「いわし節」をご存知ですか。
いわしを煮て燻製にした物をいいます。一般的には、煮て天日干しにした「煮干し」も含めて、「いわし節」として呼ばれています。
いわしと言えば、カルシウムが多い食材のイメージがあります。実際はどうなのでしょう。また、いわし節を美味しく食べるためのおすすめを説明していきます。
目次
1.いわし節とは
1-1.いわし節とは
一般的に「いわし節」と「煮干し」は、同等品として使用されています。
正式には「いわし節」とは、いわし類を①煮て、②燻製にしたものです。スーパーで見かける「煮干し」は、いわし類を①煮て、②天日干しにしたものです。
「いわし節」と「煮干し」の違いは、いわし節は燻製にしているので、燻製の香りが強くなっています。煮干しは、魚の香りと風味が強くなっています。
ただ、一般的にはどちらも削ってしまうと、「いわし削り節」となります。スーパーで売られているいわし削り節の多くは、「煮干し」が削られたものになります。
いわしの「煮干し」の方が流通している理由は、「いわし節」は燻製にしているので、色が茶色く見た目が綺麗では無い。燻製は専用の乾燥機で強制的に乾燥させるので、天日干しよりも身が崩れやすい。いわしの風味を楽しむには、天日干しの「煮干し」の方が適しているからです。
「いわし節」の主な用途は、細かく粉砕した粉末用になります。「いわし節」が「煮干し」の様に魚の形のままスーパーに並ぶことはありません。
このサイトでは「いわし節」と「煮干し」を別けずに説明していきます。
1-2.いわし節の特徴
いわし節の特徴は、魚の風味を強く感じることが出来る節です。味の濃い「かえし」でも存在感のあるダシになります。
また、いわし節は、カルシウムが多い食品になります。毎日少しずつ食べる事で、カルシウム不足を補うことが出来ます。栄養面の特徴は、2章をお読みください。
1-3.いわし節の種類
3種類のいわしが日本近海に生息しています。その3種類ともいわし節にされています。
うるめいわし、まいわし、片口いわしの3種類です。
写真の様に大きさが違います。うるめいわしとまいわしは大きいので、削らないでそのまま販売されることはありません。業務用として粉末にされたり、削り節にされて使用されます。
主に、スーパーで売られている煮干しやいわし削り節で使用されているのが、片口いわしになります。サイズが小さく身が締まっています。
片口いわしが「いわし削り節」に使用されていますので、ここからは片口いわし節で説明していきます。
1-4.いわし節の産地
いわしは全国で漁獲されます。いわし節(いわし煮干し)の産地といわし削り節の産地が異なります。
① いわし節(いわし煮干し)の産地
いわし節としての主な産地は、香川県、愛媛県、長崎県、熊本県が有名です。他の地域でも、いわし節は全国の煮干し屋さんや、節の加工会社でいわしが漁獲された時に製造されていますが、先に挙げた4県では、いわし節をメインで製造しています。
その中でも長崎県は、いわし節の製造が盛んで、全国の1/4の製造量になります。長崎県では、約140軒の加工場があります。
また、香川県の煮干しは、「伊吹島産」がブランド化されていたり、熊本県でも「牛深産」として全国に知られています。
この産地を中心に全国にいわし節が流通しています。
② いわし削りの産地
いわしの削り節で有名な産地は、静岡市清水区にある由比(ゆい)、蒲原(かんばら)という地区になります。この地区では、1918年頃からいわし削り節を売り始め、削り節の産地として発展してきました。
由比、蒲原の削り節は、とても綺麗な削り節です。一般的にいわし節は小さいため、頭がついたまま削ってしまいます。由比、蒲原の上質な削り節は、頭を丁寧に取り、ゆっくり削ることで、白く透き通った粉が少ない削り節になっています。
由比、蒲原地区の396号線沿いに何件か、いわし削り節工場や販売店が並んでいます。
由比の「ゆい桜えび館」では、名産である桜えびの他に、いわし節を削る見学や削り節の購入ができたり、食事処で由比地区名産の食材を使った食事をすることが出来ます。
2.いわし節の栄養成分
いわし節(煮干し)は、イメージ通りカルシウムが豊富な食材です。下記は魚の節との比較ということで、鰹節と比較した主要栄養成分の比較表です。
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンが際立って高いことが分かります。
食塩相当量が多いので、過剰摂取は避けましょう。いわし節(煮干し)を使用するときは、料理の食塩の添加量を減らして使用すると良いです。
カリウム、カルシウム、マグネシウムは、通常の食事では過剰摂取になりにくい栄養素です。
煮干しはカルシウムが多く含まれていますので、成長盛りのお子さんや、他の食事でカルシウムを摂取しにくい方は、煮干しを食べる事で、カルシウムの補給がしやすい食材です。
食塩相当量やリンも多く含まれていますので、他の食材や食事に合わせて取るように心がけてください。
3.いわし節のおすすめの食べ方
いわし節は主に3種類の加工で使われています。①丸ごとそのまま、②削り節、③粉末です。各加工方法ごとのおすすめの使用方法をご紹介します。
3-1.いわし節(煮干し)
いわし節の丸ごとのままです。そのまま食べても美味しいのですが、ダシとして使用するといわしの強いダシを楽しむ事が出来ます。みそ汁のダシにすると、味噌に負けない強いダシになります。
味噌汁を作ります。
目安として500㎖の水に6本のいわし節を入れて1晩漬け込みます。
漬け込んだら火をかける前にいわしを抜きとります。お好みの具を入れ、火にかけます。具に火が通ったら火を止め、味噌を溶きます。
いわし節の水出しのダシになりますので、いわしの臭みが無く、味噌や具に負けない強い風味を楽しめます。
3-2.削り節
煮物(新ジャガイモと人参の煮物)を作ります。
水1リットルが沸騰する直前に削り節を30g入れます。2~3分煮出し、削り節が沈んだらザルでこします。
「かえし」を作ります。
- 醤油 大さじ 2杯と1/2
- 味醂 大さじ 2杯と1/2
- 酒 大さじ 2杯と1/2
- 砂糖 大さじ 1杯
- いわし節ダシ 100㏄
この「かえし」に切った新ジャガイモと人参を入れます。芋を重ならないように広げて入れます。鍋を中火にかけ、沸いたら弱火にして落とし蓋をする。12~13分ほど煮込みます。竹串を刺してすっと通ったら、蓋を外して煮汁を煮詰めます。
濃い目の味付けですが、ダシの存在感が分かる煮物になります。煮干しのダシの良さは、「かえし」の味が強くても、負けないダシになるところです。
3-3.粉末
いわし節(煮干し)をそのまま粉末にしたものです。頭や内臓を含めて、丸ごと粉末にしていますので、料理にかけてそのまま食べることが出来ます。
一番簡単で有効的な使い方は、かけて食べる事です。
ラーメンにかけると、魚介系のラーメンになります。
普通のインスタントラーメンに煮干し粉末をかけるだけで、魚介系のラーメンになります。
今回は塩ラーメンに煮干し粉末を小さじ一杯乗せて食べます。
かき混ぜて食べると強い魚介系のダシを感じることが出来るラーメンに変わります。
かけるだけで、味を一瞬で変えられるダシの塊である粉末です。
3-4.一番のおすすめ
一番のおすすめは、温かいご飯にいわし削り節を乗せて食べる方法です。
温かいご飯にいわし削り節をひとにぎりかけて、卵を乗せます。そこに醤油かめんつゆをかけてかけ混ぜると、美味しいおかかご飯になります。
4.まとめ
いわし節は、いわしの旨味を凝縮した節になります。ダシは、強い「かえし」に負けない魚の風味が強いダシになります。
いわし節は栄養面で優れていますが、美味しい食材としておすすめします。
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