あなたは割烹(かっぽう)という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
「言葉は聞いたことがあるけれど具体的なイメージが浮かばないな」
このような方も多いのではないでしょうか。
「割烹」とは本来、調理全般を意味する言葉ですが、現在では主に高級料理のことを指しています。
この記事では、まず「割烹」の意味と歴史を解説した上で
具体的なメニューやマナーについても見ていきます。
最後まで読むことで、「割烹」の基本を一通り押さえることができます。
割烹料理に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
1.4つのテーマから見る割烹
早速「割烹」について解説していきます。
この記事では以下の4つのテーマを扱うので一つずつ確実に押さえましょう。
・語源
・歴史
・特徴
・メニュー
1-1 割烹の語源
「割烹」について広辞苑を引くと「肉を割(さ)き・烹(に)る意」と書いてあります。
ここでの「割」は包丁を使って食材を切ること、
「烹」は加熱して煮ることを指します。
つまり「割烹」は料理の下ごしらえから、煮る・焼く・蒸す・揚げるなどの
調理全般を意味する言葉です。
1-2 割烹料理の歴史
本来は調理という意味で使われた「割烹」ですが、江戸時代後期になると
主に格式のある高級料理のことを指すようになっていき、
ここから「割烹料理」という言葉が生まれました。
明治時代に入ると、割烹料理はそれまでの座敷で食べるスタイルから
カウンター席やテーブル席での食事が一般的となっていきます。
「カウンターやテーブル席で気軽に高級料理を食べられる」
「板前が目の前で即席で調理してくれる」
こういった点から人気に火がついたとされています。
そして、大正から昭和にかけて全国に広がっていきました。
◇コラム 懐石料理と割烹料理の違い
割烹料理と似た料理に懐石料理があり、以下の違いがあります。
懐石料理→茶事で出される料理で一汁三菜が基本。
シンプルな構成で食べる順番が決まっている
割烹料理→素材の風味や味わいを最大限に引き出すことを重視する
1品ずつ注文し、食べる順番が決まっていない
但し割烹料理の中に懐石料理を含んでいる場合もあるため、
厳密に区別する必要はありません。
1-3 割烹料理店の特徴
割烹料理店の特徴について料亭と比較しながら見ていきましょう。
それぞれの特徴を以下の表にまとめましたので参照しながら読み進めてください。
| 割烹 | 料亭 |
場所 | カウンター席・テーブル席 | 座敷・個室 |
人数 | 1人から利用可 | 複数人で利用 |
料理 | 客の注文に合わせる | コース料理 |
接客 | 板前に直接注文する | 仲居さんが担当 |
〇料亭の特徴
料亭はお座敷がメインで企業の接待や商談、政治家の宴席等に使用されます。
予め出されるメニューは決まっており豪華なコース料理が中心です。
実際に料理を作っている場面を見ることはできませんが、芸妓さんを
呼ぶこともできます。
〇割烹店の特徴
割烹店ではカウンター席が基本で客席と調理場が同じスペースにあります。
そのため板前が料理をしている現場を見て楽しむことが出来ます。
また一品料理が多く、客の注文に合わせて調理してくれます。
1-4 割烹料理店のメニューとマナー
割烹料理のメニューには一般に、お通し、茶碗蒸し、刺身、焼物、
煮物、揚物、飯物、デザートといったものがあります。
① お通し(突き出し)
最初の料理ができ上がるまでの時間をつなぐ小料理です。
「お客様をお席にお通しする」という意味から来たとも言われています。
簡単な小鉢などが提供されお店の味や板前のこだわりを感じることが出来ます。
② 茶碗蒸し
温かい蒸し物で、季節の素材を生かしたあっさりした味付けが特徴です。
割烹料理の肝であるだしの香りを楽しむことが出来ます。
③ 刺身
刺身は素材の鮮度が重要で、季節性や希少性のある魚を楽しめます。
板前の包丁さばきも見どころの一つです。
④ 焼物
割烹における焼物とは基本的には魚の焼物のことを指します。
焼き方一つで食材の味を存分に引き出した一品に仕上がります。
代表的なメニューとしてアユの塩焼きや鰆の西京焼き等が挙げられます。
⑤ 煮物
煮物では野菜、魚、肉など様々な材料を使用します。
そのため食材の特徴を踏まえて調理することが必要です。
具体的には「煮崩れをさせない」「味を染み込ませる」ことがポイントです。
板前によって味付けも全く異なるので自分に合う味を探してみるのも
良いでしょう。
⑥ 揚物
揚物の魅力は食感と風味です。
材料をそのまま揚げる素揚げ、小麦粉や片栗粉などをまぶして揚げる唐揚げ、天麩羅などがあります。
➆ 飯物
飯物には炊き込みご飯や釜飯の他、丼物などが提供されることもあります。
⑧ デザート
割烹料理の締めくくりには欠かせません。
フルーツであれば旬の食材が用意されます。
和菓子では春は桜餅、夏は葛切りなど、こちらも季節感を意識したメニューが並びます。
◇コラム 割烹料理のマナーについて
割烹店のマナーは料亭などの高級料理店でも必要です。
覚えておくと応用が利きますのでぜひ身につけて下さい。
その内容は多岐に渡りますのでここでは少しだけ紹介します。
・服装について
料亭と比較してカジュアルな雰囲気のため、特に決まりはありません。TPOをわきまえておけば大丈夫です。
・食べ方について
左手を受け皿にして添えるのは手の汚れにつながりますので避けましょう。
懐紙(かいし)という紙を持っていると、口元を拭いたり、骨を包んだりするのに役立ちます。
※マナーについては弊社HPに詳しい記事があります。
ぜひ参考にしてみて下さい。
元板前の私が大切にしている和食のマナー3選とやりがちなマナー違反 (kobayashi-foods.co.jp)
2.まとめ
この記事では「割烹」の基本について幅広く紹介してきました。
割烹店と聞くと敷居が高く感じますが、実際には本格的な日本料理を気軽に楽しむことが出来る場です。
ぜひお気に入りのお店を見つけて和食の奥深さを味わってください。
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