和食と切っても切れない関係にある日本酒。
私たちは、鰹節という日本伝統の食材を削る事を通じて、後世に語り継がれるべき“和食“という食文化を真剣に考えていますが、日本酒に本当に合うつまみは何なのか知りたい!と思い、社員十数名で日本酒と相性の良いおつまみを検証することにしました。
日本酒は大きく分けて、薫酒(くんしゅ)、爽酒(そうしゅ)、醇酒(じゅんしゅ)、熟酒(じゅくしゅ)の4種類に分かれますが、相性の良いおつまみの特徴は大まかに下記の通りとされています。
結論からお伝えすると、検証した結果はおおよそ上記の通りでした。ただ、ちょっと意外な相性の良い組み合わせなど新たな発見もありました。これから日本酒を飲み始めるという方も、真新しい日本酒のつまみを探している方も、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
まずは基礎知識として、日本酒の4つの分類と相性の良いおつまみの特徴から紹介していきます。
1.日本酒の4つの分類と相性の良いおつまみの特徴
日本酒はその香りや味わいの違いから大きく四種類に分類されます。
1-1 薫酒(くんしゅ)
薫酒(くんしゅ)とは薫りという漢字からも読み取れるように、香り高くフルーティーな香りが楽しめるお酒です。
主として、大吟醸酒系や吟醸酒系がこの薫酒に分類されます。
大吟醸酒や吟醸酒は原材料にお米と米麹、水と醸造用アルコールを使っています。
この醸造用アルコールは使用するお米の総重量の10%以下に収める規定が設けられており、このアルコールが入ることで、味や香りを引き立てる役割を持つそうです。
薫酒にはその特徴でもある香りを最大限に楽しむ為に、あまり風味が強すぎずに、素材の味が活かされているさっぱりとした味付けの料理が合うとされています。
<薫酒と相性の良いおつまみの例>
例:白身魚の刺身、山菜のおひたし、魚介類のカルパッチョ等
1-2 爽酒(そうしゅ)
爽酒(そうしゅ)とは香りは控えめですが、口当たりの軽やかなお酒でフレッシュな味わいが特徴的です。
主として、普通酒系や生酒系がこの爽酒に分類されます。
普通酒系は上述の吟醸酒系などと同じく、原材料に醸造用アルコールを含みますが、この割合がお米の総重量の10%以上の物の総称となります。
生酒系はお米を絞った後、出荷されるまでの工程で一度も火入れを行わないお酒のことです。火入れとは、低温殺菌により雑菌を死滅させたり、お酒を醗酵させる酵母の活動を止めたりすることを目的としており、通常は1回から二回この工程を挟みますが、生酒系はその工程が一切ありません。ですから生酒系は他のお酒と比べて徹底した温度管理と保存が大切となり大変ですが、その味わいは他のお酒と比べてフレッシュな物となるそうです。
爽酒は比較的色々な料理と合いますが、その爽やかなキレのある味わいで、コッテリした味付けの料理に合わせて、口当たりをさっぱりさせたい場合にもお勧めです。
<爽酒と相性の良いおつまみの例>
例:冷奴、生シラスポン酢、鮎の塩焼き、茶碗蒸し等
1-3 醇酒(じゅんしゅ)
醇酒(じゅんしゅ)とは香りは控えめですが、爽酒とは違いコクがあり濃厚な味わいが特徴的なお酒です。
主として、純米酒系や生酛系がこの醇酒に分類されます。
純米酒系は原材料にお米と米麹と水だけを使用するお酒のことを表し、醸造用アルコールは一切使用しません。低温で長時間かけて醗酵させる物で、濃厚な味わいになりやすいと言われています。
生酛(きもと)系は、日本酒を作る時に安定してお酒の酵母を増やす為に乳酸菌が利用されるのですが、直接乳酸菌を投入する(速醸)とは違い、元からその酒蔵に存在する乳酸菌を利用して造る事を生酛と言います。
生酛では乳酸菌の他の微生物なども混じり合う事で、複雑でコクの深い味わいになるそうです。
醇酒にはお酒自体がもつ深いコクにも負けない、しっかりとした味わいの料理が合うと言われています。醇酒の持つ深い味わいと料理の旨みが合わさって、より豊かな旨みとコクが生まれます。
<醇酒と相性の良いおつまみの例>
例:酒盗、大根の煮付け、クリームシチュー等
1-4 熟酒(じゅくしゅ)
熟酒(じゅくしゅ)とは香りも味も濃厚なまさに熟成されたお酒です。
主として、古酒系や長期熟成酒系がこの熟酒に分類されます。
日本酒は一年の流れを7月1日から6月30日までとしており、これを醸造年度(Brewery Year 略称BY)と呼んでいますが、日本酒が製造されてからこの醸造年度を跨いだものを古酒と言います。
長期熟成酒はこの古酒の中でも3年以上熟成された物を示します。
熟酒は香りも味も濃厚なので、しっかりとした濃い味付けの料理が合うと言われます。熟酒の複雑な味わいと力強い香りは、他の日本酒では想像もしないようなジャンルの料理が合ったりします。
<熟酒と相性の良いおつまみの例>
例:鰻の蒲焼き、チーズ、カレー、フォアグラ等
2.今回用意した日本酒4種
今回はおつまみを食べる際、上述の4つの分類を参考にしてジャンルの異なる日本酒を4種類用意しました。選んだお酒は以下の4種類です。
2-1 花の舞 吟醸酒(薫酒タイプ)
販売者:花の舞酒造株式会社「花の舞 吟醸酒」 価格¥518円(税込)
内容量:300ml
原材料:米(静岡県産) 米こうじ(静岡県産米) 醸造アルコール
製造年月:18.05.22
こちらは静岡の地酒花の舞の吟醸酒です。蓋を開けるとリンゴの様な甘いフルーティーな香りが漂います。口に含むと、甘みがあり柔らかい口当たりと、まるでフルーツワインを飲んでいるかのようなとても強い香りが特徴的です。4つの分類において薫酒に分類されます。
2-2 菊水の辛口 本醸造(爽酒タイプ)
販売者:菊水酒造株式会社「菊水の辛口 本醸造」 価格¥388円(税込)
内容量:300ml
原材料:米 米こうじ 醸造アルコール
製造年月:18.03.15
こちらは新潟のお酒の菊水の辛口本醸造です。香りは控えめですが、何といっても一口流し込むとピリッと辛さが舌に走り、身の引き締まるようなキレのある淡麗辛口の日本酒です。冷やして飲むのが一番お勧めです。キレがあり爽やかな口当たりは、4つの分類において爽酒に分類されます。
2-3 欅 純米酒(醇酒タイプ)
販売者:藤桂京伊株式会社「欅 純米酒」 価格¥422円(税込)
内容量:300ml
原材料:米(国産) 米麹(国産米)
製造年月:30.6
こちらは醸造用アルコールを使用しない純米酒です。飲み口は淡麗で少し辛口の味わいです。先程の菊水の辛口と違う点は、菊水は飲んだ最後はスッと後を引かない爽やかさが特徴的でしたが、こちらの欅は最後に舌に味わいが残るような、お米本来の味を感じられる飲み口でした。少しぬるめの温度で飲むとより深い味わいを楽しめるのでお勧めです。深いコクが味わえるこの日本酒は、4つの分類において醇酒に分類されます。
2-4 花の舞 純米吟醸 熟成酒(熟酒タイプ)
販売者:花の舞酒造株式会社「花の舞 純米吟醸 熟成酒」 価格¥1,350円(税込)
内容量:720ml
原材料:米(静岡県産山田錦100%) 米こうじ(静岡県産米山田錦100%)
製造年月:18.02.09
こちらは吟醸酒と同じ花の舞酒造株式会社が販売している、静岡県産の米だけを使った純米酒です。先程の欅と同じ純米酒ですが、こちらはより製造日が古く、製法も低温でじっくりと熟成させているらしく、熟成された米の深い味わいとコクを感じられ、香りもしばらく口や鼻の中に残る程強いです。このお酒も少しぬるめで飲むと、より深いコクを味わえたのでお勧めです。コクも深く香りも強いこの日本酒は、4つの分類において熟酒に分類されます。
3.おつまみ8種と日本酒4種の相性を検証してみた
今回はインターネット通販サイト「おとなの週末 お取り寄せ倶楽部」にて、日本酒にも合いそうなおつまみ8種類を厳選して検証してみました。
- 特大ほっけ
- 金華さば
- 河童漬け
- 酒盗
- 竹ちくわ
- 牛しぐれ煮
- 馬刺し
- チーズ
私たちの主観ではありますが、検証結果は下記の図の通りです。
- 薫酒は馬刺しやほっけ等の素材を活かしたシンプルな味わいのつまみ
- 爽酒は比較的オールラウンダーだが、脂や塩辛さをリセットさせたいつまみ
- 醇酒は河童漬けのように単体でも力強い味を持っているがアクセントを付けたいつまみ
- 熟酒はチーズや肉など赤ワインにも合いそうなつまみ
結果として4種類の日本酒にそれぞれ合うと言われているジャンルのおつまみが、実際に食べてみたおつまみとの相性と近い事がわかりました。
ここからは、おつまみと日本酒の相性の紹介を食レポとともに具体的に解説していきます。
3-1 特大肉厚ほっけ二尾セット
まさに定番の日本酒のつまみと言っていい一品で、素材本来の味が活かされている本品は香り高いタイプの薫酒が特に合いました。また甘口のお酒はほっけの脂の甘みと合わさって相乗効果のように深い甘みと旨味を感じることが出来たのでお勧めです!
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
◎ | 〇 |
また、ほっけに少しばかり醤油を垂らしてあげると、醤油の香ばしさと味にコクがますので、熟酒の深いコクとまろやかな口当たりとマッチしたので、醤油で味付けをする場合は熟酒と合わせてみても、おもしろいと思います!
①概要
販売者:有限会社森源商店「特大肉厚ほっけ二尾セット」 価格¥2,700円(税込)
内容量:ほっけ一尾あたりおおよそ500g(干し上げ前重量)
原材料:縞ほっけ、食塩、酸化防止剤(ビタミンC)
賞味期限:冷凍保存で一ヶ月目安
こちらの商品はまず何と言ってもその大きさに目を奪われます。長さはなんと30cm超えのほっけを使用しているとの事で、グリルからはみ出そうな程大きいです。
今回はこの大きなほっけを魚焼きグリルで10分程度焼いてから食べてみたいと思います。
網の下に溶けた脂がどんどん溢れていきます。お腹が空いてきました…。
さて、十分に焼けたほっけをお皿に移しました。脂がはぜてパチパチっという音と芳ばしい香りが辺り一面へと広がり食欲を掻き立てられますね!
②食レポ
それでは、さっそく頂きたいと思います。
肉厚な身は箸をいれると簡単にほぐれるので、丁度良い一口サイズにほぐしてから口へと運ぶと、舌に載せた途端にほっけの脂が舌先からジュワァと広がっていき、それと同時に芳ばしい香りが口の中に広がっていきます。肉厚の身はホクホクとした食感で、噛めば噛むほど旨味が溢れ出てきます。味付け自体は食塩しか使っておらず、塩辛くなく優しい魚本来の味を愉しめる味となっており、かなりボリュームはありますが、すんなりと食べきれてしまう程お箸が進みます。
3-2 金華さば食べ比べセット
日本酒のつまみとしては、どちらも非常に脂がのっていて香りの強い一品でしたのでお酒は、淡麗辛口ですっきりした飲み口の爽酒が特に合いました。口に広がる旨味や香りを堪能した後にサッパリとするのでお勧めです!
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
〇 | ◎ |
生ハム燻製に関しては、燻製の酸味と香りが薫酒のフワッと香る甘くてフルーティーな香りとマッチしたので、口当たりをサッパリさせたいのではなく、とことん燻製の香りと味を楽しみたいという場合には薫酒と合わせてみるのも一興ですね!
①概要
販売者:本田水産株式会社「金華さば食べ比べセット」 価格¥3,780円(税込)
内容量:金華さば生ハム燻製2パック、金華さば炙りしめさば1パック
原材料:真さば、食塩
賞味期限:冷凍で90日
こちらの商品は宮城県石巻港で水揚げされた、脂ののった金華さばを使用しており、桜チップで燻製した「生ハム燻製」と軽く炙った「炙りしめさば」の2種類が同時に楽しめます。
今回はこちらの二種類を解凍後包丁で一口大に切ってそのまま頂きます。切るときは半解凍の少し硬い時に切った方が、身が崩れず綺麗に仕上がるのでお勧めです!
②食レポ
では、炙りしめさばから頂きたいと思います。
「さすが脂ののった金華さばだ!」と思わず言ってしまう程ジューシィで、噛めば身は柔らかく脂と共にジュッジュッと溶けていき、口の中には溶けた脂の旨味と、炙ることによって芳ばしく引立てられた香りが残ります。食べきった後もしばらくは香りが口の中に広がり続けます。
続いて、生ハム燻製を頂きたいと思います。
最初に口に入れた瞬間は「あれ?普通のしめさばかな?」と思いましたが、一口噛んでみると一気に表情を変えてきました。食感は先程の炙りとは違い、肉厚でクニッとした弾力性のある非常にしっかりした歯ごたえがあります。
脂ののった金華さばだから成せる業か、いつまでも噛み切れずに口に残ってしまうのではなく、噛んでいく内に次第にほぐれて溶けていきます。風味はまさに「良く食べる生ハム」といった風味で、桜チップで燻され薫の付いた芳醇な香りが、噛んだ瞬間から口中にフワッと広がり、鼻腔へと突き抜けていきます。さば本来の香りと交わる事で、「馴染みがあるが全く新しい味」という不思議な味わいを感じられました。
3-3 ホタテ河童漬け(250g)
この商品には純米酒のようなコクが深く濃い味わいを持つ醇酒がお勧めです。純米酒は所謂アルコール臭がほとんどせず、ほのかに感じるお米本来の香りが、ホタテの河童漬けの深い磯の香りを殺すことなく引立ててくれるからです。またお酒を口に含んだ時に舌に残るまったりとした味わいも、河童漬けの更なる味のアクセントとしてより旨味が広がるからです。
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
◎ | 〇 |
また熟酒の複雑な味わいと深いコクもより一層河童漬けの旨味を引き出してくれました!基本的にこの河童漬けには、深いコクがあり香りが強すぎないお酒が合うとは思うのですが、今回選んだ熟酒は純米吟醸のお酒であり、香りは力強いのですがどこかお米の優しい香りが包み込んでくれるので、河童漬けの豊な香りを消してしまう事はありませんでした。偏に熟酒と言っても元となるお酒によって風味や味わいは全く違ってくるので、今回は奇跡的な出会いが出来たと言えるでしょう。
①概要
販売者:川石水産「ホタテ河童漬け(250g)」 価格¥2,916円(税込)
内容量:250g
原材料:ベビーホタテ、めかぶ、鮭卵、ツブ貝、シシャモ卵、醤油(大豆、小麦を含む)、砂糖、みりん、食塩、香辛料、酒精、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酸味料、増粘剤(キサンタンガム)
賞味期限:冷凍で一年
こちらの商品はホタテやツブ貝、メカブにイクラと海の幸が贅沢に入っています。これらの素材をベースに醤油漬けしているので、色味は全体的に濃い飴色をしていますが、その中でホタテの白やイクラの朱色が非常に映えて、彩り豊かな見た目をしていますね!
蓋を開けた瞬間に、磯の香りがフワッと鼻をくすぐりました!味にも期待が高まります。
②食レポ
ではさっそく、頂きたいと思います。
口に含むとまずメカブのトロミが醤油の芳醇な香りと共に口の中を駆け巡ります。そして一口噛んでみると、トロミの中にもしっかりとしたメカブのシャキシャキとした歯ごたえと、ツブ貝のコリッとしたクセになる食感。ホタテの貝柱のほどける様な柔らかさと広がる旨味、イクラはプチプチっと弾けたら中からトロッと旨味の詰まった汁が零れてきます。
それぞれの素材が噛むだけで「あ!今これを食べているんだな!」とはっきり分かるくらい主張していますが、喧嘩することなく各々が違った食感と旨味を出すことで、飽きさせない深い旨味を織りなしていました。白ごはんにのせて掻き込みたくなるおいしさでした。
3-4 土佐の珍味「酒盗」セット
酒盗はまさに日本酒のおつまみと言える味で、すっきりした爽酒がお勧めです!強めの塩味が舌の上に残っている所に辛口のお酒をグイっと流し込むと、スッと口の中に清涼感が広がり、酒盗特有の内臓の生臭さも後を引くことなく、気が付いたらもう一口!そしてもう一杯!といった具合にどんどん止まらなくなります!
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
◎ | 〇 |
また、酒盗は味の主張が激しいのでそれに負けない醇酒のような、深いコクと力強い味わいを持った日本酒も合うと感じました。酒盗をひとつまみ食べてからグッと一杯飲み干すと、口の中に深いコクと旨味が広がり、喉を通りお酒が体に染み渡っていくかのような心地よさを感じられたのでお勧めです!
①概要
販売者:有限会社 福辰「土佐の珍味「酒盗」セット」 価格¥3,132円(税込)
内容量:甘口160g、辛口160g
原材料:酒盗(甘口)鰹(国産)、食塩、酒精、みりん、砂糖、蜂蜜、水飴、香辛料、醸造酢、調味料(アミノ酸等)・(原材料の一部に大豆、小麦を含む)
酒盗(辛口):鰹(国産)、食塩、醸造酢、みりん、砂糖
賞味期限:常温保存・開封後冷蔵保存で10ヶ月
酒盗とは魚の内臓の塩辛の事です。こちらの商品はかつおの一本釣りで有名な高知県土佐の鰹の内臓を使用した酒盗となっています。調味料を極力使っていない辛口と、はちみつなどで食べやすく仕上げた甘口の二本セットとなっています。
②食レポ
ではまず、辛口から頂きたいと思います。
まず口に入れるとガツンと来る塩の辛みと、トロっとした舌触りの中で感じる鰹の内臓のコリッとした食感が良いアクセントとなり、口の中でずっと含んでいたくなるような独特な味わいでした。内臓を使っていると聞くと「生臭いのでは?」と思いがちですが、しっかりと塩漬けされることで生臭さはなく、ピリッと辛みの効いたクセになる事間違いなしの一品となっています。
次に甘口の方を頂きたいと思います。
見た目は辛口とそれほど違いませんが、味わいは全くの別物でした。食べる前は甘口だから甘ったるいのかと思いましたが、そうではありません。蜂蜜の甘みが鰹の内臓のとろみと旨味を優しく包み込む事で、辛口の時に感じたガツンと来るような辛みが抑えられて、とてもまろやかな味わいとなっています。勿論臭みもありません。辛口は少々クセのある味なので、初めて酒盗を食べる方はまず甘口から食べてみるのがお勧めだと思いました。
3-5 竹ちくわ 詰め合わせ
4つの練り物を食べましたが、これらはどれも淡麗辛口のすっきりした味わいの爽酒が特に合うと感じました。スッと清涼感のある辛味が練り物の優しい甘みを引立ててくれるし、ごま天やかつ天を食べた後口に少し残る油を洗い流してくれて、さっぱりとした爽やかな後味になるのでお勧めです!
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
◎ | 〇 |
また醇酒の強すぎない香りと強いコクが、ちくわのほのかな香りや竹の香りを殺す事なく、そして練り物のしっとりとした食感にお酒が良く馴染み、旨味と甘みを口の中全体に感じる事が出来てお酒も進むので、醇酒もお勧めです!
①概要
販売者:有限会社谷ちくわ商店「竹ちくわ 詰め合わせ」 価格¥3,456円(税込)
内容量:竹ちくわ5本、豆ちくわ10個、ごま天10枚、かつ天5枚
原材料:【竹ちくわ】魚肉、澱粉、食塩、卵白、発酵調味料、魚介エキス、ブドウ糖/調味料(アミノ酸、核酸)、保存料(ソルビン酸)、甘味料(ステビア)、リン酸塩(NA)、一部に乳、小麦、卵を含む。
【かつ天】魚肉、澱粉、パン粉、食塩、ごま油、植物油、発酵調味料、卵白、カレー粉、カエンペッパー、一味唐辛子、玉ねぎエキス、ブドウ糖、砂糖/調味料(アミノ酸等)、保存料(ソルビン酸)、甘味料(ステビア)、着色料(黄4号、黄5号)一部に乳、小麦、卵を含む。
【ごま天】魚肉、澱粉、食塩、発酵調味料、卵白、植物油、ごま、砂糖/調味料(アミノ酸等)、保存料((ソルビン酸)、甘味料(ステビア)一部に乳、小麦、卵を含む。
【豆ちくわ】魚肉(スケトウダラ、イトヨリダイ)、澱粉、食塩、卵白、発酵調味料/調味料(アミノ酸等)、保存料(ソルビン酸)、甘味料(ステビア)一部に乳、小麦、卵を含む。
賞味期限:冷蔵で7日間
こちらの商品はちくわやかつ天などバラエティに富んだ練り物の詰め合わせセットです。出来立ての味を楽しんでもらいたいのでしょう、賞味期限が1週間と短めなので注意が必要です。
②食レポ
ではまず、竹ちくわから頂きたいと思います。
まず包装されている袋を開封すると、竹の清々しい香りが辺り一面に広がりました。香りは時間が経つと消えてしまったので、開けたら一度に食べる事をお勧めします。身はほのかに甘くもっちりとしており、こんがりきつね色に綺麗に焼き上げられた表面は非常に香ばしく、芯に使われている竹の香りと共に鼻の中を突き抜けていき、食欲をそそられます。
次に豆ちくわを頂きたいと思います。
可愛らしい一口サイズのちくわです。食感が非常に良く、練り物ではなくまるで新鮮なお刺身を食べているかのような、プリプリとした弾力のある歯ごたえをしています。竹ちくわと比べると香りは控え目ですが、強い甘みとプリプリ食感を楽しめる一品でした。わさび醤油を少しつけて食べると、甘みが更に際立つので2,3個そのままで食べてから、わさび醤油につけると味の変化を楽しむことも出来るのでお勧めです!
次にごま天を頂きたいと思います。
こちらは非常に薄くて柔らかく、身もしっとりと簡単に噛み切れるのでとても食べやすいと思いました。表面には少し油が付いているのですが、この油が魚肉のほのかな甘みと合わさって、まったりと口の中に広がるような優しい味わいを産み出しており、主張はそれほど強くはありませんが散りばめられている黒ゴマを噛んだ時に一瞬フワッと香る香ばしさが、良いアクセントとなり何枚でもペロリと食べてしまいそうになる旨味を演出してくれています。
最後にかつ天を頂きたいと思います。
かつ天を口に含んだ瞬間に鼻に抜けていく香ばしい香りと、予想もしていなかったスパイスの効いたピリッとした風味を感じました。慌てて原材料を見てみるとカレー粉や一味唐辛子などの香辛料が使われていました。
香辛料を使ってはいますが、辛い物が苦手という方でも安心して食べられると思います。なぜならこのかつ天は他3つの練り物に比べると身がしっかりと押し固められているのですが、こちらを噛み締めるとやはり魚肉本来の甘みがジンワリと舌に広がり、カレーの風味がその甘みを際立たせるようになっており、辛さやカレーの風味が前面に押し出されているのではないからです。
3-6 松阪牛しぐれ煮セット
この商品は松阪牛の脂と調味料が合わさり非常に深いコクがあるので、日本酒もそれに合わせて深いコクと味わいがある熟酒を少しぬるめの温度で飲むのがお勧めです!旨味が口の中に沁みわたり、いつまでもお肉の旨味と柔らかい舌触りが口に残り続ける様な余韻を楽しめます。
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
〇 | ◎ |
また香り高くフルーティーな甘さを持つ薫酒もこのしぐれ煮には合うのでお勧めです!尖ってなく優しい口当たりが、ホロッと崩れそうなしぐれ煮を優しく包んでくれて、非常にまったりとした柔らかい口当たりにさせてくれます。肉の甘みとお酒の甘みのどちらもケンカする事なくお互いを活かしてくれるので、噛む度にフワッと甘みが口に広がります!
①概要
販売者:松阪まるよし「松阪牛しぐれ煮セット」 価格¥3,132円(税込)
内容量:松阪牛しぐれ煮×1、松阪牛しぐれ煮(唐辛子入り)×1、各60g
原材料:しぐれ煮:牛肉(松阪牛100%)、白ワイン、生姜、醤油、こしあん(砂糖、小豆)、ハチミツ、砂糖、(原材料の一部に小麦、大豆を含む)
しぐれ煮(唐辛子入り):牛肉(松阪牛100%)、白ワイン、生姜、醤油、こしあん(砂糖、小豆)、ハチミツ、砂糖、唐辛子、(原材料の一部に小麦、大豆を含む)
賞味期限:常温で三ヶ月
こちらの商品は三重県原産の有名な高級黒毛和牛である「松阪牛」を贅沢に使用したしぐれ煮となっています。通常のしぐれ煮と鷹の爪を追加した少し辛めの物がセットとなっています。今回は通常品の方を食べていきたいと思います。
②食レポ
ではさっそく、頂きたいと思います。
甘く煮詰められた松阪牛は、歯で噛まなくとも口を動かすだけでホロホロと崩れ出すくらい柔らかく、脂が自分の体温で溶けると甘みが舌全体にとろ~っと絡み付いていき、甘味料だけでは演出出来ないであろう、深いコクとくど過ぎない甘みが同時に口いっぱいに広がっていきます。そして口全体に甘みが広がったところで、生姜のピリ辛さが顔を出してきてキュッと味を引き締めてくれます。食べている内に全く違う二つの味わいを楽しむ事が出来ました。
3-7 熊本ならではの馬刺し食べ比べセット
こちらの商品には甘口で香りの強い薫酒が特に合いました。舌の上で馬刺しが蕩けて甘みが広がっているところに、フルーティーな甘口のお酒を入れる事により、まったりとした甘みが舌に絡みつきます。お肉はどれも新鮮で私は臭みを感じませんでしたが、どうしても生肉は匂いが気になってしまうという方も、フルーティーな香りのお酒と共に食べる事で全く臭みを感じなくなる事もお勧めの理由です。
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
◎ | 〇 |
またピリッとした辛口の爽酒もこちらの馬刺しと合うのでお勧めです!薫酒はそのフルーティーな香りが包み込む事で臭みを消してくれましたが、爽酒は香りで消すというよりもその辛味とスッキリと後を引かない爽快感で口の中をサッパリとさせてくれます。お酒を飲むと口の中が一旦リセットされるので、薄くスライスした馬刺しを一枚口に放り込んではピリッとしたお酒で引き締める。これを繰り返すとお酒が止まらなくなるのでお勧めです!
①概要
販売者:株式会社おすそわけ村「熊本ならではの馬刺し食べ比べセット」 価格¥4,298(税込)
内容量:上バラ赤身50g 特選霜降り50g たてがみ50g 馬レバ刺し(生食用)50g
原材料:馬肉(ポーランド産)
賞味期限:冷凍で3ヶ月
こちらの商品は注文が入ってから馬を捌き、即冷凍して届ける事により鮮度を保ったまま、まさに捌きたての味をお家で楽しめるような一品です。また1パックに50gずつと少量になっているので、一人でつまみたい時にも食べきれる量となっていますね。
今回はそれぞれ氷水に10分入れて解凍してから薄くスライスして、お肉本来の味を楽しむ為にそのまま何も付けずに食べてみました。
②食レポ
ではまずは、馬刺しでよく食べられる部位上バラ赤身から頂きたいと思います。
まず薄くスライスした上バラ赤身を口元へと運びますが、全く肉の臭みという物を感じさせません!新鮮さの証拠でしょう。口に入れたお肉は断面がもっちりとしており、舌に絡みついてきます。お肉を噛んでいくと、最初は筋繊維に沿ってお肉がバラけていき、この時一噛みごとに凝縮された肉の旨味と甘みが口の中へと染み渡っていきます。数回咀嚼すれば、あとはもう勝手にトロ~っと溶けてしまうくらい柔らかいです。筋肉質な馬の赤身肉なので、筋張って固そうなイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に蕩けてしまうような柔らかさがクセになります。
続いて、非常に珍しいたてがみを上バラ赤身と共に頂きたいと思います。
たてがみを上バラ赤身で巻いた食べ方がお勧めされていたので、試してみました!このたてがみという部位は馬刺しの有名な熊本では一般的らしいのですが、一見脂の塊に見えるこちらはコラーゲンたっぷりだそうです。上バラ赤身で巻いたものを口に入れ、一噛みしてみると溢れ出てきます。巻いたお肉の隙間からジュワァっとクリーミーな甘い脂が溢れてきて、赤身肉と合わさりまるで大トロを食べているかのよう。そしてたてがみ本体もコリコリとした、馬刺しには珍しいしっかりとした食感を持っていて、口に広がる脂の甘みと食べごたえのある食感を同時に味わえます。
お次に、特選霜降りを頂きたいと思います。
馬肉は別名:桜肉とも言われますが、この霜降り肉は霜が入った綺麗な薄いピンク色をしており、まさに桜肉と言える見た目をしています。こちらも薄くスライスして頂きましたが、このお肉は本当に柔らかいです。上バラ赤身も数回噛めば蕩けると言いましたが、霜降り肉は口に入れるとほとんど噛む必要がないくらいに、トロッと身が舌の上で溶けていきます。そしてお肉全体に霜が細い線状に広がっているのですが、この脂が溶ける時にすごく上品でまろやかな甘みが、お口いっぱいに広がっていきます。甘さも柔らかさもまさに桁違いでした!
最後は馬レバ刺しを頂きたいと思います。
実は私はあまりレバーが得意ではなかったのですが、こちらのレバ刺しはレバー特有の生臭さがほとんど無く、まるで根昆布を食べているかのようなトロみの中にシャキっとした歯ごたえがあり、他の部位では味わえない独特の食感と濃厚な旨味が楽しい一品でした。私のようにレバーに苦手意識のあった人でもすんなり食べられたので、まだ食べたことが無い人にも安心してお勧めできます。
3-8 アトリエ・ド・フロマージュ・チーズセット
さてワインのお供のイメージが強いチーズを食べてみましたが、日本酒と合わせるなら、チーズの深いコクと強い香りにも負けない、コクが深く香り高い熟成酒が合うと感じました。少しクセの強いチーズも力強い味わいの熟成酒と合わせる事で、バランスの良い味わいとなり食べやすく、より深いコクを楽しめるのでお勧めです!
薫酒 | 爽酒 | 醇酒 | 熟酒 |
〇 | ◎ |
また香り高い薫酒もチーズのお供に向いていると思うのでお勧めです!カビで発酵した強い香りと薫酒の甘い香りでは一見お互いがぶつかり合ってしまいそうですが、ケンカする事なく見事に口の中で調和しました。熟成酒と合わせると口に芳醇な香りが広がりましたが、こちらはお酒の甘い香りがチーズの香りを包む事で丸く優しい味わいの中で、チーズの味と香りも殺される事なく時折顔を覗かせてアクセントを付けるような味わいとなりました。
①概要
販売者:株式会社アトリエ・ド・フロマージュ「アトリエ・ド・フロマージュ・チーズセット」 価格¥3,996円(税込)
内容量:プチブルーチーズ50g プチ硬質チーズ100g プチカマンベール80g
原材料:生乳、食塩
賞味期限:冷蔵で15日
こちらの商品は可愛らしいサイズの人気のプチチーズ三種を食べ比べる事が出来るセットになっています。チーズといえばワインのおとものイメージが強いのですが、今回は日本酒と共に頂いてみようと思います。
②食レポ
最初に食べるのはプチ硬質チーズ。こちらを頂きたいと思います。
こちらのチーズは長期熟成をしているとの事で他の二つと比べるととても固くてしっかりとしています。香りが非常に強く、細かくおろしてサラダ等に掛けてもとても合いそうな香りをしています。ハードタイプのチーズなので、水気が少なく口に入れたらパサつくかと思いきや、とっても舌触りも良く濃厚でまろやかな味わいがしました。塊で食べると少しクドイので、薄くスライスして少しずつ食べる事をお勧めします。クセの少なく食べやすいチーズだと思います!
お次はカマンベールチーズを頂きたいと思います。
まずは香りを嗅いでみましたが、表面に生えている白カビの香りでしょうか、フワッと広がるのではなく、鼻の中にスッと入ってくるような芳醇な香りがします。一欠け切って食べてみましたが、中はとてもクリーミィーで柔らかな舌触りをしています。表面のカビの生えた部分は少し固めの食感ですが、先程感じた芳醇な香りが今度は口の中で花開きます。そしてクリーミィーな中身と芳醇な表面を同時に食べると、とても濃厚な深いコクが産まれました。まだ完熟はしていないのか、臭みも少なく非常に食べやすかったです。
最後はブルーチーズを頂きたいと思います。
ゴルゴンゾーラ等のブルーチーズは青かびで発酵させており、強烈な匂いのするイメージが強いのですが、こちらのブルーチーズ嗅いでみましたが、あまり強烈な香りはしません。小さく切ってから食べようと思いましたが、まるでバターのように蕩けていたので、切らずにスプーンで少し掬って食べてみました。
香りはきつくありませんでしたが、さすがはブルーチーズですね。口に含むと青かび特有の刺激のある風味と塩気が一気に広がりました。しかしその刺激的な味の裏に溶けたバターのようななめらかな舌触りとコクが感じられました。他の二つに比べてかなりクセの強いチーズなので、少量のチーズをお酒と交互にゆっくりと食べるのが向いていると思います。
4.まとめ
日本酒は魚介類だけでなく、肉やチーズなど色々なものと合うという事がお分かり頂けたでしょうか。
また4種類の日本酒にはそれぞれ、つまみの味を引き立てたり逆につまみがお酒の風味を引きたてたり、日本酒とつまみが合わさって更に深い旨みに繋がったりと、適しているつまみも変わってくるという事がお分かり頂けたと思います。
味覚というのは個人ごとに違うので絶対と言い切れないのですが、今回は私達が実際に食べ合わせてみてこれは合うと自身を持ってお勧めする組み合わせですので、一度試していただけたらと思います。
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