはうま味による塩味の抑制効果が働いているためです。

 

1-2、塩で「旨味」を感じしやすく

 塩はアミノ酸などのうま味成分と相性がいいです。例えば、トマトジュースに塩を少し入れるだけで、美味しくなります。それは、トマトの酸味を抑えられただけではなく、トマトに多く含まれているグルタミン酸といううま味成分を感じやすくなったため、美味しく感じます。

 


2、塩は百肴の将(ひゃっこうのしょう)

「塩は百肴の将」というのは、塩は非常に重要な調味料であるの意味です。基本調味料の醤油、みそにも塩が入っています。ほとんどの料理は、塩がないと、美味しく感じることが出来ません。

 塩味の感じ方はそれぞれですが、実は、「美味しい」、「うまい」と感じる塩加減は決まっております。基本的には、人間の血液の塩分0.9%とほぼ同じで、更に、この塩分濃度はほぼ個人差がありません。*砂糖の場合は、0.5%~80%まで、美味しいと感じる濃度に個人差があります。

 

「塩は百肴の将」次の言葉は、「酒は百薬の長」でと言われていますが、少し飲みすぎると二日酔いになったり、長年飲みすぎると胃や肝臓が悪くなるという心配があります。塩も同じように、取り過ぎると様々な生活習慣病に繋がっていますが、料理を美味しく食べるには、一定量の食塩が必要です。

 食塩の量を極端に減らすと、味がもの足りなく食事に満足感が得られません。生活習慣病の予防は減塩の食事を長く続けることが重要なポイントですが、美味しくないと減塩食を維持することが難しくなります。

 そこで、うま味をうまく活用すれば、美味しさを損なわずに減塩できます。


3、旨味を活用した減塩方法3選

 うま味成分を利用することで、おいしさを損なうことなく食塩の量を減らすことが出来ます。研究による、塩分の一部分をうま味で代替すると、もともとのおいしさは失わずに塩分量を減らせることが科学的に示されています。簡単に言うと、うま味のある食材やだしの活用にすることによって、塩に頼らずおいしさを引き出すような料理方法です。「うま味のある食材」に関しては、「うま味が多く含まれている代表的な食材と相乗効果を生み出す組み合わせ」をご確認して頂ければ、一覧表でまとめております。

 うま味を利用して、減塩料理を作るには、具体的に下記のような3つの方法あります。

3-1、だしの利用

 だしを取って使うことです。手間を減らするために「だしの素」や「だしパック」という手もあります。できるだけ天然素材からだしをとるほうが、減塩につながります。

 だしはよく「旨味」と関連されております。だしを取るというは一番シンプルなうま味獲得する方法です。だしと言えば、鰹節だし、昆布だし等あります。だしを使うことにより、料理の味がぐっと美味しくなります。

3-2、うま味調味料の利用

 うま味調味料は、グルタミン酸ナトリウムが有名です。塩分が少ない場合でも、うま味調味料を適量使うと、ナトリウム量はほとんど増加せず、 味の満足感があがるので、おいしく減塩することができます。「うま味調味料協会」によると、「うま味調味料」の活用により、30%前後減塩が可能です。

 *うま味調味料協会より

3-3、うま味の相乗効果を利用して減塩

 うま味の相乗効果は減塩にも効果を発揮します。

 うま味の相乗効果は、2種類以上のうま味成分を組み合わせることにより、旨味を強く感じることです。うま味成分は、アミノ酸類、核酸、有機酸があります。その中、アミノ酸となるのは、グルタミン酸とアスパラギン酸で、核酸となるのは、イノシン酸とグアニル酸で、コハク酸は有機酸となります。同じアミノ酸成分を使っても相乗効果には至りません。そのため、アミン酸×核酸、アミノ酸×有機酸の組み合わせで相乗効果を得られます。

 例えば、食塩1%溶液にグルタミン酸ナトリウムを0.02%加えたA液と食塩1%溶液にイノシン酸ナトリウムを0.02%加えたB液を比べると、いずれも塩味しか感じられません。しかし、このA液とB液を同量で混合すると、強いうま味を感じることができます。

 そのため、食塩の量を減らしてもうま味でカバーできるため、満足感のある料理が作れます。

 うま味相乗効果にご興味ある方は、「うま味相乗効果を科学的に解明、活用例までの紹介をお勧めします。

 

このように、旨味を利用すれば、簡単に美味しい料理が出来ます。


4、旨味塩を作る

最近、スーパーやおみやげ屋で、うま味を利用した「だし塩」のような商品を目にする機会が多くなっています。例えば、「昆布塩」です。実は、ご家庭でも作ることは可能です。更に、昆布塩以外に、鰹節塩や椎茸塩でもできます。

それでは、うま味相乗効果を生かした「旨味塩」を作っていきましょう。

○材料と使用割合

 鰹節、昆布、干ししいだけです。割合は、721です。

 干ししいだけ苦手な方は、分量を減らすもしくは入れなくでも良いです。

 その時、鰹節と昆布の割は82とします。

 それらと塩の割合は1:1で良いです。

 例えば、鰹節+昆布+椎茸は10gとなる場合は、塩も10gで良いです。

 ☆お勧めする塩

 塩は、海水を原料に、天日干しの製法で作られた塩をお勧めです。それは、塩の味は、これら主要なミネラル成分のバランスで決まっております。海塩は主に、ナトリウム(塩辛味)、カルシウム(甘味)、マグネシウム(苦味)、カリウム(酸味)といったミネラル成分が含まれています。天日干しの製法では、それらのミネラルは残していることです。

○作り方

 塩以外の材料をミキサーやフードプロセッサーにかけ、粉々にした後、塩と混ぜれば完成です。

 

○保管について

 乾燥していた材料を使えば大丈夫です。また、出来上がった「旨味塩」は湿気ると塊を生じるので、湿気のないところや乾燥材を入れて保管してください。


まとめ

 このように、旨味と塩の関係は、

 1)塩入れることによって、旨味を感じしやすくなる事が出来ます。

 2)うま味を活用することによって、塩分減らしても良いです。

 旨味と関連するうま味を利用して減塩料理作りには

  1)だしを取って料理作りこと。

  2)うま味調味料を使用すること。

  3)うま味の相乗効果を活用すること。

 最後に、ご家庭でも簡単に作れる最強の旨味塩の作り方も紹介しておりますので、ぜひ作ってみてください。

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