最近、テレビやネットで注目されているあごだしって気になりませんか?そもそもあごって何?
あごというのはトビウオのことで、あごだしというのはトビウオを乾燥させたものからとっただしのことなんです。
あごだしの特徴は上品でありながらコクがあるだしです。魚介系のだしですのでたんぱく質が多く脂肪が気になりません。そのあごだしを詳しく解説します。実はトビウオを乾燥させる方法だけでも3種類の方法があります。
長崎で行われる焼き、煮干し、九州南部で行われる燻製です。あごだしの取り方から使い方まで紹介します。これをみれば、あなたがあごだしを使うときに、あごのよいところを活かした調理ができるようになりますよ。
目次
1.あごだしとは
あごだしとはあご(トビウオ)を乾燥させたものからとった出汁のことです。
あごだしは、雑味がなく上品でありながら、どんな料理でもあごだしを感じることできるコクがあるのが特徴です。なぜそのような特徴が生まれるのかというと、トビウオという魚の生態に関係しています。トビウオはイメージの通り大きな翼のようなひれを持ち、海を滑空するような形で行動をします。
その運動のおかげか、とても筋肉質で脂肪分が少なくなります。食材としてのトビウオは、筋肉質でしまった身のおいしさから刺身やフライとして食べられることが多かったのですが、最近ではあごだしという形でも広まってきました。脂肪分がすくなく、味がしっかりしているのは鰹節や煮干しのような加工に向いています。
2.あごの加工の種類
あごの加工には、焼きあご、あご煮干し、あごの燻製(あご節)の3種類があります。見分け方は、購入した商品の表や裏の表示を見る方法があります。
上画像のように、焼きあご、飛魚(あご)煮干し、あご節と書いてあります。その乾燥のさせ方によってそれぞれ特徴があります。
2-1.焼きあご
トビウオ☞焼き目を付ける☞乾燥させる☞焼きあご
焼きあごは、普通の煮干しとは違い、焼くことでたんぱく質を固まらせます。焼くことで脂肪分が抜け、魚のうまみが凝縮されます。焼きあごの特徴は何といっても焼いたことによる香ばしさが料理に加わることです。
2–2.あご煮干し
トビウオ☞煮る☞乾燥させる☞あご煮干し
あご煮干しは一般的にカタクチイワシなどと同じような加工がされています。カタクチイワシと違う点は脂肪分の量です。
かたくちいわしの5%くらいです。煮干しにしたときの魚臭さの原因でもある脂肪分が少ないためあご煮干しはすっきりとした味わいになります。加えて、脂肪分は酸化による劣化の原因となります。酸化をしてしまうと味が変化し、本来の煮干しの味わいが損なわれます。その点でもあご煮干しは脂肪分が少ないので酸化の進みも少ないのが特徴です。
2–3.あごの燻製
トビウオ☞煮る☞煙をあてて乾燥させる☞あごの燻製
あごの燻製は、鰹節と同じように煙をあててじっくりと乾燥させます。そのことで水分が低くなり、だしが出やすくなります。また、燻製にすることで香りがいっそ引き立ち、それでいて鰹節よりも魚臭さを感じさせない澄んだだしが特徴です。
3.あごだしをとるための3つの方法
料理にあごだしをつかう方法は3つあります。おすすめは粉末・だしパックをつかう方法です。それぞれの特徴を下図にまとめました。
購入した商品の使用方法を参考にすることが基本です。あごの粉末だけのものや、ほかの節類の粉末とミックスされたものなどがあります。料理によってだしの濃さが違います。また好みによっても変わってきます。ここでは基本的なだしの取り方を紹介します。
3–1.粉末・だしパックを使っただしの取り方
・鍋に水をはり、パックを入れる
水の量とパックの個数は商品の使用方法を参考にします。調味料がパックに含まれている商品ですと、おおよそお味噌汁3杯ぶんで1パックくらいが目安です。あごの粉末だけのものですとパックの大きさにもよりますが10gのパックでお味噌汁2杯分が目安です。
・鍋を沸騰させる
鍋に火を入れ沸騰させます。このときは強火でも構いません。温度が上がってくるにつれてだしパックが動き、だしの色がついてきます。
・沸騰したら火を弱める
沸騰した状態で強く火をあてると風味がどんどん損なわれます。沸騰したら、鍋のふちに小さな泡がぽつぽつするような火加減にします。
・3分待つ
小さな泡がぽつぽつする状態で3分待ちます。短いとだしができらず、長いとだしが少なくなっていくだけでなく、料理をおいしく感じさせる香りも少なくなります。
・だしパックを取り除く
だしパックを取り除けばだしとり終了です。あとはお吸い物、味噌をといてお味噌汁などスムーズに調理できます
3–2.液体だしを使っただしの取り方
濃縮倍率をみてうすめて使います。濃縮倍率とはどれくらいの水に薄めて使うかの目安です。
お湯に目安の量を入れるだけでだしが完成します。ほとんどの商品はメーカー独自の味付けがされているのですぐに使用することができます。だしの強さも目安より多くしたり、少なくしたりで調整ができます。
3–3.焼きあご、にぼしをそのまま使っただしの取り方
焼きあごやあごの煮干しをそのまま使ってだしをとるポイントはじっくりとじかんをかけることです。じっくりと時間をかけることであごだしのおいしさをすべて引き出すことができます。おすすめのだしの取り方は以下の通りです。
・頭と内臓を取り除く
頭と内臓はかすかな苦みと雑味の原因となります。もちろんとらなくてもおいしいだしになりますが、頭と内臓はとっておくことをおすすめします。
・身を軽くほぐす
両手で挟んでこすることで簡単に身がほぐれます。こうすることでだしが出やすくなります
・半日、お水に浸す
使いたいだしの量のお水に浸しておきます。お水に対するあごの量は500㎖に対して2本(20g)、1ℓに対して4本(40g)が目安です。半日お水に浸すとそれだけでだしが出ますが、その後加熱するとだしが出やすくなります。
・鍋に火をかけ、沸騰直前に取り出す
温度が上がっていくとじわじわだしの色が濃くなります。鍋の表面に泡がぷつぷつとしたら取り出しのサインです。雑味のない、すっきりとしただしができます。取り出したら火を止めます。
・キッチンペーパーでこす
あごをとりだしても、皮やかけらが鍋に残ってしまいます。皮やかけらを取り除くためにキッチンペーパーで濾しましょう。濾した後には黄金に輝くあごだしの完成です。
4.あごだしがいきる料理
あごだしはコクがありながらさっぱりとしているので、あまり味付けせずにだしの味がわかりやすい料理に最適です。ここでは、うどんとしゃぶしゃぶといっただしが主役の使い方を紹介します。
4–1.うどん
あごだしがいきるといったらうどんでしょう。九州の五島列島の名物でもある五島うどんのだしもあごだしが使われています。太めのうどんにあごだしがのって、香りとあごのうまみを味わうことができます。
ここでは、下図のだしパックを使って、1人前のうどんを作ってみました。
≪用意するもの≫一人前の場合
- 水:400㎖
- だしパック:1パック
- うどん:200g(一人前)
- かつお節:適量
- ねぎ:適量
- 醤油:お好みで
- 鍋:2つ ざる:1つ
1.鍋2つにお湯を張り、火にかける
一つは麺をゆでるために使うのでうどんのパックのゆで方を参考にお湯を作ります。
もう一つはだしを作るためのですので400㎖の水にだしパックを一つ入れます。
2.うどんをゆで、ざるで湯切りをします。
うどんを3分から5分ほどゆでたらざるを使って湯切りをします。流水でうどんのぬめりを流すとよりおいしくなります。
3.だしを作る鍋が沸騰したら中火にして3分待ちます
煮込みすぎは香りを損なうので、時間は守ります。
4.だしパックをとりだし、うどんをいれる
だしパックをとりだしたら、だしを器に移し、うどんを入れます。
だしの味を楽しむ場合はこのときに一口食べてみましょう。
5.かつお節や薬味はお好みで
かつお節を少し入れるだけで、かおりがさらに良いものになります。おこのみでねぎを添えます。
あごの風味を存分に味わえるうどんはおすすめです。
4–2.お鍋
あごだしはとてもつかいやすいのでぜひ、お鍋にも使ってみてください。おすすめは、しゃぶしゃぶです。さきほどのだしパックを使って1ランク上のしゃぶしゃぶを作ってみましょう。今回の具材はぶりです。
≪用意するもの≫
- 鍋:一つ
- だしパック:1パック
- 昆布:5㎝×10㎝(鍋の4分の1くらい)
- 水:800ml
- ぶりの切り身:お好きなだけ
- 野菜:大根やニンジン、水菜など
1.水に昆布を浸す
すくなくとも3時間は水に浸しましょう
2.具材を用意する
3.鍋にだしパックを入れて沸騰させる。
4.沸騰したら火を弱める。
このとき昆布とだしパックはそのままにしましょう。
5.ぶりを鍋で泳がせてスタート
生臭さが少ないあごだしは、ほかにもおでんや寄せ鍋にも活躍します。
5.まとめ
あごだしは、とびうおの乾燥品です。乾燥の方法も3種類あります。それぞれに楽しめる風味も違いますのでぜひ、あごだしをお楽しみください。
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