日本各地の魚介類を使った郷土料理。おすすめを紹介します。

郷土料理は、その地域の産物を上手に活用して、風土に合った食べ物として作られ、食べられてきました。

そして、歴史や文化、食生活と共に現代に受け継がれています。

日本は国土が縦に長く地域によって気候が大きく変わります。

その為、日本各地に様々な郷土料理が存在します。

本記事では、各地域に伝わる郷土料理を魚介類に焦点を当て紹介していきます。


1. 郷土料理とは

郷土料理は各地域の気候・風土・産物・歴史などの影響を受け、独自に発展を遂げた料理のことです。

B級グルメ」や「ご当地グルメ」のような、町おこしの宣伝のために作られた料理や

ある特定企業のみがつくっているものは郷土料理とは言いません。

縦に長い日本では地域性豊かな郷土料理がたくさんあります。

海産物を使用したものや野菜を使用したものなど色々あり

全てを紹介することはできません。

私たちは、普段、鰹節という水産物を加工しています。

その為、本記事では、魚介類を使用した郷土料理を地方別に紹介していきます。

日本の地方分類方法については8地方区分で分類します。


2.北海道地方の郷土料理

現在の北海道はその大部分が、元々アイヌの人々が生活していた地に
後から本州などの外の人々が入って出来上がった地域です。

そのため、北海道内で数百年以上に渡って食され、伝えられてきた固有の食文化、
郷土料理やそのルーツという意味では厳密にはアイヌの人々の料理となります。

鮭や鹿などを使った「オハウ」という汁物、「サヨ」と呼ばれる粥、「ラタシケプ」という野草の煮物や和え物、
そして干し肉や干し魚など。

今の「北海道料理」はそれらに「江戸時代中頃より松前や函館を基点に次第に増えた日本各地から移ってきた人々の、
それぞれの出身地域の様々な食文化」が融合したものと言えます。

 

2-1.石狩鍋

昆布だしの味噌仕立てで鮭の切り身や中骨などのアラを入れ、豆腐やツキコンニャク、野菜などを入れ
最後に、うま味を引き出すために山椒をかけて食べるのがこの石狩鍋です。

石狩地方はサケ漁が盛んで、石狩川の河口で漁師たちが、船上で網揚げを待つ間に食べていたことが始まりです。

2-2.ちゃんちゃん焼き

鮭やホッケなどの魚の内臓をとりのぞき、季節の野菜や山菜と一緒に鉄板やホットプレートで蒸し焼きにし、
味噌で味付けする料理。北海道の漁師町における名物料理である。

味噌をねぎ味噌にしたり、バターをベースしたり、道内でも場所よってアレンジが存在する。

「ちゃんちゃん焼」の名の由来は諸説有り、「ちゃっちゃっ」と作れるからと言う説と、「ちゃん(お父さん)」が作る事からついた説などがあります。

 


3.東北地方の郷土料理

東北地方は別名奥羽地方ともいい、青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島の6県です。

寒冷な気候で、一年うちの約1/3程が雪に覆われている場所が多く、食料を塩蔵での保存や塩分を含む食事で体温を維持するといった方法がとられ、現在の郷土料理の基礎を築き上げていきました。

 

3-1.じゃっぱ汁(青森県)

じゃっぱ汁はアラを使っているので、濃厚なダシが出て、コクと魚の旨味や甘みをしっかりと感じられる料理です。

使われる魚は、「タラ」と「サケ」が多く、肝も捨てることなく使用します。

一緒に入れる野菜や豆腐に魚介の旨味が染み込みます。

じゃっぱ汁の中でも、「マダラの肝」を使用したものは、ねっとりとして、濃厚な旨味が出るため、人気があります。

魚の骨や肝なども捨てずに入れるため人間の身体をつくるのに必要なタンパク質とカルシウムを含んでいます。

じゃっぱ汁の「じゃっぱ」とは、「雑把」を意味する津軽弁です。

魚の頭や肝、骨などの普段は食べないようなところを総称して「じゃっぱ」といいます。

 

3-2.はたはた寿司(秋田県)

ハタハタを米や麹、野菜と一緒に漬け込み発酵させ、ほどよい酸味と旨味でまろやかな食味が特徴です。

魚の保存方法として発酵させて作る「なれずし」の一つです。

その歴史は江戸時代から現在まで、ハタハタの美味しさを最大限に活かせる料理として長い間作られ続けてきました。

 


4.関東地方の郷土料理

関東地方はその昔、八つの国に分かれていたので関八州と呼ばれていました。

現在は、茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の一都六県からなる地域です。

広大な平野なため、海に近い土地、山に近い土地など様々。

それぞれの地域で農業や畜産業、漁業などが発達しました。

関東の郷土料理は山や畑、海などで採れた様々な食材を使い、独自に発達した料理が多いことが特徴です。

 

4-1.くさや(東京都)

くさやの起源は、400年前の室町時代です。

当時、塩は生活にとって大変貴重なものであり、魚の保存(塩漬け)では、
桶の中の使い残しの塩水が繰り返し使用されていました。

その塩水に魚の成分が蓄積して発酵し、独特の風味と臭みを持つ「塩汁」が出来ました。

その塩汁に青ムロアジやトビウオなどを漬け込んで天日干ししたものが「くさや」です。

 

4-2.さんが焼き(千葉県)

房総半島近くの海ではアジ、イワシ、サンマなどの魚がたくさんとれます。

漁師たちはとれた魚を船の上でみそといっしょに細かくたたき、「なめろう」という料理を作りました。

漁師は山へ仕事に行くときには、アワビのからにあまった「なめろう」を入れて持っていき、
山小屋で蒸したり焼いたりして食べました。

山の家で食べた料理ということで、この料理を「山家焼き」と呼ぶようになりました。

 


5.中部地方の郷土料理

中部地方は本州の中央に位置し、一般的には日本海側に面した新潟県・富山県・石川県・福井県。

内陸部の山梨県・長野県・岐阜県、太平洋側に位置する静岡県・愛知県の9県からなる地域です。

中部地方は、本州の真ん中を走る日本アルプスにより、
日本海側・内陸側・太平洋側でそれぞれ独自の文化を作り上げてきました。

豪雪地帯や気候が温暖な地帯など、様々な生活様式があり、多種多様な郷土料理を見る事が出来ます。

 

5-1.ひつまぶし(愛知県)

鰻を蒸さずにそのまま焼き上げた蒲焼きの身を細かく刻んでお櫃の中のご飯に乗せます。

お櫃の中のご飯を混ぜて食べることからこの名がつけられました。

食べ方に特徴があり、

①そのまま食べる 
②薬味を乗せて食べる 
③お茶漬けにして食べる

以上の3種類の食べ方があり、
鰻の美味しさを存分に味わうことのできる料理です。

 

5-2.静岡おでん(静岡県)

静岡市を中心に富士川から大井川までの県中部で主に食べられています。

肉や練り物から出ただしとしょうゆなどが味のベース。

濃口醤油を使っているためスープが黒いことやトッピングとして、だし粉と呼ばれるイワシや鰹節の粉末と

青のりをかけて食べることが特徴です。

また、静岡名物の黒はんぺんが入っています。

普通のはんぺんは、魚の骨や内臓を取り除いて身だけで作られていますが、

黒はんぺんは、サバやイワシなどの原料を一匹丸ごと使っているため色が黒くなります。

 


6.近畿地方の郷土料理

近畿地方は本州中央より少し西に位置し、畿内とその周辺の土地を含めた呼称です。

一般的に大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県・三重県の25県からなる地域です。

近畿地方は、日本最大の湖である琵琶湖、大阪平野等のある中央低地をはじめ、

紀伊山地、丹波高地、リアス式海岸等、多種多様な地形により林業が盛んな地域、

農業が盛んな地域、養殖業が盛んな地域等があり、色々な郷土料理を見る事が出来ます。

 

6-1.まつぶた寿司(京都府)

「まつぶた寿司」は、京都の丹後地方でお祝いのときに食べる料理です。

すし飯の上にのせるサバのそぼろは、昔は丹後でとれるサバを焼きほぐして作っていました。

現在は缶詰のサバで作ることが多いようです。

「まつぶた」とはもちを入れる細長く浅い箱で、「まつ」は松の木、「ぶた」は木箱をつみ重ねてふたとしても使うことからきた名前です。

この箱に寿司をしきつめて作ることから「まつぶた寿司」といいます。

丹後ではお寿司というと、「まつぶた寿司」のことをさします。

 

6-2.てこね寿司(三重県) 

カツオやマグロなどの刺身をしょうゆなどで作ったタレに漬け込み、酢飯とあわせたお寿司。

薬味として大葉、しょうが、のりなどを散らして食べます。

カツオ漁で忙しい漁師が、獲ったカツオをぶつ切りにし、醤油などの調味料と酢飯にまぜあわせて、

手でこねて食べたのが発祥といわれています。

三重県では、女性も海女として働くことも多く、準備に時間のかからないこの料理は定番料理として定着したようです。

 


7.中国地方の郷土料理

鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県の5つの県からなっています。

日本海に面する鳥取県には、海の幸をいかした郷土料理が数多く伝わっています。

シジミ漁獲量が全国一の島根県では、「しじみ汁」が郷土料理百選に選出。

岡山県では、温暖な気候をいかした農業が盛んで、有数の米どころとして、更には桃やブドウの生産どころとして有名。

「カキの土手鍋」が選出された広島県は、カキの生産地として有名な一方、みかんやはっさくなどの柑橘類の有数な生産地としても知られています。

フグの漁獲量全国一の下関がある山口県では、「ふぐ料理」有名。

 

7-1.カキの土手鍋(広島県)

貝類と野菜を味噌味で煮たてたものを一般的に土手鍋といいます。

しかし、広島のカキの土手鍋は、鍋の内側の周囲に味噌を土手のように塗ります。

カキと豆腐や豆腐を煮ながら、食べる直前に味噌の土手を崩しながら味加減をします。

広島はカキの生産量が日本1位です。

シーズン中は、土手鍋の他にも様々なカキ料理を楽しむことが出来ます。

「牡蠣の土手鍋」との名前の由来は、鍋の周りに塗る味噌が「土手」のようである事からという説や、
「土手」と言う行商人が考案したという説など、諸説あります。

 

7-2.しじみ汁(島根県)

宍道湖でとれるヤマトシジミを使ったしじみ汁。

しょうゆや味噌で味付けをしたこの汁はしじみのだしがよく出ていて、香り高いのが特徴です。

宍道湖でとれるしじみは粒が大きく、宍道湖七珍に数えられています。

「宍道湖七珍」とは、昭和5年に松陽新聞(現・山陰中央新報)の記者が「宍道湖の十景七珍」という記事で
しじみを含めた7つの魚介類を紹介したのが由来と言われています。

現在でも、宍道湖は日本全国のしじみの漁獲量の約三分の一を誇るしじみの名産地です。

 


8.四国地方の郷土料理

徳島県、香川県、愛媛県、高知県の4つの県からなっています。

なると金時が有名な徳島県では農業が盛んで、レンコンやサツマイモ、ゼンマイの生産量が全国上位。

「讃岐うどん」が有名な香川県では果実栽培も盛んで、全国約90%のオリーブが香川県で生産されています。

愛媛県は柑橘類の栽培が盛ん。

高知県では、鰹を使った料理がごちそうとしてふるまわれます。

高知県では全国的に珍しいうつぼ料理が、郷土料理として伝わっています。

 

8-1.酒盗(高知県)

魚の「胃」と「腸」を原料とする酒盗。

一匹の魚から少量しかとれない貴重な原料(4kgの魚で50g〜60g程度)を塩漬けにして、
1年間熟成させたものです。

普通の醤油やタレでは味わうことができないコクがあります。

酒の肴やご飯のお供としても美味しい。熱を加えることで、より一層コクが増すと言われています。

他にも料理の隠し味として幅広く使用されており、
土佐の生んだ酒肴品の傑作と評され、口にすると「酒を盗ます」といわれる程、酒飲みにはたまらない逸品。

 

8-2.もぶり飯(松山鮓)(愛媛県)

松山では、祝い事や客のもてなしに、ちらし寿司をつくる習慣があります。

「混ぜる」ことを方言で「もぶる」と言い、「もぶり鮓(もぶり飯)」とも呼ばれています。

松山鮓の特徴は、エソやトラハゼ等の瀬戸の小魚でダシをとった甘めの合わせ酢。

刻みアナゴや季節の野菜などを混ぜた酢飯に、錦糸卵をちらして季節の小魚をふんだんに盛り付けます。

地元の小魚のおいしさが凝縮された松山鮓は、今も松山の代表的な郷土料理として根強い人気のある郷土料理です。

 


9.九州地方の郷土料理

特徴的な地形や気候などにより、多様で貴重な自然環境をもつ九州ブロック。

歴史ある土地柄が感じられる郷土料理が多くあります。

 

9-1.きびなご料理(鹿児島県)

きびなごとはイワシ科の8cm程の小魚です。

酢みそで食す刺身、塩焼や天ぷら、煮付け、揚げ物、汁物など、様々な調理方法で味わうことができます。

中でも、菊の花をかたどって盛りつけられる刺身「菊花造り」は、
鹿児島県の郷土料理を語る上では欠かせないもてなし料理。

きびなごが多く水揚げされることから、当地で多くのきびなご料理が根付いたとされます。

地域によって料理方法は様々で、枕崎や種子島ではすき焼きにきびなごを入れるなど、産地ならではの調理法が多様にあります。

 

9-2.いかすみ汁(沖縄県)

イカの墨で仕上げる真っ黒なご当地汁。

沖縄県の特産物である豚肉、島豆腐、ニガナなどが入り、栄養豊富な料理です。

のぼせや頭痛、肩こり、産後の回復に良いとされ、
沖縄県では出産直後の女性が最初に食す料理がいかすみ汁であったとされています。

発祥には諸説あり、キリスト教布教のために沖縄に来ていた宣教師によって伝えられたという説もあります。

 


10.まとめ

各地方に伝わる魚介類に関する郷土料理を紹介してきました。

地域によって様々な郷土料理があるので訪れる機会がある際には

郷土料理をめぐってみるのも良いかもしれません。

ここでは紹介しきれていませんが、まだまだ沢山の郷土料理があります。

郷土料理 百選

こちらのページには、魚介類だけでなく様々な郷土料理が掲載されていますので

興味のある方は是非ご覧になってください。

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