れんこんは生で食べられます。ポリポリシャキシャキした食感で、みずみずしく自然の甘みを感じます。
れんこんは節からまた茎が生まれ、それを繰り返しながら地下茎が伸びていき、約8メートルまで伸びます。その中で若い節は、繊維質とでんぷん質が少なく、柔らかく、甘いという特徴があります。そのため生食であれば、『芽から2節目の若い先端部』がおすすめです。
れんこんの節は成熟すると繊維質とでんぷん質が多くなり、より硬くなって甘みも減ります。そのため、2節目以降の成熟節は、繊維質とでんぷん質が多くなり、生でも食べることは可能ですが、食感や味が落ちます。その反面、加熱するとほくほくした食感が得られます。
れんこんは一度たくさん食べると下痢しやすくなります。それは繊維質とでんぷん質を消化するためです。そのため、生食の注意点としては、
- 若い節である先端部を選ぶ
- 適量を食す
- 穴の中までキレイに洗う こと です。
さらに、「あく」は主にポリフェノール類であるため、必ず抜かなければいけないものではありません。料理の仕上げのためであれば、短い時間であく抜きをすることがおすすめです。
今回は、『生で美味しく食べる2つのレシピ』と『スーパーで生食可能なれんこんの選び方』、『傷んだれんこんの見分け方』や『ピンクや紫色へ変色したれんこんについて』も合わせて説明します。
れんこんを生で食べることについて、疑問が解消されると思いますので、ぜひご参考にしてください。
目次
1、れんこんは生で食べられます
1–1、れんこんは生で食べることができます
れんこんは、火を通して食べるものだと思っている方が多いですが、実は生のままでも食べられます。食物繊維やビタミンCが豊富で、成熟とともに繊維質やでんぷん質が多くなってより硬くなる特徴があります。そのため、生食するのであれば若い節がおすすめです。みずみずしくて、自然の甘みがします。
成熟節も生で食べられますが、繊維やでんぷん質が多くなる関係で、食感や味が落ちます。さらに、繊維やでんぷん質を消化するのに、胃腸に負担かかります。そのため成熟節は加熱して食べるのがおすすめです。
1–2、胃腸が弱い方は生で食べないほうが良い
れんこんは生で食べることができますが、赤ちゃんや乳児は胃腸が未発達のため、生ではなく、茹でてすりおろすなどの加熱をした方が安心です。それは、すりおろすと繊維質が短くなり、加熱することでれんこんのでんぷん質がアルファ化(α化・いわば糊化)し、粘り性が出て、胃壁を保護する効果や、たんぱく質の分解に作用するので、胃腸の働きを助け保護してくれます。
乳幼児以外の人がれんこんを生で食べると、下痢になると聞いたことありませんか?
それは、れんこんの食物繊維やでんぷん質を摂取しすぎて、胃腸に負担かかりすぎ、消化しきれないからです。下記の注意事項を合わせて読んでいただければ解消できると思います。
2、れんこんを生で食べる時の3つの注意点
れんこんを生で食べる時、1)先端部だけにし、2)適切な量で、3)中の穴をキレイ洗うようにしましょう。
2-1、芽から2節目までの先端部(若い節)と枝の部分を食べましょう。
れんこんは部位によってそれぞれ特徴が異なります。芽から第2節目までは若いので、繊維質が細かく水分量が高いため、みずみずしい特徴があります。そのため、シャキシャキした食感がして、生食に向いています。自然の甘みも感じ、美味しいです。
2–2、食べ過ぎないようにしましょう
れんこんは食物繊維とでんぷん質が多く含まれ、消化がしにくい食べ物です。たくさんの生れんこんを食べると、食物繊維とでんぷん質を消化するのに、胃腸に負担かかってしまい、下痢になることがあります。特に、3節目からのれんこんは、成熟していくと、食物繊維とでんぷん質が多いため、食べ過ぎないように注意しましょう。胃腸が弱くなると、腹痛、下痢だけでなく、食欲不振や消化不良、胃痛なども起こりやすくなります。
また、漢方で生れんこんは「寒性」なので、たくさん食べると、体が冷え、胃腸の働きが弱まります。日本でも、れんこん料理と言えば、「からしれんこん」はが有名です。体が温まるからしはれんこんの寒性を緩和、まさに理にかなった食べ方ですね。
れんこんに限らず、どんな食べ物もそうですが、食べ過ぎで後々苦しい思いをすることのないように、適切な量で美味しく食べたいものですね。
れんこんの若い節の1節の重さ
個人差がありますので、一日や一回の適切摂取量はおすすめできません。
2–3、穴の中をきれいに洗える切り方しましょう
生で食べるので、れんこんの穴の中の泥をキレイに洗い落しましょう。れんこんは泥の中で育ち、カットしたれんこんの穴の中には、まれに泥がついていることがあります。それは、切ってみないと分からないので、生食する場合、確実に穴の中が洗えるような切り方をしましょう。
れんこんの皮は直接泥と接触するので、剝いたが方が安心です。
2–3–1、輪切り
厚みは5mmまで薄くスライスして、洗います。柔らかい泥であれば、流水で洗い落しやすいです。乾いて固くなった泥は、暫く水に浸けて泥をふやかしておくと洗い流しやすくなります。
2–3–2、短冊切り
れんこんを短冊切りにすると、穴の中まで洗いやすくなります。さらに、れんこんの繊維は縦方向なので、短冊切りは食べやすいサイズになり、シャキシャキ食感も残すことができます。
れんこんを切った後、しばらく置くと黒くなります。それは、れんこんの「あく」と呼ばれる成分が酸化するためです。
3、れんこんのあくは変色の原因となるが、健康に悪影響はありません
れんこんのあくの主成分は、タンニンというポリフェノール類物質です。空気に触れると、酸化反応を起こして黒くなります。さらに、金属に触れるとピンクや紫色に変色してしまいます。色は変わりますが、実際に食べても健康には悪い影響がありませんので、あくを抜かなくでもよいです。特に、ポリフェノール類は、抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立ちます。
栄養面から考えると、れんこんのビタミンCや水溶性食物繊維のような浸水すると流失しやすい成分が多いので、あく抜きはしなくてもよいと思います。料理の仕上げのイメージのあく抜きは、やや厚めに切り、なるべく短時間で済むことがおすすめです。
「あく」は苦み、渋みなど「不快」な食味の原因と言われることが多いですが、筆者が、「あくは食材の個性」と思っているため、健康上に問題がなければ、レシピや調理方法を工夫し、その独特な味を楽しむことも面白いと思います。「あく」のことをもっと知りたい方は、「灰汁(あく)は悪ではない?その理由と適度な取り除き方はこちらです」の記事がおすすめです。
4、生でれんこんを美味しく食べられるレシピ2選
4–1、れんこんと梅干しの和え物(輪切り)
梅干しをみじん切りにし、梅ペーストを作ります。梅ペースト、味醂、はちみつと合わせて、薄く(0.3cmほど)輪切りしたれんこんと和え、仕上げに胡麻を振りかけます。
れんこん・・・ 50g
はちみつ梅干し・・・種抜きで20g
味醂 ・・・ 2g
はちみつ・・・ 2-3g
シンプルな味付けで、れんこんの自然の甘みを感じ、シャキシャキの食感で、梅の酸味を効いた一品です。梅干しのクエン酸で、れんこんの色落ちを防ぐことができます。
4–2、れんこんのピクルス(短冊切り)
鍋にお酢以外の調味料を入れ、砂糖を溶かしながらひと煮立ちします。火を止め、お酢を入れます。人肌温度なったら、幅1㎝程短冊切りしたれんこんを入れ、漬け込みます。3時間から半日程度でよく冷まし、味をなじませます。作り置きで、冷蔵で1週間ぐらいであれば問題なく食べられます。
れんこん・・・80-100g
酢 ・・・50g
水 ・・・50g
白ワイン・・・20g
砂糖 ・・・大さじ3
鷹の爪輪切り・・・1本
酢とれんこん組み合わさることで、シャキシャキとした歯ごたえがさらに増します。さらに、ピクルスにすると「あく」が抜かなくでも変色を防ぐ効果があります。
5、生のれんこんでよくある質問
5-1、スーパーで購入したれんこんは生で食べられますか?
はい。スーパーで並べているれんこんは、基本的に新鮮であり、生で食べることは可能です。見た目で表面から特に傷みや、中まで変色してなければ大丈夫です。
しかし、カットされているため、節目が分かりにくいと思います。
見分け方としては
・シャキシャキとした食感の先端部である芽から2節目のれんこんは、丸くて小さいもの、断面は白色もしくは透き通った色をしています。
・ホクホクとシャキシャキの両面を併せ持った中間部の2~4節目のれんこんは、ふっくらしていて丸々としています。断面の色は、薄いクリーム色となります。
・でんぷん質が一番多いためホクホク&もちもち食感が特徴の4節目以降のれんこんは、細長いシュッとした形で、切り口の断面がクリーム色をしています。
5–2、黒く変色したれんこんも生でたべられますか?
いいえ。中身が黒く、茶色く変色したれんこんは生で食べないでください。
表面の皮は黒くなっている場合があります。皮をむいて、カットして、中身まで変色してしまっていたら、残念ながら腐っています。
当たり前ですが、れんこんは生で食べるなら、「新鮮な」ものを選び、傷んだれんこんの生食はやめましょう。新鮮なれんこんは、水分が多く、格別にシャキシャキしているので、美味しいです。
傷んだれんこんの見分け方として
・変色したれんこん…切り口や穴の周りが黒や茶色に変色している
・カビが生え、表面にぬめりがある…表面の皮は黒くなっている場合があります
・柔らかくなって、異臭がする…普通のれんこんは、ほとんど匂いません
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5–3、生れんこんは紫やピンク色に変色しています。腐っているでしょうか?
いいえ。腐っているではありません。
れんこんがピンクや紫に変色している場合は、「あく」であるポリフェノール類物質が酸化反応しているのです。問題なく食べられます。れんこんの中のタンニンやポリフェノールが鉄と反応するのが原因で紫やピンクに変色するためです。水道水や鍋、包丁などに触れて紫色に変色する可能性もあります。れんこんの変色した部分は食べても問題ないですが、気になる場合は取り除きましょう。
6,まとめ
れんこんは生で食べることができます。食物繊維など消化しにくい栄養成分が多いので、消化しやすい食べ物ではありません。そのため、シャキシャキ食感で箸が止まりませんが、食べ過ぎないようにしましょう。また、胃腸の弱い方は、加熱して食べたほうがおすすめです。
生で食べる場合、丸くて小さい節、断面の色白色もしくは透き通った色をしている若い節を選んでください。
あくはごぼうと同じように変色防止のために抜きますが、栄養面から考えると必ず抜かなければならないものではありません。料理の仕上げを重視するのであれば、浸水時間を短くしましょう。
よくある質問のQ&Aで、スーパーでも生で美味しく食べられるれんこんを選ぶことが可能です。さらに、おすすめレシピ2選を参考して頂ければ幸いです。
*「ムチン」について・・・日本食品化科学工学会より新しく発表された、「食品工業辞典 (日本食品工業学会編、昭和54年第1版発行)の用語解説の訂正」において、「ムチンは動物性の成分である」旨の訂正・削除が行われました。
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