適量を知る。鰹節の過剰摂取による猫の健康被害を防ぐ賢い餌やり

猫 海の見える町

「猫は鰹節が大好き!」そんなイメージを持っていませんか?

実際に猫は鰹節が好きですが、ネットや噂で猫に鰹節はあまり良くないと聞いた事があって、おいしそうに鰹節を食べている愛猫を見ていて、不安に感じていませんか?

鰹節にはマグネシウムやリン等のミネラルが豊富に入っているのですが、栄養バランスの良いペットフードを食べているのに、おやつとして鰹節を食べ過ぎてしまうと、過剰に摂取されたミネラルが凝固して、尿路結石が出来て最悪の場合は腎不全に陥り死に至ってしまうケースがあるのです。

でもやっぱりおいしそうに鰹節をガツガツ頬張る猫ちゃんを見て、「体に悪いからダメ!」と取り上げてしまうのは心苦しいですよね。

そんな飼い主さんの為に本記事では、鰹節の過剰摂取による病気について代表的なものを取り上げて、鰹節との関連性を成分などと結びつけながら解説していきます。

本記事を読まれた飼い主さんは、ぜひ明日から本当に愛猫の幸せの為を思った健康的な、おやつライフを充実させて、いつまでも元気な猫ちゃんとの生活を送っていただきたいです。


1.鰹節と猫

1-1 猫に鰹節を与えてもよいか

結論からお伝えしますと、適切な量を考えて、あくまでおやつや香りづけ程度に与える事が大切です。

何故かと言いますと、猫が鰹節を過剰に摂取する事によって引き起こる可能性のある病気というものが存在しているからです。

1-2 鰹節の過剰な摂取によって引き起こされる健康障害

鰹節の過剰摂取における問題は、主に鰹節に豊富に含まれているマグネシウム等のミネラル成分が関与していると言われています。

鰹節にはマグネシウムやナトリウムなど、猫にとって体外からの吸収が必要不可欠なミネラル(必須ミネラル)が含まれています。

しかし大切なミネラルも多く摂り過ぎてしまうと、健康に悪影響を及ぼしてしまうのです。

1-2-1 尿石(尿結石)症

尿石(尿結石)とは猫の臓器内部等に形成される固形物の一種です。

尿結石にはいくつか種類があり、結石の形成される原因や出来る場所に違いがあります。その中でも全体の半分程の割合を占めており、もっとも形成されやすいとされている、ストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)という尿結石があります。

このストルバイト結石は、マグネシウムの過剰摂取や水分摂取量の減少によって尿のpH(水素イオン濃度)がアルカリ性に偏っている状態で出来る結石です。

1-2-2 猫下部尿路疾患

猫や犬等の哺乳類は①腎臓で尿が作られる→②尿管を通じて膀胱へと溜められる→③溜まった尿が尿道を通じて体外に捨てられる(排泄)というサイクルで体内の老廃物などを体の外へと排出しています。

この①から③までの経路を尿路といいます。そして腎臓から尿管までの経路を上部尿路、膀胱から尿道までの経路を下部尿路といいます。

下部尿路疾患とは上述の尿石症を含め、膀胱炎など下部尿路で発生する病気を総称したものとなります。下部尿路疾患の内おおよそ20%程を尿結石が占めていると言われます。

オス猫 泌尿器模式図

画像:雄猫の尿路模式図 画像引用元サイト:にゃんペディア

1-2-3 急性腎不全(腎後性腎不全)

急性腎不全とは、なんらかの原因により腎臓の機能が著しく低下してしまい、症状としては嘔吐や体温の低下や脱水症状、重度の場合は体の痙攣や昏睡状態などが挙げられ、最悪の場合には死を招いてしまう可能性のある病気です。

急性腎不全が引き起こされる原因は様々ですが、その中でも上述の猫下部尿路疾患や腎結石によって尿路内が塞がれてしまい、排泄が困難になってしまう事で引き起こされる腎不全を腎後性腎不全といいます。

1-2-4 尿毒症

尿毒症は上述の腎不全等により腎臓の機能が低下してしまい、本来は尿として体の外へと排出されるべき老廃物などが、体中の臓器や血管内に残されてしまう事で上述の腎不全と同じような症状を起こしてしまい、放置していると高確率で死に至る病気です。

参照:犬と猫の腎臓病 竹内 和義


2.ストルバイト結石と猫

猫は数ある疾病のなかでも、先に取り上げたストルバイト結石を含む下部尿路疾患など、泌尿器科の病気に罹りやすいと言われています。

これはイエネコの祖先であるとされています、「リビヤヤマネコ」が砂漠地帯に生息しており、あまり水の無い環境で暮らしていたので、少ない水分摂取量でかつ体から失われる水分量を減らす為に適した体質をしていました。

子孫であるイエネコもあまり水を飲まないので水分不足になりがちな上に、一度に排出する尿量も少ない為に尿の濃度が濃くなってしまい結石が形成されやすいのが主な原因となります。

2-1 雌雄の違い

尿結石の出来やすさは、オスとメスの間に違いはないとされていますが、腎不全や尿毒症を起こしやすいのはオス猫の方です。

これらの症状は尿結石が尿道にたくさん溜まって尿道を詰まらせる(尿道閉塞)などが原因で尿を体外に排出出来なくなる事により引き起こされますが、この尿道がメス猫は太く短いのですが、対するオス猫のほうは長くて出口付近が細い先細りの形状をしている為、圧倒的に尿道が詰まりやすいからです。

2-2 季節の違い

そもそもの給水量が少ない猫ですが、冬の時期はさらにその水分摂取量が低下してしまいます。

冬は気温の低下に伴い運動量も低下する事により喉が渇きにくくなるので、余計に水分を摂らなくなってしまいがちです。

水分摂取量が低下すると、体内の尿の濃度が濃くなってしまい、ストルバイト結石が形成されやすくなってしまいます。

2-3 ストルバイト結石の対策/対処

  1. キャットフードを中心とした栄養バランスの良い食生活を心掛けてあげて、尿の正常な状態であるpH6.5前後、つまり弱酸性に出来る限り保ってあげること。特にメスよりもオスの場合、季節は冬場の運動が減る季節は要注意です。
  2. 清潔な水飲み場を作る、水分含量の多いウェットフードをあげる等して、水分摂取量を増やしてあげること。
  3. トイレはいつも清潔な状態を保ってあげて、猫がトイレを我慢しないような環境を作ってあげること。尿の濃度を濃くしないこと。

対策としては、以上の3点を守ってあげることにより、ストルバイト結石のリスクを減らしてあげることが出来ます。

しかし、これらをしっかり守っていても病気が必ず防げるとは限りません。そこで大切になってくるのは、飼い主さんがよく猫の様子を観察してあげることです。

①トイレに行く回数が増えた。
②トイレに行っても排泄をしていない。
③トイレをする時に苦しそうな唸り声をあげる。
④排泄した尿にキラキラした物が混ざっている。

他にも様々なサインがあると思われますが、このような異常は尿結石が結成されている可能性があります。

少しでもおかしいかなと感じましたら、自分で判断をするのではなく必ず直ぐに獣医師に診察してもらいましょう。幸いストルバイト結石は尿のpHが酸性になれば、溶けて尿と一緒に排泄されます。

マグネシウムを抑えた専用の療養ペットフードもありますので、獣医師の指示に従って適切な対処を行ってください。


3.猫用鰹節について

鰹節にはスーパー等に置かれている私たちが普段口にする鰹節と、ペットショップ等で売られている猫用の鰹節があります。

これらの違いはズバリ塩分量にあります。基本的には猫用の鰹節の方が塩分は控えめとなっています。

3-1 猫用と普通の鰹節の違い

弊社では、顧客のニーズに合わせて各地の様々な企業から取り寄せた鰹節を使用しており、使用する鰹節や処理によって塩分量というのは変わってきます。

基本的な花かつお、つまりスーパー等で見かけるような鰹節は塩分量が1%後半~2%前後程。ペットのおやつ用に減塩タイプとして削っている物は、塩分量が1.4%前後程となっており、減塩タイプの鰹節の方が少しだけ塩分控えめとなっています。

3-2 塩分と猫

猫は人間とは違い肉球や鼻からしか汗をかく事が出来ないので、余剰な塩分を体外に排出し辛くなっています。

塩分を過剰に取りすぎると腎臓にも負担が掛かってしまい、腎不全に陥る可能性もあります。長期的な目線で考えると、僅かな違いとはなりますが、塩分量の少ない猫用の鰹節を与えた方が猫の健康状態を保ちやすいので、猫に鰹節をおやつとして与えるならば、必ず減塩と明記されている猫用の鰹節を与えるように心掛けてください。


4.鰹節の栄養と許容摂取量

  • マグネシウム量(100gあたり):91mg
  • ナトリウム量(100gあたり):480mg
  • カロリー(100gあたり):351kcal

参照 日本食品標準成分表

4-1 マグネシウム

マグネシウムは骨を形成したり、血圧や体温の調整をしたりする猫にとっては外部から摂取する必要のある、必須ミネラルとなります。

ストルバイト結石が怖いからといって、マグネシウムの摂取量を極端に減らしてしまうと、猫の健康を害してしまいます。

AAFCO(米国飼料検査官協会)によって定められている栄養基準に則ると、マグネシウムの最低摂取量は子猫で0.08%以上、成猫で0.04%以上とされており、最低量を少し上回る0.09%前後の摂取量が望ましいと言われています。

削り節に含まれるマグネシウム量は100gあたり91mgでおよそ0.09%となり丁度良いように見えますが、鰹節だけではバランスが悪く猫に必要な栄養が摂りきれないので、あくまで栄養バランスの良いキャットフードが主体の食事が大切になってきます。キャットフードには基本的に成分表の一覧にマグネシウムの含有量が載っています。

猫は一日に体重1kgに対して70~80kcal程度の食事が適量とされています。

例:体重4kgの成猫に100g/350kcal:マグネシウム含有量0.08%のキャットフードを鰹節と一緒に与える場合

キャットフードを90g(カロリー約315kcal:マグネシウム72mg)+削り節5g(カロリー約17.6kcal:マグネシウム4.6mg)=総カロリーは約332kcalでマグネシウムは食事量が95gの内76.6mgで約0.081%となります。

マグネシウム量などはキャットフードによって含まれている量が違ってきます。

健康な猫に鰹節をおやつとして与える際には、マグネシウム量が0.09%以下の物を与えるようにして、鰹節はほんの少し一つまみ程度加えるなどして、余剰なマグネシウムを摂取してしまわないよう注意してください。

ストルバイト結石等を患っている場合は鰹節を絶対に与えないようにしてください。

4-2 塩分(ナトリウム)

ナトリウムの摂りすぎは腎臓病の原因となったりしますが、マグネシウムと同様に猫にとっては欠かせない栄養素の一つ、必須ミネラルとなっています。

その働きは細胞内外の浸透圧を一定に保ったり、神経伝達に関わっていたりと非常に大切な物となっています。

AAFCO(米国飼料検査官協会)によると、子猫や成猫関係なく必要とされるナトリウムの最低摂取量は0.2%とされています。

上限値は特に規定されていませんが、この0.2%を少し上回る程度のナトリウム量が望ましいでしょう。

例:先程マグネシウムで例にあげたのと同量のキャットフードと削り節を与えると考えると

総量95gの0.2%0.19=190mg 5gの削り節に含まれるナトリウム量は、100gに対して480mgなので、480×0.05=24mg、つまりキャットフード90g中に166mgのナトリウムが必要です。

成分表示は基本的に100gあたりの量で換算されていますので、

166÷90×100=184.444… つまり100gあたり最低約184mgのナトリウムが含まれているキャットフードが適切と言えるでしょう。

キャットフードは猫の健康を考えて、栄養バランスが良く作られていると思いますが、成分表示をきちんと確認して、猫に必要な最低限の栄養素は含まれているか、また鰹節をおやつとして併用する際に過剰な数値になってしまわないか、鰹節に含まれている栄養素と並行して考えることが、愛猫においしく健康的な食事を提供する上で非常に大切です。


5.まとめ

・鰹節はあくまでおやつや、付け合せとして。メインは栄養バランスのとれたキャットフードを使用してください。

・鰹節に含まれるマグネシウムやナトリウムは猫の必須ミネラルだが、過剰摂取特にマグネシウムの摂りすぎは腎不全などの重大な病気に繋がるので、一日の最低摂取量を少し上回る程度を目安として、与えすぎないように注意してください。

・鰹節を与える際は猫用の減塩タイプの物を使用してください。

・猫の体調や様子が優れない場合は、鰹節を与えないようにして絶対に個人で判断せずに、直ちに獣医師に診断してもらい、獣医師の指示に従うようにしてください。

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