美味しい煮物料理を作りたいけど、絶対失敗しない方法はないの!?
夕飯のおかずに味が浸み込んだ美味しい煮物が出来たとき、「料理の腕が上がった!」「料理が上手になった!」とうれしく感じますよね。
しかし、煮込む食材の水分や脂肪分によって多少のバラツキがありますので、だしを入すぎたり、醤油を入れすぎたりして、毎回同じ味で作るのはなかなか難しいものです。
でも安心してください、毎回の煮物料理を美味しく、ふっくらと美味しく仕上げる方法があります。
それが“黄金比”と呼ばれる調味料の配合比です。
黄金比とはだし(水)、醤油、みりん、酒などの調味液の割合を示したもので、毎回この割合で調理することで、美味しい煮物料理を作ることが出来ます。
野菜の煮物の場合、「だし10:醤油1:みりん1:酒1」
煮魚の場合、「水5:醤油1:みりん1:酒1」が黄金比となります。
この黄金比を上手につかって、ふっくらと美味しい煮物料理を作ってみましょう。
目次
1.黄金比の使い分け
和食で欠かせないのが煮物料理ですが、毎回同じ味の仕上がりになるのはなかなか難しいものです。
しかし、煮物料理の基本となる“黄金比”を押さえておけば、煮物料理を美味しく仕上げることが出来ます。
ここでは、煮物料理の黄金比をご紹介します。
1-1 野菜の煮物は黄金比10:1:1:1
野菜を使った煮物料理を作るとき、「だし10:醤油1:みりん1:酒1」の配合で煮込む野菜本来の風味を活かした美味しい煮物が出来上がります。基本の黄金比はそのままで、扱う野菜の鮮度や野菜の味によって砂糖を使用しても構いません。だしは、かつお節と昆布でとったものがお勧めですが、顆粒だしを使ったものでも美味しく出来上がります。
この黄金比で作る煮物は、
・大根の煮物
・里芋の煮物
・肉じゃが
・おひたし など
使う食材によっては、下処理が必要なものもありますが、野菜を使った煮物料理はこの配合で作ることで、食材の味や風味を生かした優しい味わいになります。
「だし10:醤油1:みりん1:酒1」の割合は、野菜の食感や甘味を活かすため、だしの割合が多くなっています。醤油やみりんの割合を多くしてしまうと、味が濃くなる・食材の甘味が感じられない・食材が固くなるなどせっかくの食材の味を弱めてしまうことに繋がります。
1-2 煮魚の黄金比は5:1:1:1
煮魚を作るとき、「水5:醤油1:みりん1:酒1」の配合で煮込むとふんわりとした身質の美味しい煮魚料理が楽しめます。
ここで注意して頂きたいのは、“煮魚はだしではなく「水」を使う”ことです。
煮魚とは、煮込んでいくときに魚の旨みが水に溶けだし、魚本来の旨みや味わいを感じることが出来るのですが、ここでかつおだしや昆布だし、違う魚で取っただしなどで煮込んでしまうと味のバランスが崩れて、魚の旨みを消してしまいますので、必ず水を使ってください。
また、扱う魚の鮮度が低い場合や魚の脂ののり方によって「黄金比+砂糖+生姜汁」で魚特有の臭みを消すこともできます。
この黄金比で作る煮魚は、
・カレイの煮つけ
・キンメダイの煮つけ
・タラの煮つけ
・アジの煮つけ
・タイの煮つけ など
煮魚として使われる魚の種類は、白身魚と言われるものが主流で、赤身魚に比べ魚質が柔らかいものが特徴です。
この配合よりも醤油やみりんの配合を多くしてしまうと、魚質が柔らかいため味が濃くなり、醤油を吸いすぎて食感も固くなったりしますので注意が必要です。
どうしても魚の臭いが気になる場合は、酒の割合を多くして「水5:酒5:醤油1:みりん1」の配合で煮込むと魚の生臭さを緩和することが出来ます。
2.黄金比で煮物を美味しく作るための4つのポイント
煮物料理・煮魚料理を美味しく作るために絶対に押さえておきたいポイントを4つお話しします。
① 下処理する
根菜の煮物を作るとき、大根や里芋は中心までなかなか火が通りにくいものです。
そんなときは、あらかじめ下茹でしておくことで時間短縮となり、味も浸み込みやすくなります。
また、煮魚を作る場合も下処理が必要で、魚のウロコや内臓が付いている場合は、綺麗に取り除かないと、食べたときにウロコが口に残ったり、内臓の胆汁が出て苦くなったりします。
細かなウロコや身崩れを防ぐ方法として、沸騰したお湯に10秒ほどくぐらせる「霜降り」をおこなうと細かなウロコが取れやすくなり、仕上がりも身崩れしにくくなります。
カレイの下処理
② 煮立てる
煮立てるとは、食材を入れる前に調味液を煮立たせることです。
黄金比の調味料には酒・みりんが含まれていますので、一度アルコール分を取り除く必要があり、食材を入れる前にサッと煮立たせてアルコール分を蒸発させる必要があります。アルコール分が残ったまま調理するとアルコール臭が残り、味のばらつきが発生してしまいます。
③ 落とし蓋をする
落とし蓋とは、煮鍋よりも少し小さな蓋のことで、木蓋やアルミホイルを使用します。
根菜の煮物・煮魚を作るときには落とし蓋が必要で、落とし蓋は少ない煮汁を満遍なく食材に行き渡らせる効果があるため、味の均一化が出来ると共に鍋の中で食材が動くことで起きる身崩れ・荷崩れを防ぐことが出来ます。
アルミを使った落とし蓋
④ 鍋止め
鍋止めとは、煮物が出来上がってから、“冷めるまで鍋のまま置いておく”ということです。
煮物料理は、温度が冷めていくときも調味液の吸収や味の均一化をおこなっています。火を止めた後、食材の表面から吸収した調味液はゆっくりと食材の中心部に染みわたっていく大切な時間です。
もちろん出来立ての熱々を食べても美味しくいただけるのですが、鍋止め後の煮物は味の広がりが強く感じる出来上がりとなります。
鍋止め中
3.黄金比で実際に煮物を作ってみよう
黄金比は煮物料理の基本となる調味料の配合です。
今回は、煮魚の黄金比「水5:醤油1:みりん1:酒1」を使って、カレイの煮物を作ってみましょう。
3-1 カレイの煮物
準備するもの
①水 150cc
②醤油 30cc
③みりん 30cc
④酒 30cc
⑤キッチンペーパー 1枚
作り方
①カレイの下処理
お湯を沸かして、カレイの細かなウロコを取り除きます
②カレイの表面にお湯を掛け
お湯が沸いたら、カレイの表面にキッチンペーパーを掛けます。
その後、キッチンペーパー越しにお湯を掛け、カレイの細かなウロコを指で取り除きます。
③調味液を作る
準備した調味料①②③④を鍋に入れ、ひと煮立ちさせる。
この時、鍋から気泡が出るような温度にし、アルコール分を蒸発させます。
④調味液が沸いたら、カレイを入れる
カレイの表面を上にして、鍋に入れます。
カレイの皮は上側が黒色、下側が白色です。
⑤落し蓋をする
カレイを入れたら弱火にし、落とし蓋をします。
落とし蓋は少ない煮汁を満遍なく食材に行き渡らせる効果があるため、味の均一化が出来ると共に鍋の中で食材が動くことで起きる身崩れ・荷崩れを防ぐことが出来ます。
⑥仕上げ
調味料の浸み込み具合を確認しながら、出来上がりの状態を確認します。
弱火で約20分を目安にしてください。
出来上がりの判断は、カレイの表面がふっくらとし、皮に照りが出ていること。また、調味料が大さじ2杯程度となっていたら完成です。
⑦鍋止め
火を止めてから、鍋止めをおこないます。
落とし蓋をした状態で10分程度そのままにし、その後、お皿に盛り付けたら完成です。
4.まとめ
今回は、煮物の黄金比についてお話ししました。
・野菜の煮物は黄金比「だし10:醤油1:みりん1:酒1」
・煮魚の黄金比「水5:醤油1:みりん1:酒1」
この黄金比を覚えておくだけで、いつも煮物料理が美味しくいただけます。
今晩の献立に黄金比を上手に使った煮物料理はいかがでしょうか。
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