煮干しはカルシウムが豊富な食材です。
愛犬の栄養食として与えたいところですが、塩分が気になって躊躇しているなんてことはありませんか?
結論から言うと、煮干しは犬に間食で与えたり、ごはんにふりかけて食べさせたりしても大丈夫です。
高タンパク質・ミネラル豊富・オメガ3不飽和脂肪酸となる健康成分も含有しているので、栄養価値の高いおやつになります。
ただし、煮干しの塩分量・青魚アレルギー・喉に骨が刺さる可能性など、注意して与えることが必要です。
実際に煮干しを原料としたドックフードもあります。
塩分を低減化し、柔らかく加工していますので人気があります。
また、特別に犬用の煮干しを購入しなくても、人間用の煮干しにひと工夫すれば犬に与えることができます。
本記事では、煮干しの栄養面から、煮干しを犬に与える時の注意点やおすすめの商品をご紹介します。
ぜひ、愛犬のおやつを選ぶ時のご参考にしてください。
1,犬に煮干し(にぼし)をおやつとしてあげても大丈夫です
犬に煮干しを与えるのは問題ありません。
ただし、煮干しには塩分が付いているので、それに注意して間食や少量を与えればよいです。
煮干しは、生のカタクチイワシやウルメイワシを煮て、よく乾燥した食材で、日本で古くから食べられています。主に、だし取り、ふりかけ、佃煮の原料になります。
煮干しの中に含まれた塩分は、製造工程由来となりますので、与える量を注意し、メインの食事ではなく、ごはんのトッピングやおやつとしてあげれば大丈夫です。
2,煮干しを犬に与えることをおすすめする3つの理由
煮干しはタンパク質の含有量が高く、栄養価の面で犬に与えることはおすすめです。
2-1、煮干しは高タンパク質のおやつです
煮干しは、一般的にカタクチイワシで作られています。また、ウルメイワシやマイワシで作る場合もあります。そのため、魚由来のタンパク質含有量が高い食材です。さらに、カルシウムや鉄分などのミネラルも豊富に含有しています。青魚を原料にしているため、DHAやEPAも多く含んでいます。栄養バランスが良く、健康的なおやつです。
下記の表は、よくペットフードの原料に使われる鶏肉や牛肉と煮干しの栄養成分を一覧表でまとめたものです。
表によると、煮干しは高タンパク質、低脂肪で一番栄養バランスが良いことがわかります。
また、灰分は、ミネラルの合計として「ペットフードの表示に関す公正競争規約」により、5大栄養素の一つとして、表示義務項目となっています。数値が高いほど、ミネラルの含有量が多いと見られています。
2-2、煮干しはミネラル豊富な栄養補給食
「日本食品成分表2021(八訂)」を参考に、煮干しのミネラルとビタミン含有量を確認してみました。
※「日本食品成分表2021(八訂)」参照
その中で、有機質ミネラルである『カルシウム』は、歯や骨の成形にとってとても大切な栄養素です。犬は人間と比べて、約10倍ものカルシウムを必要とするとの報告もあります。
ビタミンB12(コバラミンとも呼ばれる水溶性ビタミン)は、犬にとって不可欠な栄養素であり、消化・吸収・排泄に深く関連する栄養素となります。
2-3、うま味成分とオメガ3不飽和脂肪酸を含んでいる
煮干しは鰹節と同じ、「イノシン酸」といううま味成分が含まれています。イノシン酸は核酸の一種で、味に関与するだけではなく、新陳代謝にも貢献しています。100g中、350~800mg含まれています。ちなみに、鰹節は470~700mgとなります。
オメガ3脂肪酸であるDHAとEPAは健康食品としてよく知られています。
DHAは、脳や神経の発達に必要な栄養素であり、老化防止にも役立ちます。
EPAは、血液の中性脂肪を正常に保ち、血栓生成の防止に作用しています。
DHAとEPAは魚の脂肪分に存在し、特に青魚が豊富に含んでいます。
青魚を原料としている煮干しもこれらをたくさん含んでいます。
調べると、100gあたり11.8gのDHAと9.5gのEPAが含まれており、これは高い数値と言えます。
このように、煮干しはタンパク質の含有量が多く、ミネラル豊富なので、犬に与えることはおすすめです。
3、煮干しを犬に与える時の3つの注意点
煮干しには犬にとって嬉しい栄養素がたくさん含まれているので、できるだけたくさん食べさせたいと思ってしまうかもしれませんが、実は煮干しは犬にとっては塩分が若干高いです。そのため、メインの食事として与えるのではなく、ご褒美や栄養補給時の間食、おやつとして与えましょう。
また、初めて与える時は青魚アレルギーや食べやすさの面から、少量で、小さく割って、様子を確認しながら与えたほうが良いです。
3-1,塩分が含まれていますので、大量にあげない
煮干しの塩分は、特別に食塩を添加するのではなく、海水由来の塩分となります。犬にとって、その塩分の量は若干多いです。
コラム:
煮干しの製造工程は、イワシなど煮干しとなる原料の魚を海水で茹で、茹で上がった魚を乾燥させたら、煮干しの完成となります。
塩分を摂取しすぎると、犬の心臓や腎臓に負担をかかってしまいます。しかし、塩分は犬にとって不要なものではありません。犬が塩分不足だと、食欲不振、筋肉痛、血液濃縮等の症状を引き起こす事もあります。塩分不足の行動としては、「人の手をよく舐める」「足裏をよく舐める」「コンクリート・土・オシッコなどを舐める」「排尿後陰部(尿)をよく舐める」そんな行動があれば、塩分不足かもしれないので、塩分補給に注意してください。
アメリカ国立科学アカデミー発行の「犬の栄養要求量」によると、体重10㎏の犬の場合、一日の食塩摂取量は1.21gとなります。そのため、煮干しは塩分が含まれていますが、少量でトッピングする分には犬にとって大丈夫です。
犬の一日に必要なナトリウム量と食塩の摂取量
① 愛犬の体重(kg)×ナトリウム推奨値(50mg)=1日に必要なナトリウム量(mg)
② ①で計算したナトリウム量(mg)×2.42÷1000=食塩相当量(g)
※アメリカ国立科学アカデミー発行の「犬の栄養要求量」に記載
煮干しの塩分で換算すると、
100gの煮干しは、塩分4.3gとなりますので、体重10㎏の犬の場合、一日に27gぐらいの煮干しが摂取可能です。おやつや手作りごはんのトッピングにする量は問題ないです。
コラム:10㎏の犬の場合
100g煮干し×一日摂取可能な塩分量(1.2g)÷4.3g=一日に摂取可能な煮干しの重量(g)
30g煮干しの頭を取ればおおよそ27gとなります。
3-2、少量ずつ与え、青魚のアレルギーに要注意
初めて与える際は少量ずつ様子をみながら与えることがおすすめです。
その理由は、犬にも食物アレルギーがあるからです。食物不耐症とも言って、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみや赤みなどが出るようです。もしかしたら煮干し(青魚)にアレルギー反応をおこす犬もいるかもしれません。
初めて煮干しを与えた場合には、食べた後に愛犬の様子がおかしくないか、便の状態に変わりはないか、しっかり観察しておく必要があります。原因不明の下痢や嘔吐、皮膚症状がある場合にはそれらの症状と煮干しを与えることに関連がないか考えてみましょう。
3-3、丸吞み防止のために丸ごと一匹をそのまま与えないように注意
よく乾燥した煮干しは硬いです。人の手に刺さることもあります。そのため、愛犬にまるごと一匹のままあげると、あまり噛まずに丸呑みしてしまう可能性があり、喉に刺さったり、胃腸に負担がかかったり、消化不良を起こすことがあります。喉や食道の怪我、下痢や嘔吐の原因になることもあります。
そのため、食べやすいサイズに手で割ったり、一度茹でてふやかしたりするなど、柔らかくしてからあげるとよいと思います。また、煮干しの頭を嫌がる犬もいますので、様子を見て煮干しの頭を取ってからあげると喜ぶでしょう。
4,犬用煮干しのおすすめ2選
犬用煮干しは上記の第三章で記述したように、「塩分」と「硬さ」を注意してから製造したものです。
下記の2商品はおすすめです。
4-1、犬専用で食感は柔らかく、塩分も低減
株式会社 木村商事の「犬用 やわらかにぼし 真空パック」です。
犬は、鰹節も喜んで食べるので、ぜひ鰹節風味タイプも確かめてください。犬に鰹節を与えることについて、この記事も併せて読んでください。
「犬の飼い主が実感!犬に鰹節を与えて大丈夫な理由とメリット・注意点」
犬用としての煮干しは、数が少ないです。猫のおやつコーナーで見てみると、「犬猫用おやつ」として兼用の商品が販売されている事が多くあります。
4-2、いつものごはんにふりかけるだけで栄養プラス
株式会社 木村商事の「犬猫用 にぼしふりかけ」
4-3、だしを取った煮干しもおすすめです
実は、人間用の煮干しも犬に与えることは可能です。犬用と人間用の煮干しは基本的に製造工程が同じです。しかし、人間用の煮干しをそのまま与えると、塩分と硬さが気になるので、一度だしを取った煮干しがおすすめです。
一度だしを取った煮干しは、柔らかくしなって、塩分も大幅に低減することが可能です。
だしを取った後の煮干しを与えると、本来犬に与えたい栄養分が減ってしまうと思いますが、「日本食品成分表 2021(八訂)」で調べたところ、犬に与えたい栄養分は大きく減ってしまうことはありません。
例えば、たんぱく質含有量は、煮干しの場合は64.5%ですが、煮干しだしは0.1%しかありません。つまり、たんぱく質はほとんどだしがらの中に残っているままなのです。
そして、ミネラル成分もだしへの溶出量が低く、カルシウムなどの量はまだたくさん残っています。最後に、免疫力を高める補助をしたり、カルシウムの吸収を助けたりするビタミンDは脂溶性のため、水で煮出しても溶出しませんので、十分だしがらに残っています。
実際に、検証したところ、塩分2.5%の煮干しからだしを取った後、そのだしがらの塩分は0.15%となります。このことから、塩分の低減が確認できました。
コラム:
煮干しだしの取り方:400㏄の前後の煮干しだしを取りたい場合、水500㏄に、頭と内臓を取り除いた煮干し15gを入れ、一晩寝かせた後、ひと煮立ちさせたら煮干しだしができます。
煮干しのだしがらを食べている様子です
あっという間に食べてしまいました。お代わりしたい目ですが、また今度に。
そのため、人間用の煮干しも犬に与えることは問題ありません。人間のごはんを作ると同時に、愛犬のおやつもできちゃいます。最近、人間食も塩分が気にされていますので、そのまま食べられる淡水処理(海水を使わない)された小ぶりの煮干しも販売されています。このタイプであれば、硬さに問題なければ、そのまま与えても大丈夫です。
5,まとめ
犬は肉を食べるイメージが強いですが、たまに魚介類を食べさせると特別感があり、喜んで食べてくれます。さらに、トッピングや手作りご飯でお肉をたくさん食べているとリンの摂取量が多くなります。そのため、カルシウムのバランスを補うために、煮干しを与えることをお勧めします。
ペット用の煮干しも売られているのですが、意外と大振りで小型犬に与えにくいことが多いです。その場合は煮干しを小さく割って与えるとよいです。
人間用の煮干しを犬にあげることもできますが、そのまま食べられる淡水処理された小ぶりの煮干しを使うか、一度だし取った煮干しのだしがらをあげることもお勧めです。
コメント