元板前の私が教える花かつおを使って美味しいだしを取る方法

花かつおはどうやって“だし“を取ればいいの?

花かつおを上手に使いたいと思うけど、なかなか“おっくう”でだしを取るよりも料理に振りかけて使ってしまう事って多いですよね。

もちろんだしをしっかり取って、さまざまな料理に使えば毎日の料理が更においしくなるのはわかっているけど手間が掛かるのはちょっと・・・と感じてしまいます。

和食が2013年にユネスコ無形文化遺産として認められ、和食(日本食)が世界中の人々から注目されるようになり、和食の基本となる「だし」という言葉も注目され始めました。和食(日本食)の繊細な味付けは、だしの原料となる鰹節の風味や味を活かした料理がベースとなっています。

ここでは、元板前で何年もだしを取ってきた私が、花かつおを使って美味しいだしを取るための方法をお話させて頂きます。


1.花かつおで美味しいだしを取るための準備

花かつおで美味しいだしを取るためには、だしを取るための花かつおと調理器具の準備が必要です。

1-1 花かつおの選び方

花かつおと一言でいいましても種類がある事を知っていますか?

袋のラベルを見ると、国産・外国産、そして血合い抜きなどの記載を見たことがあると思います。

国産・外国産の表記は花かつおになる前の“鰹節”の産地、血合い抜きは鰹節の状態で血合い部分のみを削り落としたものです。

だしの使用量とおススメの花かつおだしは以下の通りです。

料理名

だし使用量(cc)

おススメの花かつお

4人前

国産花かつお

外国産花かつお

花かつお血合い抜き

汁物

味噌汁

800

豚汁

800

すまし汁

800

 

うどん

1200

 

ねぎま鍋

500

炊く(煮物)

肉豆腐

300

 

筑前煮

400

 

おからの炒り煮

300

 

ふろふき大根

400

 

山菜おこわ

300

 

里芋の煮物(里芋600g)

400

茄子の揚げ煮(4個)

300

高野豆腐(4枚)

600

 

がんも炊き合わせ(4枚)

400

蒸す

茶碗蒸し

500

 

浸す

煮浸し

400

ほうれん草のおひたし(300g)

75

焼く

だし巻き玉子(4個)

45

車麩の卵とじ(車麩4枚・卵2個)

400

親子丼

280

 

・国産(国内産)花かつお

国産の鰹節を使った花かつおは、鰹を獲る海の水深が深い層で採れたものです。

水深が深いと海水温も低いため、獲れた鰹自体に比較的脂肪分が多く含まれています。このため、国産の鰹節を使用した花かつおはだし取りをするとだし自体にコクが出ます。

また、国産の花かつおは燻製で使用する薪が国内産のものを使用しているため、香りも日本人あった風味が感じられます。

・外国産 花かつお

外国産の鰹節は、漁獲される鰹が浅い水深を泳いでいるため、鰹自体の脂肪分が比較的少ないのが特徴です。鰹自体の脂肪分が少ないので、花かつおでだしを取ってみるとスッキリとした飲み口の鰹だしが取れます。

また、燻製時に使用される薪は現地で調達された木を使っています。赤道付近の国々で作られる鰹節は、熱帯の樹木(マンゴーの木など)を使って燻されているので、日本国内で使われる薪とは香りに違いがあります。

このため、出来上がった外国産鰹節の香りを国内産の鰹節と比較すると外国産鰹節の方が薫臭(くんしゅう)を強く感じます。

これは、だしを取ってみた時の香りにも影響しています。

・花かつお血合い抜き

生の鰹には、中骨の周囲に血合い(ちあい)と呼ばれる赤い身があります。

この血合い部分には鉄分が多く含まれているため、鰹だしを取ってみるとほんの少し雑味を感じることがあります。このほんの少しの雑味はともすれば鰹節特有の美味しさと感じる範囲なのですが、料亭やこだわりのだしを取るお店などでは、この雑味を嫌がります。

鰹節になった状態でこの血合い部分を削り落としたものを鰹節血合い抜きといいます。

だしを取ってみますとだしの雑味が取れてさっぱりとしており、鰹節本来のコクが良く感じられます。

しかし、鰹節になってから血合いを削り落とす工程が追加されているため、通常の花かつおに比べ価格が高くなってしまいます。

この3種類にはだしを取った時の美味しさに特徴がありますので、使用したい料理やお好みに合わせてだし取りをおこなってください。

花かつおを選ぶところから美味しいだしの取り方が始まっています。

1-2 準備したいもの

  • 水が2リットル程度入る鍋
  • ザル(口径が15cm~20cm程度のもの)
  • キッチンペーパーか布巾
  • 取っただしを受けるボウルか鍋

ご家庭にある調理器具で代用可能です。

1-3 使用する花かつおの量

だし取りに使用する花かつおの目分量は、【水1000ccに対し、花かつお40グラム】です。

この量でだし取りをすると、800cc程度のだしが取れます。お味噌汁にすると6杯程度のだしが取れる事になります。

かつおだしの美味しさは、香りとだしの濃さが重要です。せっかく取っただしの味が薄くては、料理のおいしさも半減してしまいますので、この目分量を目安にだし取りをおこなってください。

百貨店やスーパーで販売されている「花かつお」は、1袋80グラムが主流になってきています。だしを取るときに容量の半分を使用することで、1000cc当たりの目安としても使用できます。

1-4 花かつおのだしの取り方

早速、花かつおでだしを取ってみましょう。

①鍋に1000ccの水を入れ、沸騰させる。

沸騰具合は、気泡がグラグラ沸いているイメージではなく、気泡がポコポコ沸いている状態です。

温度を測る必要はありませんが、鍋底から出る気泡の出方に注意してください。

②花かつお40グラムを準備

花かつおは、国産・外国産・血合い抜き問わず、40グラムでOKです。

鰹削り節

③沸騰したら火を止めて、直ぐに花かつおを鍋に入れる

どうして火を止めるかというと花かつおで取るだしは、花かつお自体の厚みが薄く、直ぐにだしが出やすい削り節です。削り自体が厚い「鰹厚削り」ですと、だしの抽出に時間が掛かる為、火を弱火にしてだし取りをおこないます。

そして、花かつおだしの特徴は香りが良いこと。

この香りを弱めてしまうのは、加熱時の“熱”です。

だしの抽出時にお湯を沸騰状態に保ったままでいますと、だし自体は抽出されるのですが、花かつおの特徴である香りは、どんどん弱まってしまうのです。

④鍋を動かしたり、花かつおをかき回したりせずに10分待つ。

花かつおからしっかりだしを抽出したいと考え、鍋に入れた花かつおを混ぜたり、押したりしたくなってしまいますが、そのまま触らないで置いておくことが重要です。

混ぜたり・押したりしてしまうと鰹節の苦みやエグミがだしに移ってしまいます。

鍋に入った花かつおは、そのまま置いておいても十分に味と香りが良いだしが取れます。

⑤ザルにガーゼを敷き、だしを濾す。

ここで注意することは、2つあります。

1つ目は、ガーゼをしっかり敷くこと。

ガーゼは花かつおのだしガラが、だしの中に残さないために使うものです。

だしガラがだしの中に残ってしまいますと、だしの風味を損ねてしまいますので、ゆっくりとだしを濾すことが必要です。

2つ目は、だしを濾す際に花かつおの出しガラを絞ってはいけない事です。

だしを取った花かつおに鍋のなかの水分(だし)が含まれているので、最後の一滴まで絞って使いたいと考えてしまいますが、出しガラを絞ると④と同様に鰹節の苦みやエグミが出てしまったり、琥珀色に取れただしの色を濁らせてしまいます。せっかく取れた美味しいだしの中に入ってしまっては、その後の料理の味を落としてしまう事になります。

ここでは勿体ないという気持ちを捨てて、コーヒーのドリップ同様にそのまま置いておくことが重要です。

また、料理に使った後にだしが残ってしまった場合は、冷ましただしを製氷皿に入れ“だし氷”として冷凍保管しておくことをお勧めします。


. より美味しく・より上手に花かつおだしを使うコツ

2-1 花かつおと昆布の相性

だしを取るときに鰹節と昆布の相性は最高の組み合わせとなります。

料理番組や料理雑誌でだしを取っているところを見ると鰹節と昆布が使われていることがあります。

花かつおでだしを取ると香りも良く、だしにも十分な旨味が出ているのですが、昆布もあわせて使用すると更に旨味が増すのです。

これは昆布から抽出されるグルタミン酸と鰹節から抽出されるイノシン酸がだしの中で混ざり合い、旨味が飛躍的に強くなることが知られていますが、この旨味が増すことを「旨味の相乗効果」と呼ばれています。

旨味は舌にある“旨味センサー”を刺激するのですが、この時グルタミン酸などのアミノ酸の旨味とイノシン酸などの核酸の旨味が一緒になると旨味が七倍に増すと言われています。

日本食では鰹や昆布・椎茸などの合わせだしが主流ですが、洋食では肉(イノシン酸)と根菜(セロリ・玉ねぎ・人参・・・グルタミン酸)、中華では鶏肉(イノシン酸)と長ネギ・生姜(グルタミン酸)を組み合わせ、古くから料理に活用されてきました。

「旨味」という言葉は1908年に東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功し、その味を「旨味」と名付けました。しかし、日本や世界の食文化を振り返ってみると、それ以前から人間は感覚的に旨味を知っていたことになります。

せっかく美味しいだしを取るのでしたら、昆布も合わせてお使いすることをお勧めします。

2-2 花かつおで追い鰹

追い鰹とは、あらかじめ取っただしに更に鰹節を投入し、だし感を強くする料理法のことです。

花かつおで取っただしは香りが大変良いのですが、料理に使うときにだしを温めて使うことが多いと思います。花かつおの香りは熱に弱い為、調理中の過熱でだしの香りが弱くなってしまう事があります。せっかくだしを取ったのに香りが弱くなってしまっては美味しい料理が引き立ちません。こんな時に追い鰹をおこないます。

料理の途中に鰹節をそのまま投入するか、追い鰹用のパックを再度投入することにより、香りが出汁に移り、旨さと香りの両方を味わう事ができるのです。

また、追い鰹をおこなう理由がもう一つあります。それは根菜などを炊くときです。根菜をだしで炊く場合、根菜の水分が煮汁に溶け出し、だしの味が薄くなってしまいます。このような場合、薄くなっただしの味や香りを補うために使用するのが、追い鰹です。

 不織布の中身

完成したところ


3.花かつおと鰹厚削りのダシの違い

3-1 厚削りって何が違うの?

花かつおと厚削りは鰹節を切削する際の厚みが違います。

花かつおの厚みは、0.04mmから0.06mm程度のものが多く流通しており、厚削りは1mm前後のものが多く販売されています。

花かつおは削りの薄さを活かして、だしをとる事以外にも料理に振り掛けたり、おにぎりの具材としても使用できるのですが、厚削りはだしを取ることが主であり、料理の具材としてはあまり使われることがありません。

厚削りを料理の具材として使った場合、削り自体の厚みがあるため、口に含んだ時の食感があまり好まれない事が理由として挙げられます。

3-2 厚削りと花かつおのダシの違い

鰹厚削りと花かつおは同じ鰹節ですから、だしを取ると同じ“かつおだし”が取れます。しかし、どうして鰹節を削る厚みが違うかというと作る料理によって使い分けができるということが大きな違いとなります。

スーパーや百貨店で鰹節を探している時、「花かつお」と「鰹節厚削り」を見かけ、どちらを購入した方が良いか悩んでしまったら、そんな時は、どんな料理に使いたいのかを思い出してみましょう。

花かつおは香りを重視した料理に向いています。

花かつおだしを使った料理

  • お味噌汁
  • すまし汁
  • 茶わん蒸し
  • だし巻き玉子
  • おひたしのだし汁

など、調理の際に火力が弱くても作れる料理に向いています。

一方、厚削りは鰹節のコクを活かした料理に向いています。

厚削りを使った料理

  • 煮物
  • うどんのだし汁
  • 炊き込みごはん
  • おでんのだし汁

などの味を浸み込ませたり、コクを活かしたい料理に向いています。

実際にだしを取って花かつおだしと厚削りだしを試飲してみても味と香りの違いが良くわかります。

しかし、ご家庭では作る料理に合わせて花かつおだしと厚削りだしの2種類を取る事はとてもめんどうです。

そんな時は、花かつおで取っただしが比較的多くの料理に使用できますので、花かつおだしを取る事をお勧めいたします。


4.まとめ

花かつおでだしを取り、料理を作るといつも以上に料理の味に深みが増します。

だしをしっかり取るなんて、面倒だな・・・と感じてしまうかもしれませんが、花かつおでだしを取る場合、お湯を沸かしてだしが出来るまでおよそ15分前後です。

大事なお客様が来られる場合や家族の記念日などで美味しい料理を作りたいと考えたなら、ぜひ花かつおを使ってだしを取ってみましょう。

美味しい料理を囲んで、笑顔あふれる食卓にしましょう。

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