鰹だし、昆布だし、それぞれ単独でも美味しいのですが、これらを組み合わせて合わせだしにすると、うま味が増してもっと美味しくなるのです。
代表的なだしの素材は鰹節、昆布、煮干しの3種類ですね。ではどの組み合わせが良いのでしょうか。
最も相性の良い組み合わせは鰹節と昆布の組み合わせで、何も注釈がなく合わせだしと言ったら、「鰹節と昆布の合わせだし」のことを言います。その次に使われるのは「煮干しと昆布の合わせだし」です。鰹節と煮干しは通常は組み合わせません。
その理由は、鰹節と煮干し(いわし)は動物性でうま味成分イノシン酸が豊富、昆布は植物性でうま味成分グルタミン酸が豊富で、違ったうま味成分を合わせると相乗効果でうま味が何倍にも増しますが、同じ成分の組み合わせ(この場合は鰹節と煮干しのイノシン酸同士)は効果はありますが大きくはないからです。
従って、ここでは最初に「鰹節と昆布の合わせだし」、次に「煮干しと昆布の合わせだし」についてお伝えしていきます。ぜひ、この記事を読んで美味しい合わせだしを取ってみてください。
目次
1. 鰹と昆布の合わせだしの取り方
初めに大切なポイントを5つお伝えします。
①昆布は表面を布などで拭くだけで、水洗いはしないでください。
理由:昆布の表面についている白い粉はマンニットといううま味成分ですので、これを流してしまわないためです。
②昆布を煮出すときは中火で行ってください。
理由:強火にして急激に加熱すると昆布のぬめり、臭みが出てしまうので、これを出させないためです。
③昆布は沸騰直前で取り出してください。
理由:沸騰後も煮続けると昆布のぬめりや海藻臭さ、えぐみが出て風味を損ねてしまうのでこれらを防ぐためです。
④沸騰後、火を止めてから花かつおを入れてください。
理由:沸騰後もぐらぐら煮立てているところに花かつおを入れるとえぐみがでてしまうので、そうしないためです。
⑤花かつおを濾した布は絞らないでください。
理由:渋みやえぐみを出さないためです。
この5つのポイントはその手順になったときに改めてお伝えしますが、まずはここが大切と覚えておいてください。
1-1 用意するもの
- a)水1Lが余裕で入る大きさの鍋
- b)aより少し小さめの鍋(濾しただしを受けるためなので)
- c)花かつお20g(水の2%)
- d)昆布10g(水の1%)
- e)濾すための布
花かつお20gです。
昆布10gです。
花かつおや昆布の量は目安です。水の量に対する割合が分かりやすいように水1Lでの場合で書いています。
1-2 昆布を拭く(水洗いはしない)
細かい砂などが付いているかもしれないので、昆布をよく絞った布で拭きます。
ここで大切なポイント①です。
昆布は拭くだけにして、水で洗い流さないでください。昆布の表面についているうま味成分を取ってしまわないためでしたね。
写真で分かるように表面についている白い粉はうまみ成分なので洗い流さないでください。
1-3 昆布を30分水につけた後、中火で煮出す
昆布をすぐに煮出すよりも30分ほど水につけてから火にかけた方が、うま味成分をより引き出すことができます。使用する昆布が大きいときは切れ込みを入れておくと効果的です。
30分経ったら、ふたをしないで火にかけます。
ここで大切なポイント②です。
火は強火にしないで中火を使ってください。強火で急激に加熱すると昆布のぬめり臭みがでてしまうので、これを出ないようにするためですね。
1-4 沸騰直前で昆布を取り出す
大切なポイント③です。
昆布は沸騰直前で取り出してください。沸騰後も煮続けると昆布のぬめりや海藻臭さ、えぐみが出て風味を損ねてしまうのでこれを防ぐためですね。
沸騰直前に昆布を取り出してください。
昆布で取っただしです。
1-5 沸騰したら火を止めてから花かつおを入れる
昆布を取り出した後も火をかけて沸騰させます。
理由は昆布から出た海藻臭さを飛ばすのと、花かつおを入れる前に温度を十分に上げることにより鰹だしをより出やすくするためです。
ここで大切なポイント④です。
火を止めてから、花かつおを入れます。沸騰後もぐらぐら煮立てているところに花かつおを入れるとえぐみがでてしまうので、そうしないためでしたね。
火を止めてから花かつおを入れます。
1-6 1,2分後に花かつおを濾す
入れてから1,2分後に花かつおを濾します。その間かき混ぜたりしないで待ちましょう。正確に計らなくても、花かつおが鍋底に全部沈むのが濾すタイミングです。
大切なポイント⑤です。
濾した布を絞って無理にだし汁を入れないでください。そうやって取っただしには渋みやえぐみが出てしまうからですね。
花かつおを濾します。濾し布を絞ってだしをとるのはしないでください。
鰹と昆布の合わせだしです。昆布のみの時より黄色みが濃くなっています。
2. 煮干しと昆布の合わせだしの取り方
初めに大切なポイントを4つお伝えします。
①煮干しは頭とはらわたを取っておきましょう。
理由:苦み、生臭さが出ないようにするためです。
②昆布は拭くだけにして水洗いはしないでください。
理由:昆布の表面についているうま味成分を流してしまわないためです。
③煮出すときは中火にしてください。
理由:強火で急激な加熱をすると、昆布のぬめりや煮干しの苦みがでてしまうのでこれを防ぐためです。
④沸騰直前に昆布だけ取り出してください。
理由:沸騰後も煮続けると昆布のぬめりや海藻臭さが出てしまうからです。
これらを頭に入れて、具体的な手順に入っていきましょう。
2-1 用意するもの
- a)水1Lが余裕で入る大きさの鍋
- b)aより少し小さい鍋(濾しただしを受けるためなので)濾さずに最後に煮干しを網じゃくしなどですくって取る場合は不要です。
- c)煮干し25g(水の2.5%)
- d)昆布10g(水の1%)
- e)濾し布または網じゃくし
煮干し25gです。
煮干しや昆布の量は目安です。水の量に対する割合を分かりやすくするために水1Lの場合で書いています。
2-2 煮干しの頭とはらわたを取る
大切なポイント①です。
にがみ、生臭さを出さないために、初めに煮干しの頭とはらわたを取っておきましょう。
まず頭を取り、背骨に沿って半分に割ると、はらわたも取り易いです。
頭とはらわたを取ったものです。
2-3 昆布を拭く(水で洗い流さない)
大切なポイント②です。昆布は拭くだけにして水で洗い流さないでください。昆布の表面のうま味成分を流してしまわないためでしたね。
2-4 煮干しと昆布を30分水につけた後、中火で煮出す
大切なポイント③です。
強火にしないで、中火で煮出してください。昆布の臭みや煮干しの苦みを出さないためでしたね。
2-5 沸騰直前に昆布だけを取り出す
大切なポイント④です。
沸騰直前に昆布だけを取り出してください。理由は沸騰後煮続けると昆布のぬめりや海藻臭さが出てしまうからでしたね。
写真のように気泡が出てきた程度のところで昆布だけ取り出します。
2-6 沸騰後火を止めて煮干しを濾す
昆布を取り出した後も煮干しはそのまま沸騰させて5,6分あくを取りながら煮出します。
その後、火を止めてから煮干しを濾します。花かつおのように別の鍋と濾し布を用意しなくても、煮干しなら網ジャクシですくってしまってもよいです。
火を止めてから煮干しを濾します。
煮干しと昆布の合わせだしです。
3. 合わせだしはすべての料理にあう
合わせだしはオールマイティーですべての料理に合います。
それぞれ単独でだしを取った場合は植物性の昆布だしは肉魚などの動物の料理に、動物性の鰹節や煮干しは野菜料理によく合います(反対のものと組み合わせるとうま味の相乗効果が出るのでしたね)が、すでに植物性と動物性を組み合わせている合わせだしはその両方の料理に合うからです。
「鰹節と昆布の合わせだし」と「煮干しと昆布の合わせだし」との違いは鰹節と煮干しの違いです。その違いに注目すると、鰹節は豊かな香りを生かしてすまし汁や茶わん蒸しなどだしが主役の料理、煮干しは濃厚な風味を生かして味噌汁や麺類のつゆ、煮物など味の濃い料理に合うといえます。
合わせだしの種類 | あう料理 |
---|---|
鰹と昆布 | すまし汁、茶わん蒸しなどだしが主役の料理 |
煮干しと昆布 | 味噌汁、麺類のつゆ、煮物など味の濃い料理 |
しかし、これも強いて言えばのことで、合わせだしは料理を選ばないといっていいでしょう。
4. まとめ
いかがでしたか。合わせだしといっても、なにも鰹節や昆布、煮干し単独でだしをとる手間の2倍の手間がかかる訳ではありませんね。思っているより手間がかからずにできますよ。
だしとりに慣れてきたら、ぜひ合わせだしにチャレンジしてみてください。
コメント