猫と言えば魚好きというイメージが強いので、煮干しを与えたいと考える飼い主さんも多いと思います。
しかし、獣医師さんが、猫に煮干しを与えるのには注意が必要だという意見を発信しています。注意する点はミネラルの含有量です。
人間が食べたり、ダシ用に使う煮干しはキャットフードと比べて1.5倍~2倍のミネラルを含んでいます。これが腎臓病の原因になる可能性があるため、猫に主食として煮干しを継続的に与えるのはお勧めできません。それでは詳しく見ていきましょう。
目次
1. 猫に煮干しを主食として与えるのはお勧めしない理由
1-1 煮干しには猫が過剰摂取すると腎臓病などの原因になる量のミネラルを含んでいる
猫に主食として煮干しを与えることはお勧めできません。
与えること自体はどうしてもダメではありませんが、たまにおやつとして与える程度にとどめておきましょう。
理由は煮干しには、猫が過剰摂取すると腎臓病や尿結石などの病気になる原因のミネラル量を含んでいるからです。
以下の表は100g当たりの含有量です。
単位:mg
| 灰分 | カルシウム | リン | マグネシウム |
いわし煮干し | 13,300 | 2200 | 1500 | 230 |
キャットフードA | 9,000以下 | 1000 | 900 | 120 |
キャットフードB | 9,000 | 900 | 800 | 120 |
灰分はおおよそミネラルの総量と考えて良いです。
おおよそという意味で成分表に粗灰分と表示しているものもあります。
多くの種類があるミネラルの中でも過剰摂取が猫の腎臓病に関係する成分を載せてあります。
煮干しは灰分全体とリン、マグネシウムでキャットフードの約1.5倍、カルシウムでは約2倍の含有量があることが分かりますね。
引用
いわし煮干しは日本食品標準成分表2020年版(八訂)
キャットフードは購入した商品の成分表から算出
参考に、上記の各成分を摂りすぎた時の過剰症と反対に不足した時の欠乏所をまとめておきました。
| 過剰症 | 欠乏症 |
カルシウム | ネフローゼ、歩行困難 | 成長の抑制、食欲の低下 |
リン | 骨の損失、尿石の生成 | 食欲の減退、食事効率の低下 |
マグネシウム | 尿石の生成、筋肉弛緩性の麻痺 | 筋肉の弱化、刺激過敏性 |
参照
猫に関する総合情報サイト子猫の部屋
2. 与える煮干しはペット用の「減塩」表示があるものを選ぶ
1章で猫に煮干しを与えるのはおやつとしてたまに与える程度にしましょうとお伝えしました。
そして、その与える煮干しも人間がダシ用に買ってきた煮干しではなく、ペット用のもの、それも減塩の表示があるものを選びましょう。
写真のペット用煮干しと人間用煮干しを100g当たり含有量で比べてみます。
単位:g
| 灰分 | 塩分 |
いわし煮干し | 13.3 | 4.3 |
ペット用煮干し | 13.2以下 | 約2 |
灰分(おおよそのミネラル総量)に大きな差はありませんが、結石を作るもう一つの大きな要因である塩分は約半分になっています。
ミネラル量を加工方法でコントールはできないのでしょうが、塩分は塩を使用せず真水で加工することで減少させることができます。
減塩の表示があるものを選びましょう。
また、与える適量は商品パッケージ裏面に必ず表示されていますので、それに従ってください。
また、通常のキャットフードに飽きたときのおやつと考えた場合、下の写真のような鰹節の中に煮干しが混ざっているものも良いでしょう。もちろん、これもペット用に作られたものです。
ちなみに、ペット用煮干しを探すのにホームセンターを3つ巡りました。どこもドライフードとウェットフードの棚は数十種類の商品がズラッと並んでいました。しかしペット用煮干しはおやつ用という棚に他の種類のものと一緒にわずかに置かれているだけでした。このことからも、煮干しはあくまで主食ではなく、たまに与えるおやつだということが分かります。
3. 猫の健康増進するためのキャットフードの与え方
1章でお伝えした腎臓病や尿結石は猫がとてもかかりやすい病気で、飼い主が最も注意すべき病気です。その原因はミネラルや塩分の過剰摂取以外に水分不足があります。
3-1 水分補給を考慮すれば、ウェットフードも取り入れる
猫に水部補給をさせるためには、ウェットフードを取り入れるのも1つの方法です。ドライ(通常のカリカリしたキャットフード)の水分量は10%ほどで、ウェット(見た目シーチキンのようなキャットフード)の水分量は75%ほどです。
ウェットフードはいたみやすく1~2時間で食べきる必要があるため、ドライフードのみを与えるという方は猫がより多く水を飲むようにする工夫をしましょう。
①水を入れた容器を家の中の複数個所に置く。猫のトイレの場所など導線を把握して、よく行く場所に置く。
②水道から出したばかりの水や、しばらく置いてカルキ臭さが抜けた水など、猫のよく飲みたがる水を把握する。
腎臓の病気になりやすい猫にとって、水分補給は栄養摂取と同等の重要さだと考えて、健康に配慮して大切に飼いましょう。
3-2 総合栄養食を選び、一般食をトッピングとして与える
必要な栄養をバランスよく摂らせるには、「総合栄養食」と表記さているものを選びます。それに一般食(副食)をトッピングとして組み合わせます。
総合栄養食として記載できるフードは「ペットフード公正取引協議会」がAAFCOに準拠して定めた栄養基準を試験してクリアしたものです。
「米国飼料検査官協会」通称AAFCOとは栄養基準を提示している機関です。AAFCOの基準はアメリカ国内だけでなく、世界の多くの国でペットフードの栄養基準の表示の根拠とされていて、日本でもその基準を採用しています。
また、キャットフードは小分けに出します。
猫の本来の食べ方は、少しの量を何回も食べる「少量頻回」です。ちょこちょこ何度も食べる猫の場合には、半日程度のドライフードを器に入れて、好きな時に食べられるようにしてもいいでしょう。
ただし、回数はそれぞれでも、1日に与える分量はきちんと守ることが大切です。
参照
総合栄養食って、何? – ペットフードについて|教えて猫ノート – 猫のお悩みスッキリ解決!【ペットライン】 (petline.co.jp)
猫にいいこと大全 主婦の友社
4. まとめ
猫に煮干しを与えるのはおやつ用としてたまに与える程度にとどめましょう。その煮干しも人間がだし取り用に買った煮干しではなく、ペット用の「減塩」表示があるものを選びましょう。
猫も家族の一員くらい大切に思っている飼い主さんも多いと思います。是非、猫の健康に注意して長生きしてもらうようにしたいですね。
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